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artgene blog『デジタルペンその2』
?日本の携帯電話?


   


     5月 4th, 2016  Posted 12:00 AM

2008-05-12 11:13:07 | デジタルペン

前回紹介した、
こんなに便利で画期的なデジタルペンが普及しない理由のひとつに、
日本の携帯電話、その文化が非常に子供じみていることが挙げられます。

先日京都で、国際デザイン会議クムルス2008が行われて、
海外の僕の友人たちが来日したんですが、みんながビックリしていたのが、
高校生の女の子たちのメールを打つスピード。あれを見て
「日本人ってすごいなぁ。すごい速さで携帯電話をいじっていたけど、
あれはメールを打ってるんだろう?」といわれてしまって。
これは日本人として自慢すべきなのかどうなのか悩んだところです(笑)。

今、日本の携帯電話は、ほとんどオモチャと化しています。
その結果、携帯電話はデザインそのものが遅れてしまい、
企業も次々と携帯電話市場から撤退している有様です。
世界市場で日本の携帯電話はかなり負けています。

僕の後輩である有名なメーカーにいる奴が、
ずっとスウェーデンにいたんですが、
昨年日本に戻ってきたんですね。
彼はこれまで世界中の携帯電話市場を見てきたのですが、
日本だけは国内の人間に任せていたので見ていなかった。
彼は言いました。「日本の携帯電話はどうなっているんだ!」と。

僕は以前、某携帯電話会社からコンサルタントの依頼を受けた際、
コンピュータ・グラフィックス・ユーザー・インターフェイス
(G.U.I)を越えた、
『エージェント・インターフェイス(A.I)』
という考えかたを持ちこみました。
でも、頭の固い部長たちは全然理解できない。
それで頭にきて途中で降りたことがあります。
それ以後、携帯電話の依頼はなくなりましたね(笑)。

昨年6月にappleからiPhoneが発売された際、
僕は雑誌『BRIO』(光文社)の連載に、
「21世紀がやっと始まる」と書きました。
僕も早速iPhoneを手に入れたんですが、今の日本では使えない。
アメリカでも200万台が売れたのに、実際は
80万台しか携帯電話としては普及していないんです。
120万台が中国にあるという話もあります。だからアメリカでも
iPhoneという文化が到達するには時間がかかるかな?という判断で
iPod touchを後から出しちゃったんだと思うんですよね。

日本は現在、携帯電話の分野では世界で第5位です。
海外だとノートに書いたものを、テキストなり画像なりにして
携帯電話に転送すればいいだけ。
デジタルペンもひっくるめた文明的な情報システムの解決と、
子供じみた携帯事情の文化的な解決をしなければ、
日本はもうかなり第1位になることはできないと思っています。
今、僕には世界的な大企業から「次のアイデアが欲しい。」
という相談が来ています。
日本の携帯電話も、この混沌とした状態を抜けだすためには、
僕に相談してほしいなぁ(笑)。

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artgene blog『デジタルペンその3』
?デジタルペンの可能性?


   


     5月 4th, 2016  Posted 12:00 AM

2008-05-27 17:36:57 | デジタルペン

デジタルペンの普及には、携帯電話以外にも、
日本だからこその問題があります。
英語の一文字の表記は1バイトで済むのに対し、
日本語の場合は2バイト必要だということです。
その点でワープロはとても進化したすばらしい技術だと思います。

しかし、デジタルペンで日本語を読みとるというプログラムを
開発してくれるところも、それを構築してくれるところも無い。
おそらくお金にならないからだと思います。

日本でも昔、とある会社がデジタルペンを発売したことがありました。
僕はそれの初期のものを見たんですが、使っていた友人から
「トラブルが多い。」と聞いたので、
手をだすのをやめた経験があります。

いま、デジタルペンはヨーロッパを中心に生産されています。
デジタルペン用のノートなども、大手の有名な文具メーカーから
沢山かっこいいのが出ている。
Filofaxからもデジタルペン用のリフィルが出ていますが、
日本だとそのリフィルが手に入らないんですね。
イギリスのデジタルペン周辺アイテムを扱う会社に連絡をすると、
FilofaxやOxford、3Mエセルテなど、
さまざまなメーカーのサンプルを送ってくれるので、
僕はそこから取りよせています。
やはり本物を確かめられるのは良いですね。
最近は、あまりにも大量に買いだめしたので、
ワイフに叱られますけどね(笑)。

以前はPDAを持ち歩かないと不安でした。
当時、僕が使っていたのは、
ルイ・ヴィトンの日本でのクラブ会員向けに出したダミエ柄のPDA。
今はもうなくなってしまいましたが、
ルイ・ヴィトンには会員専用のラウンジがあって、
そこでお茶ができたり、一般には発売されない商品を
紹介してくれたりしたんです。
それはそこで手に入れたものですが、
僕の持っているPDAの中で一番かっこいい。
もっとも、今はデジタルペンとノートがあればいいので
ダミエ柄のPDAは見せびらかし用になっていますが(笑)。

とにもかくにも、日本でも、もっとデジタルペンは広まるべきだと思う。
例えば、日本の病院では、カルテは、医師が書いたものを
後から看護師が清書する所も多いんです。
医師が打ち込んだ場合も、情報開示のために清書です。
それは書き直す時間ももったいないし、看護師も大変。
医師がデジタルペンを使えば、
書いた英文字は清書されてパソコンにアップされるんだから、
こんなに便利なことはないのに。
みなさんも、試しに使ってみたら、
自分の情報システムを再考できると思います。

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artgene blog『デジタルペンその1』
?日本ではあまり知られていないデジタルペンの利便性?


   


     5月 4th, 2016  Posted 12:00 AM

2008-04-22 01:09:49 | デジタルペン

みなさんは 「デジタルペン」 を知っていますか?
デジタルペンとは、専用のノートに手書きの文字や絵を書くと、
それをデジタルデータとして記録して、通信・転送させることができます。

残念ながら日本語は読みこめないんですが、
英語だと手書きの文字が清書されて、
それをワードファイルに落としこむ、なんてこともできるのです。
イラストやスケッチなどはjpg画像に変換されます。

これがあればPDAなどのパームトップを持ち歩く必要はなく、
すべての情報を自分のコンピュータに転送して連動させられる。
書きあがったそれらのデータはBluetoothで携帯電話に入れて、
家に帰ったらパソコンに移せばそれでOKなんです。

僕がデジタルペンを知ったのは今から約7年前。
登場した当初すぐに使いはじめて 「これはすごい」 と思いました。
現在、世界中に出ているデジタルペンは4種類しかなく、
Bluetoothで携帯電話に転送できるのは
ノキア製のものだけなんですが。
ただ、デジタルペンはWindowsじゃないと動かないのが欠点です。
僕は今MacBook Airを使っていますが、
デジタルペンのためだけにWindowsを入れています。

論文などは、英語が多くなってきていますから、
このペンでの手書きがとても重宝です。
デジタルペンは筆記体でも読みとるので、
キーボードで打つよりはるかに速く作業することができるんです。
使いはじめたばかりの頃は 「THE」 と書くと
「HHE」 と読みこまれるなどのミスもありましたが(笑)、
今はデジタルペンがすっかり学習しているので、
僕の字はすべからず完全に読みとってくれます。

ところが。
こんなに便利なのに、日本ではほとんど知られていないんですね。
僕があちこちで使っていると「何それ?」と言われる。
そこで僕が実演してみせると、みんな驚くんです。

なぜデジタルペンがここまで知られていないのか?
それは、日本の情報システムそのものが、
今ではすっかり遅れているからなのです。
次回、デジタルペンが持つ可能性と、
これがなかなか日本に普及しない理由を
みなさんにお教えしようと思います。

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