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『障がい者へのデザイン』
「畳性能の改善と和室療養空間革新」



     







ナイチンゲールは、療養環境について「ナイチンゲールの覚え書き」の中で、絨毯は最も療養環境には不適合なモノと書き残しました。しかし、現代の絨毯やカーペットでは抗菌作用のある素材開発が完成しています。絨毯は西欧社会では単なる室内調度品を越えてステイタスを表示する存在でもあったのです。さて、わが国には室町時代に薦(こも)や筵(むしろ)を重ね敷きすることから進化した敷物として帖(ちょう)とまで呼ばれる伝統的かつ美術工芸的で社会的な効用性=ステイタスを絨毯と同様に持つモノまでになりました。当然、京間や田舎間と言われるモジュール=大きさの標準化も完成されたモノになっています。そして現代住宅や住居においても和室という室内空間を最も特徴づける敷物になっています。けれども、高齢社会での療養環境の中では、特に、車椅子にはまったく不適合な敷物です。これは絨毯も同様です。もっと広範囲な見方をすれば、車椅子・ベッド・移動可能空間の設え調度品としては不都合なモノになってしまいました。それは和室であり、茶室など、日本の伝統的室内空間が障害者対応からは断絶せざるをえないものになってきていることです。まして段差ある場へ畳敷きはバリアになってしまいます。私自身、車椅子で畳敷きの部屋に入ることは大変に憚れることが多く、たとえば、葬祭時にどうしてもということになれば、巻きカーペットを持参し、それを敷かせていただく許可をいただいて畳部屋にあがることになります。無論、日本のいわゆるお座敷仕様の部屋、料亭などは遠慮せざるをえません。日本式和室のあるホテルで、その部屋が障害者対応というのは、すでに根本的には大きな間違いがあるということです。この見直しは現在要求しておかなければなりません。もし、家族で高齢者で寝たきり生活を余儀なくされたならば、畳は撤去しなければならないでしょう。結局、畳という調度品周辺、唐紙や障子などの日本様式すべての見直しが必然となっているということです。私は、畳という日本の伝統的調度品をさらに進化させて、療養空間や車椅子などとともに大きな改善と調和を建築家ともども求めていくべきことではないかと考えています。和室という日本空間は、高齢社会にあって変革が要求されているものと判断しています。



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