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「蚕が平面繭をひたすら吐き続けた『SILK』」




蚕は「家畜」ゆえに、一匹ではなくて一頭と呼びます。
「家畜」という存在を
人間は自然からその生命を剥奪することでつくりあげました。
人間が自然を手なづける=制御と管理を図った大きな事例が「家畜」です。
しかも最近の蚕は遺伝子技術で、
人間から繭形成までコントロールされています。
アーティスト角永和夫氏の「SILK」が
投げかけ問いかけている問題の本質は、
「家畜」という自然界での存在性を
人間の利得保持だけをめざした略奪行為にほかなりません。
2万頭の蚕が美術館のセット漁網に
ひたすら三日三晩繭を吐き続けるのです。
しかも彼らは上に登っていく習性があるために、
漁網もそれに対応する機械仕掛けです。
これはアートとしての作品づくりに蚕の特性と習性を利用しています。
美術館の一室は27度室温が保たれるとともに、
作家のみならず美術館スタッフも動員し
蚕を漁網に取り付かせる支援をしますが、
人間は全員、
防護ユニフォーム=原発作業員と同じ服装にならなければなりません。
「家畜」である蚕とのインターラクション性は、
まさに原発事故に立ち向かうことを象徴しています。
さらに、
命尽き果てるまで繭を吐き続けた蚕を桑畑で余生を、と図りますが、
2万頭は、産業廃棄物ゆえに桑畑は汚染されてしまうことになります。
自然界から利得だけを獲得しようとする人間は、
あらためて「家畜」という自然界との対決において
何が重大であるのかを再熟考させられる問題の前に立たされているのです。


tag: SILK, アーティスト, 人間, 原発作業員, 家畜, 桑畑, 漁網, , 美術館, 自然, 自然界, , 角永和夫, 遺伝子技術, 防護ユニフォーム


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One Response to “「蚕が平面繭をひたすら吐き続けた『SILK』」

  1. Kazuo KAWASAKI's official Blog | 企望を「までい」実現へ
    12:35 AM on 12月 5th, 2017

    [...] * 「若手芸術家の紹介から学ぶ『範・感性』の確認」 * 「蚕が平面繭をひたすら吐き続けた『SILK』」 *  tag: 18世紀, アーカイブ, ガラス, ガラス作家, ガラス工芸家, [...]


This entry was posted on 金曜日, 3月 2nd, 2012 at 12:00 AM and is filed under 企望を「までい」具現へ, 祈望から企望へ. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.