kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘患者’


『小児センター入院子どもたちの絵を観て』


   


     8月 3rd, 2017  Posted 12:00 AM

大阪大学医学部附属病院にある小児センターには、
約80名の子供たちが入院しています。
私自身、月2回は検診や採血をしてもらっていますから、
今日は、その入院患者である子どもたちの絵が展示されていました。
小児センターでは、先般、私がプレイルームに来られる12名の子どもたち、
4歳から12歳に「応援してくれている企業2社から、
黒板、時計ユニットの提供を受けて絵=スケッチを、
もう一つの寄附講座の教授、准教授も加わって教えました。
入院している子どもたの夢も聞き出しました。
なんとか、「阪大病院に入院したから出来たんだ」と
私はその夢の実現を研究室の一つの大きなテーマにしています。
まず、彼らの夢を聞いたからには、やれるかもしれないではなく、
もし、実現出来なくても、ここまではやったよ、と伝えたいのです。
そうしてデザインが実現出来るかもだったら、
絶対に実現が目標です。
「名前教えてくれる」
「いやだ」
「・・・・・」
「また、教えに来てくれたら考える」
この会話をした女の子を思い出しながら、
分校になっている彼らの作品をじっくりと観ました。

* 『学校での美術教育では教えないことを入院児に』
* 『あの街から知識が近づいてきていた』
* 『血圧・心拍数・脈圧の関係の見詰め直し』
* 『行学の士ならば、基幹産業は絶対に見つけ出すべきだ』
* 『黒板メーカー・馬印が実現してくれた「価値」』


目次を見る

『コンピュータ制御ベッドが示唆していたこと』


   


     7月 14th, 2017  Posted 12:00 AM

これは私が30代のデザイン作品です。
13の企業を統括して商品化し、大商事会社と大デパートで展覧会もしました。
そして、毎日デザイン賞の対象作品にもなったのです。
当時、とても優れたMacintoshの「ハイパーカード」で、
ベッドの動作仕様を決定して、寝たきりの患者さんの褥瘡を無くし、
ドクターがベッドの動きを指定すれば、
実際には歩けるようになる、ということまでを実現しました。
問題は市価だったと思います。
36個の上下動空気圧ポンプをコンピュータ制御するシステムであり、
背中を押し起こす機構など高価でした。
そして提案が早すぎたのでしょう。
現在は8個のポンプで新しい素材でのアドバンスデザインに至っています。
また何と言っても当時のハイパーカードは、現在ならカラーで展開が可能。
このハイパーカードこそマルチメディアという言葉を抹消したソフトです。
このソフトを知っている人こそ、Macのあるべき方向を言えるでしょう。
私の発想はこのハイパーカードで支援されていました。
今はありませんがMacProjectというソフトでは13社の工程管理をしてました。
現在、いわゆる褥瘡はこれからの老人医療でも大きな問題です。
私はウォーターベッドで、褥瘡から解放されましたが、
それでも瘻孔という事態にもなり、ワイフは完全無菌での瘻孔管理を
トレーニングした経験もあります。
褥瘡=床ずれは、手術時間4時間でも発症すると言われています。
この床ずれ管理は現在すべて海外製ですし、進化せず高額です。
車椅子生活での経験では、ベッドや褥瘡管理は私の使命かと思っています。
そういう意味では、これからのプロダクトデザインは、
韓国の環境デザインが、建築系ではなく、ロボット環境にしているように、
車両・航空機・造船デザインや、医療すなわち看医工学デザイン、
防犯防災デザイン領域へと焦点化と拡張化が必要です。
30代のこの私デザインこそ、
デザインでの問題解決をすでに示唆していたものと感じ取っています。

* 『「眠る環境」その要素としてのウォーターベッド』
* 「ジャンボ・ジェットは747-8が完成型だった」
* 「コントローラーのデザインはまったく進化していない」
* 『宝飾品を実際に確かめていた頃を思い出す』
* 『看医工学へのレジリエンスからコンシリエンスデザイン』


目次を見る

『看医工学デザイン対象のアルツハイマー』


   


     7月 5th, 2017  Posted 12:00 AM

現代、私たちの生涯、あるいは生をストップさせるのは四つあると思います。
まず、天災と人災、そして癌、アルツハイマー病です。
とりわけ、この日本は天災・地震と津波は避けようがありませんから、
ともかく、減災、国土強靱化は根本が大間違いです。
これを私はレジリエンスデザインとして、
熊本地震から39大学のデザイン系や建築系で
レジリエンスデザインの調査活動に、
ベースとしてのコンシリエンスデザインを手法理念にしています。
人災である戦争については、
どうすることも出来ない北朝鮮からの拉致被害者奪還を訴求し、
防衛としてのいわば軍事は当然仕方ありません。
そして在日スパイへの歴然たる政府強化が希望です。
そして、看医工学としては、癌とアルツハイマー病をもデザイン対象。
これが看医工学のターゲットだと考えると、
コンシリエンスデザインは切実なデザインの主要手法論とします。
これまでの美大やデザイン工学、今や風潮に過ぎないデザイン思考には、
とても癌とアルツハイマーはデザイン対象にはならないでしょう。
しかし、フランスでは「アルツハイマー病患者」へのデザイン解決が、
デザインコンペティションになるほどです。
韓国もコンシリエンスデザインでの新たな国家体制づくりを提案。
現在、ミラノ工科大学とのコンシリエンスデザインと看医工学での
阪大との提携に着手しています。
癌は急激にバイオテクノロジーや新たな療法、薬剤、抗がん剤不使用など、
そうした看医工学が見えてはいますがかなりステージ?ともなると困難です。
知人、友人を今年は多く見送ってきました。
私は母を47歳大腸癌、当時は手術してやっと癌と判明でした。
それだけに、大腸癌は詳細にデザイン対象にし私自身が決めてきました。
そして、命あっても、しかも若年性でのアルツハイマー病と
デザインの関与方法を見いだしたいのです。
私が恩師とする大事な人もアルツハイマーと聞くと、
デザインにとって、宿痾=アポリアかと思ってしまうからです。
デザイン対象にアルツハイマー病を立ち向かわせたいのです。

* 「生きることの模範・範疇・範囲として」
* 「『危機』・ことばの定義について」
* 『レジリエンスの学習はデザインにつながる』
* 『もう一度美しい国を再興するレジリエンスデザインを』
* 『「くまモン」参加のワッペンでレジリエンスデザイン』


目次を見る

『学校での美術教育では教えないことを入院児に』


   


     6月 11th, 2017  Posted 12:00 AM

大阪大学医学部附属病院の一階フロアには、展示コーナーがあり、
近郊都市の美術・写真・書などの同好クラブの作品が展示。
ほぼ一週間に一回、私はじっくりと見ています。
そうして附属病院小児科病棟には、
約80名の子ども達が入院していますから分校なのです。
医師はもちろん看護師さんだけではなく、
CLS=チャイルドライフスペシャリストという米国で資格取得された方もいます。
この資格取得はまだ日本での教育養成大学はありません。
私はこの病院に入院児たちの展示作品の絵を楽しみに観にきています。
随分前から、入院児たちの「絵」を見て、ここには分校にまでなっていますが、
日本の美術教育に疑念があっただけに、
私がプロとして「絵」を教えれば、絶対に日本の美術教育ではない、
それもデザイン教育>美術教育の基礎力を与えられると企画しました。
CLSの担当の方と打ち合わせをして、ともかく「実現」をやっと出来ました。
入院児たちは、体調でプレールームに来られる様子は毎回異なることや、
白衣は怖がるなどで、私の寄附講座だけではなく、
もうひとつのバイオ系寄附講座の教授、准教授も参加いただき、
とりあえず、「絵」のもう根本的で絶対に学校教育では
スケッチの本当の役割のスクールを私が実演=絵を描く方法を教えました。
4歳の子から中学生まで10名には、
黒板メーカー・馬印と時計メーカー・タカタレムノスから、
黒板と時計ユニットは、この企業も大賛成で協賛していただきました。
いわゆる患者でもある子供たちだけではなく、
親御さんにも、「なぜ絵を描くか」なども、
看護師さん、CLSさんにも協力をしていただきました。
基本を教えたら、手の描き方、顔の描き方、身体の描き方はどうするの?、
と言う質問も飛びだし、直ぐに私は実演でその質問には
「絵の基本と描き方」を実演してみせました。
4歳の子はすぐに理解し、初めて黒板には、ブドウ?だね、と言えば、
絵からブドウを私の手にも分けてくれました。
「自分のマーク」もと思って、
名前を聞いたらかわいい女の子:絶対に美人になる子からは、
「もっと教えにきてくれたら教える」と言われてしまいました。
もう時間だからと言っても辞めない子には「デザイナーになれるよ」と、
励ましたら、「ドクターになるから」とか言われる始末。
でも、ドクターも絵を描くから受けたとか。
みんなの瞳がキラキラしていました。
私は「入院したり大きな手術をしたけど、プロから教わった」、
その思い出を与えたかったことと、
入院している子供たちみんなが希望している、
大人には予想もしていなかったコトを知らされ、
デザイナーとしてなんとか実現を目指そうとかや、
黒板への想い、時計への想いを教えられました。
なんとか入院したからこそ出来る
このスクールを連続させたいと思っています。

* 『芸術工学からコンシリエンスデザインに』
* 『黒板メーカー・馬印が実現してくれた「価値」』
* 『まだ私デザインHOLAは動いているしかし無情合掌』
* 『最も基本・バイタルデータの「体温」はデータ化してきた』
* 「心電図波形が意味すること・意味されていること」


目次を見る

『「金の美」展の出展説明表示プレート』


   


     9月 14th, 2016  Posted 12:00 AM

母校の卒業者展「金の美」展、
その出展作品の出展者として、これが表示プレートです。
このデジタルアッサンブラージュは、
基本的には「訪問看護」での高齢者、あるいは患者向けへの映像機器です。
まず、アッサンブラージュの美術的な歴史性を説明し、
看護・介護環境では、32インチ3台は、全画面、2+1台、各1台、
それぞれには、診る・看る・観る・視るが対応します。
 ● 診る=医療環境
 ● 看る=看護・介護の環境
 ● 観る=観賞環境
 ● 視る=高齢者・患者のバイタルデータ
この4つの性能には、IoT、IoMeT=Internet of Medical Things、
この社会的な存在=効能が実装されることで、
デジタル・アッサンブラージュとしての機能が生まれます。
そして、病院や行政からの情報は診ることになり、
看護や介護を支援して、バイタルデータは、ビッグデータとして、
新たな医療・看護・介護を、さらに科学的な制度を向上させます。
観賞環境はTV・CATV・InternetなどこれまでのTV環境を進歩させます。
今回の「金の美」展では、こうしたことを、
デザイナー・出展者として、
表示プレートにしました。
これがこれからの次世代デザイナーの目標になることを期待しています。

* 『診る・看る・観る・視るを取り囲む安全と安心の環境』
* 『花嫁と独身者たちへのデジタルアッサンブラージュ』
* 『マルセルデュシャンの立体化からアッサンブラージュ』
* 「美術館・博物館という空間建築アイテムは終わった」
* 『何がデザイン思考かは終わったのだ』


目次を見る

『眠ることを知るためのアプリを使いながら』


   


     8月 11th, 2016  Posted 12:00 AM

人間が生きている、ということは、
真実、4つのことしか行動していないという持論があります。
   ● 働くこと
   ● 学ぶこと
   ● 遊ぶこと
   ● 休むこと=眠ること
したがって、それぞれ6時間あればいいはずです。
実際、人間は生涯その四分の一は眠っていることだと思っています。
この考え方になったのは、フリーランスになって、
ともかく「働くこと」だけで、決して4時間以上は眠らないとさえ、
自分を追い込んでいたことがあります。
きっちりと眠り、遊ぶように働き、学ぶように遊び、とかで、
現実、デザイナーの業務は学ぶように働く、働くように学ぶことでした。
最も、働くことが遊ぶこと、遊ぶように働くということが出来る、
そのようなデザイン対象があれば、デザイナー甲斐があると思っています。
年老えば、睡眠時間は短くなると言われますが、
なんとなく自分は6〜7時間は眠っていますし、休日なら、
一日ベッド上で眠っては起きを繰り返すものです。
さて、ここまでiPhoneでは、可能になって来ています。
歯磨きも歯ブラシとスマホの時代になっています。
正直、睡眠不十分というのは、このアプリでは、
自分でこれだけ眠るという時間設定をして、目覚めたときには、
このように視覚化されたアプリでなんとなく眠った経緯を見ているわけです。
自分にとってもう絶対に嫌なことは入院です。
入院するとは、人生では休むことと眠ることだけの時間になります。
遊ぶように休む、遊ぶように眠ることが出来ればいいのですが、
そういうことまでには、介護環境・看護環境・医療環境が患者さんに
与えなければ意味がありません。
「コンシリエンスデザイン看医工学寄附講座」の目標と目的は、
遊ぶように休み、遊ぶように眠ることだと思っています。

* 「二歳児がiPhoneを直感で使いこなす!だから私たちの義務」 
* 『最も基本・バイタルデータの「体温」はデータ化してきた』
* 「# 立ち後れている日本のデンタルケア文化 #」
* 『権威が権力として誤った選別を告知へ、に反抗』
* 「 資本主義・社会主義その文脈には皆無の文化性」


目次を見る

『コンセプトからイノベーションは起こらない』


   


     3月 6th, 2016  Posted 12:00 AM

「KK塾」は親友であり同僚、そして今や医学系研究科長の
澤教授にお願いしました。
おそらく、
TV医療ドラマでは有名な心筋の再生医療を知る機会だったはずです。
心臓移植では国際的な権威ですがそれこそ阪大の心臓外科医どころか
緊急医療医としても
医学界では相当の人間生死の現場で経験を持つ医師です。
ところが、
世界でそれも日本の最も慎重し過ぎる薬事法を
「ハートシート」適用させた教授です。
「ハートシート」は患者自身の腿の筋肉を培養して、
細胞シートを心筋シートにして患者の心臓に張り込むことで、
心臓移植どころか、心臓を再生させてきました。
この実績は
日本の薬事法を薬剤でもなく医療機器でもなく細胞シートを
日本の国内法に適用させてしまいました。
これは特に米国を刺激し、
今では世界中からメディカルツーリズムとして
阪大病院にての手術を可能にしています。
澤教授は、心臓外科医だけではなく、無論次世代の医師養成だけではなく、
大阪を中心とした「街づくり」の中心人物になっています。
私自身、私の心臓から身体は阪大にすべてを任せています。
工学研究科から私のミッションである「コンシリエンスデザイン講座」も
今では医学系研究科にて、医学・看護学・保健学、そしてその周辺から、
まだ発表待ちの医療機器、その動物実験、医療環境デザイナーなどは、
すでに、「コンセプトからのイノベーション」ではなく、
「ラインからのアライアンスイニシアティブ」として
やがて公表されることになることを狙っています。
「コンシリエンスデザイン」対「レジリエンスデザイン」は
まさにデザインの本質である発想は「コンセプト」からは逸脱しています。
「lineによってmagic balletなgigがgood vibes」になること。
「デザイン思考」がイノベーションを生み出すと勘違いしている
現代日本を変えます。
「コンシリエンスデザイン」だからこそ、
その実例を看医工学で実際例を紹介講演してもらいました。
生老病死をAIによるゲノムからの再生医療は
医療環境を超えて
新たな街づくりに向かっていることを知って貰ったと確信しています。


目次を見る

『宇宙開発の信頼・安全性工学からデザインが学ぶこと』


   


     1月 26th, 2016  Posted 12:00 AM

宇宙工学とデザインの関係は、まだまだ双方から、
お互いのとりあえず話題が語られることがありません。
話題ゆえ応答、そして課題ゆえ回答、問題ゆえ解答です。
昨年から、宇宙工学とデザインを私が主宰する「KK塾」で、
それも私のいとこ(父の姉の息子)と講演会をしています。
宇宙工学といっても、その最大の問題点である
「信頼・安全性工学」という宇宙工学のさらに専門からの話です。
まず、何と言っても宇宙工学では、
「修理を一切しないで寿命どおり」しかも一日24時間稼働の
それもシステム設計どおりのモノづくりでなければなりません。
いとこ・長谷川秀夫工学博士は航空工学から、
宇宙開発事業団時代は、ヒューストンにてNASDAの所長として
NASA・NASDA・ESA合同で
宇宙実験棟「きぼう」の実質統括設計者。
最初の宇宙飛行士・毛利氏を飛ばした責任者でした。
以後も、H2Aロケットやはやぶさに関わってきたディレクターであり、
現在はJAXAから宇宙開発機器の発注管理企業の社長です。
信頼・安全性というのは、
何と言っても「修理・修繕無し」が鉄則であり、
たとえ話でいえば、「手術は不成功でも患者は助かる」ということです。
そのためには、「知見」の裏付けが詳細に求められることになります。
なんといっても無事故・無修理・完全であるモノとシステムづくりです。
所詮、
人間が創り出すモノは失敗して当然ということは無視する世界観です。
「知見」とは、知識と見識をさらに深度を求めて、
知識と知恵は経験からの帰納的な結論に対して、
さらにどこまでも想定外を完全無欠化するという工程が
「組織」の組み立て・運用・維持が必須だということです。
それは想像力を果敢に発揮してしかも知恵や見識をさらに完璧にすること。
なぜならば、
宇宙工学での危機システムの部品点数は200万点をPDCAという方式。
Plan→Do→Check→Actionという手続きがあるそうです。
これは現代のモノづくり全てに適合した考え方です。
そのために、
「勘」を取り囲む「観」・「看」・「鑑」・「関」・「感」が配置された
「知見」は、まず、
ハードがあってそれをソフトでどこまで支援出来るかという
「事故シナリオ」が中軸です。
あくまでの「怖がる」ことの重要さというのは、
デザインでの問題解決以前に、問題提起があるのですが
スペキュラティブデザインというような軽さはありませんでした。
あくまでも無事故で無事なモノづくりを
デザインは宇宙工学から学び取らなければならないということでした。


目次を見る

「オノマトペ=感性評価軸が学術検証された」


   


     9月 23rd, 2015  Posted 12:00 AM

声喩・擬音語・擬態語として
「オノマトペ」の学術論文がようやく査読OK。
これは私が長い間、繊維の性質分類の感性評価軸、
その設定をめざしてスタッフを中心に、福井県織物組合の青年部会と、
擬音語で、布感覚評価をしてきたことを学術的に、
感性工学会に提示してきたものでした。
提案から1年半かかったことになります。
かねてより、繊維・布には七つの手触り感覚での分類がありました。
しかし、数値化不可能であり、プラスチックが金属化をめざしていた、
その手法に触発されて、まず我々はその感性評価の6角形に、
さらに「しなやかさ」を付け加える道具で、
布の手触り感覚評価を随分と積み重ねましたが、所詮、それは、
大人たちの感覚に頼りきっていることに気づき、
保育園児たちに彼らの感覚評価を求めてみました。
「ぬめり」・「しゃり」・「きしみ」は幼児達の語彙には無く、
それゆえに、彼らは頬に押し当てたり、噛んでみたり、嗅いでみたりと、
彼らの五感に布の感覚はまさに新しい擬音語まで突出する有様でした。
これによって「羽二重:HUBTAE」ブランドの
参考見本帳の感性評価軸ができました。
ちょうど同じくして、二つの現象が起こってきています。
ひとつは、ビールCF表現での「ぐびぐび」、「ごくごく」とかを
未成年の飲酒禁止表現でのあり方検証になっています。
またもう一つは、
医学特に、問診でのどこが痛いかを伝えるオノマトペ運用があります。
「ずきずき痛む」、「きりきり差し込む」などは、
患者とドクターとの会話での感覚伝達になりますから、
これをさらに突き詰めていくことで、背中、胃周辺など、
体の一部への痛度評価になるという研究が出現していることです。
このことを大阪大学医学系研究科でも、
痛度の「オノマトペ感性評価軸研究」に
明確に持ち込むことが可能になりました。
地方産業、その繊維の感性評価軸への「オノマトペ運用」は
デザインにおける一つの
それも大きな感性評価が可能だということです。
そのためには、擬音語や擬態語の収集と伝達によって、
これら擬音語が少なくとも三つ重なった時には、
感覚伝達の共有化が必ず叶うのではないだろうかということです。
おそらく「オノマトペ」というラテン語からフランス語になっていった
ことばが感覚伝達をすることは確実になったと思っています。


目次を見る

『1949.2.26日から生きている=死んでいく私』


   


     2月 26th, 2015  Posted 12:00 AM

私が交通被災に遭って車イス生活になったのが、28歳の時でした。
半年、救急病院で手術をし、転院してリハビリを受けました。
その病院で、統計データを見せた担当医は、私に、
「データ上では、確実に、40歳までが君の寿命」と言われました。
(こんなことを患者に伝える、お前はバカか!・・・)
それなら、いち早くこの病院を出ようと、
たとえ熱があっても体温計をゴマかしてリハビリ訓練をしました。
私の予測道理に米国のベトナム戦争傷兵脊髄損傷者の訓練で、
半年でリハビリ病院を出て、赤坂でデザインスタジオを開設、
しかし、父の命令で福井に帰り、40歳までをと・・・
気づいたら40歳になり、運良く毎日デザイン賞を受賞していました。
(あの嘘つきドクター!)と思っているどころか、
47歳で逝ってしまった母を考えて、47歳で大学人になりました。
2049年には100歳ですが、2050年以後の予測までを読んでいます。
66歳になってしまった私ですが、
やり残していることは、まず、デザイナーとしてやり遂げたい、
したがって、大阪大学を退官時の作品集「川崎和男Design」を出版。
出版社には、とんでもない、もう一冊作品集を出すと言っています。
結局、大阪大学大学院医学系研究科に転籍して、
今春からは正式に「コンシリエンスデザイン寄附講座」を新設です。
3.11の復興、範原発(脱原発は論理・言語論としても間違い)、
南海トラフ対策、そして2020年の東京オリンピックは観たい、
これが生きている=死んでいく私のとりあえず2050年までの計画です。
生まれて生きていくのは死んでいくことを明確に認識しています。
66歳ゆえに時間の体感経過速度はあっというほど光陰矢のごとし、
当然です。
66歳ともなれば、一年は66分の一で過ぎ去ります。
恩師は93歳で逝かれました。100歳を約束しました。
真正面で死を見つめて、それも3度も観てきた経験がありますが、
これから66分の一で過ぎ去る一年間にやれるだけやるだけです。

目次を見る