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『天衣無縫な時代と社会に活気がある』





美大を卒業すると教授命令で東芝に就職しました。
教授は他企業は認めず、(今ならパワハラ?、教え子には命令出来ず)
もし他企業ならば卒業させないとまで言われました。
しかし、東芝から始まったサラリーマンデザイナーは最高の日々でした。
サラリーマンではない、ビジネスマンになるならと、
トレーニングを上司達に教えられてきました。
僕を使いこなしていただいた上司達はすべて恩師達です。
にも関わらず、
僕は出張をすれば、ついついその地に泊まり過ぎたり、
遅刻は余りにも多いのでとうとう自由出勤が認められました。
けれども「四番バッター」と言われて入社したので、
ヒット商品は必ず出していたと思っています。
幸いにして、オーディオ分野専門であり「Aurex」のロゴも僕のデザイン。
「Aurex」での僕のデザインは今もオークションで手に入ります。
ほとんど所有しているので金沢21美術館の個展で紹介できました。
現在、東芝は企業として深刻な事態にありますが、
その理由は、顧問をしていたこともありほとんど解っています。
私のようだった東芝マンが当時は存在していたのです。
おそらくこのようなことは決して許されない時代になっているのでしょう。
入社して銀座で飲んでも、社員証でツケが効いた時代でした。
何と言っても僕のビジネスマン的やり方も
なんとなく認められた時代でした。
僕のひらめきは企業ルールをこっそりと変えてしまいましたが、
まあまあ叱られても決着してもらっていました。
電車で通勤すると、時には「電車事故」といってダイヤが変わります。
そうなると、タイムカードに「電故(電車事故)」というハンコを押します。
これをヒントに僕は「バ故(バス事故)」というハンコをモデル費で作成し、
自分だけのタイムカードに押していました。
多分半年目に労働組合にバレてしまい、大説教を受けました。
無論、デザイン部長(電器釜デザイン)にも叱られましたが
発想は認められた、そんな時代でした。
東芝は交通被災で辞職を余儀なくされましたが、つい4、5年前に、
オーディオ事業部OB・OGの「音友会」で挨拶をさせてもらいました。
東芝にはすでに教え子がデザイン部で活躍していますが、
かつて僕が天衣無縫なビジネスマン時代はすっかりと失われました。
入社した翌年「オイルショック」、退社して「バブル景気とその破綻」、
「失われた20年」という日本経済の転落とともに在った時代に、
僕の生涯が乗ってきましたが、
「バ故」というハンコが認められた大らかな日本の時代こそ、
日本が元気いっぱいの歴史を創り上げていたのだと思います。
「天衣無縫」な時代を失うことは、
時代と社会が歪むのだと思わざるをえません。


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2 Responses to “『天衣無縫な時代と社会に活気がある』”

  1. Kazuo KAWASAKI's official Blog | 企望を「までい」実現へ
    12:09 AM on 1月 28th, 2017

    [...] * 「わが国の展博・コンベンションデザインは遅れている」 * 『天衣無縫な時代と社会に活気がある』 * 「ビデオアート・現代音楽・オーディオの統合化をめざす」 [...]

  2. Kazuo KAWASAKI's official Blog | 企望を「までい」実現へ
    12:30 AM on 9月 4th, 2017

    [...] * 『私が育った企業の滅亡は日本の産業滅亡に連鎖する』 * 『天衣無縫な時代と社会に活気がある』 * 「企画は必ず具現化すること」 [...]


This entry was posted on 金曜日, 1月 8th, 2016 at 12:00 AM and is filed under ConsilienceDesign, 企望を「までい」具現へ, 危機解決をめざすデザイン実務. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. Responses are currently closed, but you can trackback from your own site.