kazuo kawasaki's official blog

Archive for 5月, 2013


「立体造形への夢は三つあったことから始まっている」


   


     5月 12th, 2013  Posted 12:00 AM

3Dプリンターが、国際的な問題になってきてしまいました。
3Dプリンター・ガンの登場は、
TVニュース番組でも、大きな話題となって取り上げられました。
当初からこの予測はありました。
それは3Dプリンターが「パンドラの箱」の実現という話題の中で、
深刻な問題の代表として、拳銃からマシンガン、
それもプラスチック製であれば、航空機搭乗もパスという問題。
私は、拳銃など銃器のデザインをデザイナーとして、
モデルガンも収集し、その歴史からデザイナー名までを、
結構好きな分野の一つにしていますがそれは全く意味が違います。
いづれ「日本だから銃器はこうあるべき」、を考えてきました。
この話はいづれ紹介するつもりです。
2002年に、愉快な=Fabulousモノづくり=Fabricationという
実際例が冊子=Fab Labにまとめられました。
要は、コンピューター上でのBitをAtomにそのまま立体化、
その夢の実現でした。
誰だって、「つくられたモノ」には経済的な大きな理由があり、
それに束縛されるほど、
購入困難もあれば、自分だけのモノが欲しいことは叶いません。
だったら、自分で「つくれるモノ」は、
平面にプリントアウトしながら、それを積層すればいい、
この特許もオープンにして、
しかも、その素材からプリントアウトするノズル=射出口までを、
一つの組み立てセットに、
このような考え方は2005年に、RepRap Projectとして、
誰もが、その装置の部品をネットワークで手に入れ、
しかも、モノの形状やプログラムまで自分でダウンロードします。
こうなってくれば、なんとしても、モノの大きさも自由です。
とうとう、3Dプリンターは、自分の家どころか、
宇宙に持ち出して行っても、基地づくりの可能性が見えました。
とうとうそれは、2012年のMAKERSで、
もう工場なんていらない、
デザイナーなんて自分でできる、という本になりました。
デザイナーの私が大疑問を持ったのは、この本でした。
案の上、余りに大仰過ぎる話は大統領の演説にまで登場しました。
3Dプリンターのこの三つの夢はたった10年でした。
しかし、光造形を1986年当時に知って、
1996年には光造形システムで苦労してきた私には、
いくつものインチキが見え隠れしていました。
それでも「モノづくりの夢」を否定する気持ちは全くありません。
問題は、この「夢のモノづくり」、
その対象に銃器をつくろうという「きもち」にあるのです。


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5月11日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 11th, 2013  Posted 9:30 AM

5月11日 壬辰(先勝)

くすしい劇場が情報社会である。

『デザインの極道論』くすしい


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「光造形は日本で発明されて、今やナノテク世界で進化している」


   


     5月 11th, 2013  Posted 12:00 AM

3Dプリンターの商業的な流行には要注意です。
購入しても使用出来ない商業主義が先んじています。
地方行政の研究機関や研究心の浅い大学が装置を買っています。
だからこそ、私はなんとしても「光造形」を知ってほしいのです。
この原理原則だった「光造形」は日本の発明だったということ、
これは忘れられていますから、
その発明の経過と、日本より英国で評価されて、
商業化は米国だったことに私たちは留意しておくべきと考えます。
「小玉秀男」博士の発案であり、
国内評価が遅れたことは日本の特許制度の脆弱さを
あらためて再思考しなければいけません。
その当時は、半導体生産技術・印刷技術・CADの三つが基本。
3次元立体映像を紫外線硬化樹脂で立体地図から始まります。
彼は、日本よりも英国・欧州で評価されましたが、
米国は即刻、光造形の企業を設立して商業的な成果を上げます。
この企業が今では光造形システムをほとんど商業成果を独占。
しかし、日本では、彼の発案を鋳造技術・金型モデル生産で、
様々な学術発展が国際化=米国流になってしまいます。
それでも、光造形(3次元立体映像を紫外線硬化)は、(左)
*マイクロナノテクノロジーでフォトニクスとオプトニクスの
根幹技術になっていきます。
フォトニクス関連では、大阪大学の河田聡教授が
サイエンス誌に「牛」の立体像を発表し、
ギネス登録にまでなります。(中央)
彼が私を公立大学の教員にもかかわらず、
「デザイン」を阪大に特任教授で国内初で受け入れてくれました。
オプトニクス関連は、生体医療を対象にした世界最小ロボットや、
ポンプ形式と呼ばれるナノテクノロジーでのモーターまでを
東京大学の生田幸士教授が次々と成果を上げ続けています。
彼が名古屋大学時代には、
二人で「国立と公立の単位互換制度」を創立した仲です。
今でも、この二人にはなんでも相談ができます。
私の親友だということはとても幸運なことですから、
彼らの研究を間近で見られるということです。
さらに幸いなことは、この両名の先生は、
お互いが協働でそれぞれの次世代交換をして、
それぞれの専門領域で小玉博士の提案を現代化し、
「光造形の真骨頂を国際化」していることです。
両名ともに、若くして紫綬褒章者です。
それよりももっと彼らの研究を政府が支援すべきだと思います。
したがって、
3Dプリンターのブーム評価を私は聞きたいと思っています。
私はあえてこのBLOGを書いてから二人に3Dプリンターのことを、
聞き出してみたいと考えているのです。

*物質をナノメートル (nm、1 nm = 10-9m)の
原子や分子サイズで制御する技術
両手で大きな輪をつくればこれが髪の毛一本=0.05mmから0.15mmで、
親指のツメが「血小板」サイズ=1~4μnmです。


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5月10日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 10th, 2013  Posted 8:53 PM

5月10日 辛卯(赤口)

世界中の民族の、
それぞれの意識は隠れていて見えない。

この内面からの表出が、
まるで洪水のごとく、
霊しく、奇しく、くすしく
表現されてしまうサッカーは、
典型的なドラマとして見事に
世界中のチームがそれぞれを
表現しあったのだろう。

『デザインの極道論』くすしい


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「『学際化』によって危機管理デザイン工学をめざす」


   


     5月 10th, 2013  Posted 12:00 AM

4月から、大阪大学大学院を一旦退任し、
「危機管理工学プロダクトデザイン寄附講座」を開設しました。
その基本となるように危機管理デザイン工学を
定義可能かどうかを、どこか学会に論文提出を考えていました。
幸運にも、日本機械学会誌から依頼論文をいただきました。
私にとってと講座学生にも、
これは大きなチャンスになりました。
依頼論文は4頁でしたが、
デザインと機械工学、この二つの学域を「学際化」論にしました。
連休前には準備論文を殴り書きしたら6頁にもなってしまい、
大慌てでこれを削り落としながら、
かえって、論旨を短くすることが出来ました。
そして、その論旨を図解化することや、
図解をしながら、再度論旨の要点をまとめることに繋がりました。
韓国から帰国して、
あらためて、原稿締め切りを確認したら、
当日が締め切りということで、またもや大慌てになりながら、
自分を集中させて取り組みました。
まだ描き終えていなかった図解も、論旨検証をしてまとめました。
一応大学を退任して、特任教授という立場になったからこそ、
今年は正月から論文を書くことができたのかもしれません。
正直、大学退任時期になったこともあって、
いくつかの学会を退会しましたが、
残っておくべきだったかもしれません。
もっとも、今、寄附講座選任での博士後期課程学生もいます。
このところ、論文作成に向かいながら、
「デザイン」は、科学=知識体系=分科学の統合に対して、
学域の接着剤のようなものだと実感し直しました。
なんだか、落ち着いて、これまでのデザイナー・大学人、
この二つの実体験を「ことば」の集大成=論文化可能です。
私に残された時間を常に意識するようになりましたが、
かえって、次世代、次・次世代に書き残すこと、
本当に増え続けている気がしてなりません。
私のこれから大学での大きな役割は、
「学際化」するデザインの実務だと思っています。


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5月9日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 9th, 2013  Posted 8:52 PM

5月9日 壬午(先勝)

文字どおり内部から絞り出して
外部に表出させることが表現であるとするなら、
この定義は、
世界が劇場化している
時代には再定義が必要になっている。

内部にあることは見えない。
隠されているとさえ言い切れる。
これがコンテンツ=contents
である。

『デザインの極道論』くすしい


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「『光造形システム』での全置換人工心臓モデル製作」


   


     5月 9th, 2013  Posted 12:00 AM

私が名古屋市立大学で導入してもらったシステムは、
当時は最高のシステムでした。
IDEASからPro-Engineering、そしてCATIAへと、
それぞれをSiliconGraphics社のEWSで造形実験が出来ました。
したがって、3D-CADそのものの大学提案を求められて、
いつでもアプリケーションは提供される幸運でした。
大学は新設のために、
かつては名古屋女子短大の調理実習室が大改造された部屋を
二つに造形装置と重合硬化装置や洗浄機までがありました。
大学を転籍する時には、
光造形装置は紫外線レーザーと半導体レーザーが二台ありました。
高価だったのは、紫外線レーザー光管は500時間で取り替え。
硬化樹脂素材も大変に高価でしたが、
芸術工学部として、当時はデザイン系大学にも無かったので、
大学の施設シンボルになっていました。
私は市民税という血税で運営されていることからも、
24時間常に稼働させるとともに、
海外からの見学者や医学部の整形外科からも研究生がいました。
メビウスリングそのものがとても3D-CADではEWSがトラブル頻繁。
しかし、院生の中でも際だった者は、様々な形態を
光造形で造形を成し遂げて論文も勝手に作成していました。
私の想像では、想いもつかない造形に成功していた僅かな者は、
必ず、3Dプリンターを即刻理解すると思っています。
現在、3Dプリンターには三つの流れがあります。
2002年FabLab、2005年RepRap、2012年MAKERSという図があります。
もちろん、この見事な分析図からは、
今後の「デスクトップのモノづくり」が見えてきます。
しかし、光造形でエポキシ樹脂にレーザーを照射して、
最後に装置のエレベーターでモデルが仕上がって登ってきます。
この状況を見ている人はどれだけいるのでしょうか。
これは本当に「とても美しい」のです。
私は当時は、光造形装置の部屋には入りませんでしたが、
このモデルアップの時は惚れ惚れと眺めました。
だから、現在の3Dプリンターではその美しさはありません。
けれども、とても安全装置になったのは、
この装置を
自宅のキッチンに設置しておいても大丈夫になったことです。
「安全」な装置という進化が3Dプリンターにはあります。
でも、モデルアップの光造形の美しさは格別です。


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5月8日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 8th, 2013  Posted 8:51 PM

5月8日 壬午(先勝)

劇場とと化している現代の場で、
飲食するモノづくりは
その根底で論理観を喪失して
しまっているのだろう。
これもくすしいと言えるかもしれない。

『デザインの極道論』くすしい


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「三つの革命を促してくれた『光造形』デザイン」


   


     5月 8th, 2013  Posted 12:00 AM

私は大学人を選んでもう18年目になります。
なんとしても自力でやりたかった事が「光造形」でした。
それ以前に心臓発作で何度か倒れて、
結局、162日間入院して担当医への質問攻めをしました。
流石に担当医は、一般書から専門書を私に貸していただきました。
私は人体が中空な物の集合体だと思ったのです。
「光造形」は大学でそれなりの設備が無ければ不可能でした。
様々なトポロジーの代表形態を想像力で、
当時のEWSと3D-CADでは、とても困難でしたが、
とりわけ、私を惹き付けていたのは心臓でした。
それは私がやがては「心臓障害者認定」までなりましたが、
これは見事に空洞の中に中空なパイプがトポロジー空間でした。
私は、次の三つを次世代の革命と予想して、
講義や講演ではその具体例をグラフィカルに見せていました。
  ● 遺伝子革命・・・iPSが具体例
  ● 光重合革命・・・光造形から3Dプリンターへと進化
  ● 電磁波革命・・・エネルギー(水・食糧・電力)を意図
この三つの予測はほぼ的中していたと思います。
それでも、おそらくデザイナーとしての半分は、
この進化や連鎖を思考し、具体例を「見える形態=言語」へと、
私は様々な概念や理念で希求してきたと思います。
もっとも私はデザイナーですから、
その世間的な信頼性はいつでも、
「デザイナーは外観の造形専門家」とみられてきました。
しかし、美大時代から、
「デザインは造形という手法で問題解決を提示すること」でした。
したがって、
遺伝子革命や電磁波革命は、
私の科学性=知識性を高めてくれましたから、
直接的ではなくとも、
私の「造形手法での問題解釈」を支援してくれました。
そして、「光重合」では光造形システムから、
3Dプリンター、さらにはこれを取り巻く環境までを知りました。
しかも、この三つの革命は、やっと入り口にきたようです。
私が特に3Dプリンター素材に拘っているのは、
「中空」です。
そうした素材が、「危機解決」という、
人間として生存する日常での最適な応答・回答・解答こそ、
この国難・日本の産業に出来ないかとさえ思っています。


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5月7日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 7th, 2013  Posted 8:51 PM

5月7日 庚辰(大安)

私は、
大学人になって自分で自分に課して
決心したことだけはやりぬこうと考える。

そして、
これができないと自分が評価したなら、
その判断だけを根拠に、
大学人を辞める覚悟をしている。

『デザインの極道論』すがしい


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