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Posts Tagged ‘タケフナイフビレッジ’


「商品アイテム創出の評価軸をデザインが解く」


   


     2月 7th, 2012  Posted 12:00 AM

新規事業の目的と目標は製品アイテムを拡大することです。
私がタケフナイフビレッジで実現させた実例を紹介します。
すでに750年の歴史があります。
1330年代に京都からやってきた千代鶴国安(二人説もあり)、
彼の野鍛冶がそのまま産地になっていきました。
伝統的な技は「鎌づくり」の「火づくり鍛造」技術を根本にしてきました。
したがって、鎌・鉈などから包丁などが産地商品でした。
包丁をキッチンナイフのシリーズ化にデザインを導入し、
さらに産地商品アイテムの拡大をねらいました。
鋏はすでに剪定鋏がありそれは専門家向けでしたが、
鋏構造がまったく異なっていました。
剪定鋏は、両刃の中心軸が固定されずに、使用目的毎、
園芸用などでは中心軸機能により自由度を持たせます。
けれども、文具的なハサミは、中心軸の確実な固定が必要です。
だから、「HASAMI」=X&Iとして、
その文具的切れ味は火づくり鍛造技によって、中心軸固定、
一般的な切れ味の評価を産地自身が決定必要でした。
様々な文具としてのハサミの切れ味の評価は、
次のような試し切りでよくわかります。
「濡れたティッシュペーパー1枚をぶらさげておいて下から切っていく」、
これをやってみれば、如何に
ビッカー値硬度のある越前打刃物の伝統技が優れているかは一目瞭然です。
使うときをXとして、収納ケースをIとしただけの商品名です。
この刃先づくりとセンター軸製造を
産地技術とすれば、ハサミシリーズを産地商品アイテムになります。
製品開発で技術開発と製造・生産技術を高度化し、
そこから商品化アイテムを決定します。
その時デザイン導入は、
商品アイテムのまずイメージを共有してもらう動機になります。
私は、商品アイテムそのものの発見には、
商品性能と商品効能を「評価」する手法の発見、
これこそデザインが果たすことが重要だと思っています。
その「評価」を目標にした機能をデザインすれば、
新たな商品アイテムの拡大につながると考えています。
それが「デザイン解」=形態機能づくりの根本でしょう。


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「造形の言語道断」


   


     2月 1st, 2012  Posted 12:00 AM

私のデザインは、簡潔な「造形」をめざします。
多分40年間でデザインしてきたモノのデザインは、
徹底的な造形、その簡潔さ=Lessにつきると思っています。
オーディオから始まり、伝統工芸から制度設計まで、
デザイン対象領域の拡大を図ることで、
デザインの本質的な目標と目的、
その社会的意義に倫理性と美学性を求めてきました。
その代表作が、タケフナイフビレッジを設立し、
伝統工芸にデザイン導入を図り、
その作品としての「商品化展開」をしてきました。
それは素材開発から造形にモノは集約しますが、
全体的な産地存在性を明確にするコトのデザインにつないできました。
今あらためて、その中のモノ=作品としてこの「fluctus」には
簡潔な象徴性があると私自身が納得をしています。
時折、私は何にこだわって、
あるいは何をめざしてデザインをしていますか?という質問を受けます。
その回答は、「自分が一番欲しいモノ」に他なりません。
そして、デザインの目標=ゴールと目的=オブジェクトが
合致しているのは「簡潔さ」です。
それは、シンプルさを超えた意義までという意味です。
だから、「Simple is best」では済まされないことです。
「Less is more」にまで至っているかどうかということになるでしょう。
それを実現するには、多分、「最大公約数的な一人称」と言っておきます。
つまり、自分の言葉=造形言語の言語道断さまで
自分を追い詰めることだと考えています。

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『資本主義からの逃走』
   「『知延常楽』・打刃物職人の哲学にローカリズム」


   


     11月 12th, 2010  Posted 12:15 AM

ささやかな心遣いを受けながら
自宅の周辺で火事が起こっている。
消防自動車のサイレンが重なりながら聞こえる。
サイレンの音は次第に近づいて大きく聞こえる。
その時、電話がありました。
「大丈夫か?」、
「エッ、何が?」
「ラジオを聞いていたら、その辺で火事じゃないのか?」
「そうらしいけれど、大丈夫だよ」
「そうか、安心した」。
これが、越前打刃物の職人さんからの電話だった。
打刃物の職人さんは、仕事中にラジオを聞いている。
そのニュースで、自宅近くで火事があったことを知るや否や電話をしてもらった。
まだ、私は打刃物のデザインをし始めていた頃であり、
700年の伝統にデザイン導入をどうすればと懊悩としていた時期でした。
それなのに、「心配してくれている」ことを知って、
郷土に住み始めたこと事態で「都落ち」という低次元な自分に気づかされました。
職人技がたどり着く哲学
彼の父上は、工場で何かと詳細に素材のこと、炎の色、さらに越前打刃物火造り鍛造のことを、
作業をしながらひたすら私に語りかけてもらっていました。
しかし、デザインで「タケフナイフビレッジ」へと向かいだした時に亡くなってしまったのです。
彼の鍛冶場の壁に、「知延常楽」と彫り込まれていました。
私は相当の古典を調べましたがこの言葉は見つからず、父上の造語だと理解しました。
知延=鍛造で鋼を延ばしていくことを知れば知るほど、
日常の楽しみがある=常楽、という意味合いだと彼と話し合いました。
私は、生涯を打刃物職人として、
「鑓鉋(やりかんな)」という宮大工道具を伝承することができた技士、
その「日常からの知恵を蓄積していき、働きがい」への自負心・誇り・喜びという主義性が、
風土の生き様にこそ、地域主義・地方主義・ローカリズムの成立があることを教えられました。


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『資本主義からの逃走』
  「デザインは『付加』するものではないということ・2」


   


     7月 20th, 2010  Posted 12:00 AM

デザインは応用芸術ではない
デザインという職能効果は、バウハウス時代に様々なアプローチがあり、
建築や芸術との学際性に位置づけられていました。
その後、米国の大量生産と大量消費に結びつきました。
デザインが「付加価値」というのを招き入れたとするなら、この時代です。
「デザインは外観づくりの応用芸術」と見なされた過去があったことです。
以前、「デザイン講座」的なTV番組の中ですら、デザイン評論家が、
「商品の外観は、付加価値」的な発言を講義していました。
それは、当時の経済評論家たちも追随する風潮であり、それが歴史的な誤謬だと、
私は考えており、デザイン界の一部には容認できない内容でした。
当時、デザイナー仲間で、哲学者N先生の元にて理論構築をしたことがあります。
デザインの本質的な役割に、「問題解決」・「難問解決」と結論を持ち合いました。
私も参加し、議論させてもらっていましたが、
その時には、すでに私は「タケフナイフビレッジ」を「越前打刃物産地」に実現していました。
「タケフナイフビレッジ」に掲げたテーマは、
「私たちは美しい切れ味を鍛えています」ということでした。
これは、明白に、伝統技・産地活性と存続・刃物の未来性でした。
そして、問題解決は、三つの方向で見いだしていました。
それは「モデル化」です。
● 伝統技の現代的な技術進化・伝統技の徹底的な分析
● 素材開発から市場流通のデザイン主導
● 産地の未来像を時系列的にデザイン計画
この三つの「モデル化」は、そのまま「デザイン価値」が産業化されていない、他の地場産業、
中小企業、さらには「付加価値という誤解がまかり通っている大企業」にまで、
展開することができると私は確信しました。
特に、テクニックからエンジニアリングにするためのテクノロジーは、
デザインが持ち込むことができる。
産地存在の広報広告には、ブランドの確立から、
産地アイデンティフィケーションの確立が必然であるということ。
「製品」から「商品」になるための「情報戦略」
こうしたことを統合化し、主導するのがデザインであり、
産地がただ産業化していると思い込んでいる「商品」は、
すでに現代的な「価値評価」が行われていないことを、
産地職人のみんなに伝えていくことでした。
最も、彼らが「商品価値」として認識してくれたことがあります。
それは「商品写真」でした。
「このカメラマンはダメダ」という会話を聞いた時です。
「このナイフのこことここの光り方が撮れきっていない」という評価に私は驚きました。
すでに、彼らにとって、デザインによって可能になったことは、
「付加された外観的なこと」ではなかったわけです。
ユーザーに「製品価値」が消費する「商品価値」となるためには、
産地存在から製品までを「全体価値」にしていくデザイン、
それが不可欠になっているという認識でした。
そこで、私がその「全体価値」を「物語」と言って彼らに伝えていました。


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『資本主義からの逃走』
   「伝統?・・・デザインが応えていくために」


   


     7月 18th, 2010  Posted 12:00 AM

越前打刃物へ
現・越前市(武生市)は、
私が小学5年から中学2年までをすごした街でした。
かつては、国府があり、紫式部が父親とともに滞在していて、
彼女が詠んで歌は、「こんな雪が降って寒い所はイヤだ、京の都が恋しい」というのばかり。
にもかかわらず、紫式部の街と喧伝していますし、銅像まであります。
それよりも重大なのは、「鎌」が全国(日本列島北部だけ)に出回っていたという歴史。
 南北朝時代からの「越前打刃物」産地だったことです。
私が、デザイナーとして再度鍛え上げられたのは、
この産地の仲間・職人さんたちと「タケフナイフビレッジ」を創り上げたことです。
ここで、私は「デザイン」の価値=デザインされている商品価値を
産地に納得してもらわなくてはならなかったのです。
東芝時代は、デザイナーであるがゆえに、
デザイン価値を詳細些細に語り切るということはそれなりにありましたが、
「デザイン?」という一言に対して、説得し、納得してもらわなければなりませんでした。
当時も、そして現在でも、「デザインは付加価値」というのがまかり通っています。
「たかだか包丁」です。しかし、「包丁」・「刃物」と私は向かい合うことになりました。
なんといっても「伝統的工芸技術」を思い知らされることになります。
が、私はこれまでの「伝統技」がウソっぽく見えているのです。
 ●素材がこれでいいわけがない。
 ●製造方法の「手作り」が間違っている。
 ●産地表現が商品のどこにも無い。
 ●これからの包丁になれる性能・機能があるのか。
 ●この産地の存続性の鍵は何か。
というようなことが、それからの私へ自問自答して、なおかつ産地のみんなに、
「だから、デザインした商品にすべき」という話をしていかなければならなかったのです。
私に、これまでの「伝統技」に「デザイン」を「付加」するという発想は皆無でした。
つまり、「付加価値としてデザイン」というフレームはゼロだったのです。
以後、私は福井県内の伝統工芸産地に飛び込んでいくことになります。
私が「デザイン価値」と言うべきなら、それは次の三つに集約させることができます。
 ■「伝統」とは「裏切る」こと、裏切るだけの新技法をデザインが主導すること。
 ■「産地」の由来や作り手であるみんなを「ブランド」化すること。
 ■「越前打刃物」の新「物語」性を情報化していくこと。
この三つを「デザイン」で統合化してみせることができる、ということでした。


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5月12日Staff Blog


   


     5月 12th, 2010  Posted 5:36 PM

5月12日

鉛筆削りSCHOLA
SCHOLAは、今は生産終了した作品です。
この商品には、本革仕様のケース、
さらに、「砥石」まで付属しています。
刃先は無論、蛤刃仕様、「火づくり鍛造」の
越前打刃物750年の伝統技モノです。

SCHOLAから、
PLASCHOLAへの展開となりました。
刃以外の持ち手部が
プラスティック素材仕様の品なので、
プラSCHOLAです。


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12月11日Staff Blog


   


     12月 11th, 2009  Posted 11:15 PM

12月11日

蕎麦と言えば、
福井人にとっては
「おろし蕎麦」です。
寒い冬でも暖かな室内で、
大根おろしをのせた
「冷たーい蕎麦」を食べるのです。
羊羹も、
福井人は、冬に食べる
冷たーい黒砂糖味の水羊羹が大好物?
もちろん福井人の
BOSS(川崎和男 Kazuo KAWASAKI)は、
「おろし蕎麦」、「水羊羹」
大!大好物!。
もうひとつ忘れてならないのが
「ソースカツ丼」。
BOSSの最強鉄板メニューなのです。

タケフナイフビレッジから、
毎年送っていただき、
皆おいしくいただきました。
BOSSは、お米も、福井コシヒカリです。
コシヒカリの本家本元の本物だ!と言っています。
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11月5日Staff Blog


   


     11月 5th, 2009  Posted 2:27 PM

11月5日

BOSS(川崎和男)傑作
フラクタス(FLUCTUS)
ラテン語で「波」です。

タケフナイフビレッジの製品の中でも、
最も鮮烈で崇高な造形美を持っています。

サイドビューは面で波を表し、
トップビューは、一本の線、
ラインでグリップの立体感と、
波を表しています!
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BOSS(川崎和男)も、
描き出した時、身震いしたという
トップビューの一本のライン!
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フラクタス(FLUCTUS)は、
四角錐におさめられます。
これは、機織りのシャトルと
同様の技法でつくられました。
今は、生産が難しいので
終了してしまいました。

BOSS(川崎和男)は、
海外ではジーニアス!と、言われてますが、
まさしくジーニアス?と思う1品です。
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11月4日Staff Blog 2/2


   


     11月 4th, 2009  Posted 3:41 PM

11月4日

BOSS(川崎和男)宅で
実際に使用中の包丁は、
越前打刃物 タケフナイフビレッジ
とつくりあげた製品の試作品です。
何度も試作を繰り返されたそうです。

当時、柄まで金属一体で仕上げた刃物は、
ありませんでした。
これは、クレウスシリーズ
試作のため、刃部分の切込みが異なり
試行錯誤がうかがえます。
25年前の試作品!!!
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10月17日Staff Blog 2/2


   


     10月 17th, 2009  Posted 11:42 PM

10月17日 2/2

BOSS(川崎和男)のプラスコラ、
オリジナルは下のモノ。
ゴム印がシルク印刷になっていたので、
新色を11月はじめより販売するので、
再度、型からゴム印をおこしました。
1色のみ追加ですが、Coming Soon!です。

ロングライフな製品は、
オリジナルがデサイナーの意図とは、
反して変更されているモノや、
時代とともに、
改良進化しているモノ様々あります。

初期ロットのモノを購入し、
追って見れば、商品としての
試行錯誤をみることができます。
最近追加で購入したあるデサイナーの
ティースプーンのラインが、
微妙に変わっていました。
これは、残念でした。

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