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Posts Tagged ‘文房具’


staffblog 8月22日


   


     8月 22nd, 2016  Posted 10:30 PM

8月22日

本日はエイ出版の清水様が、
筆記具について取材にお越しくださいました。

ライターの方やカメラマンの方など、
4名の方にお越しいただき、楽しく取材いただきました。

書が中心のお話しということで、毛筆のお話しも。

一方ではタブレットを使った書のお話しも。

しかしながら、川崎の場合、スケッチは欠かせません。

たっぷりと時間をかけて取材いただきました。
ありがとうございました。


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『電子ペンはすっかり日本開発が海外に負けている』


   


     5月 4th, 2016  Posted 12:00 AM

電子ペンはその登場以来、自分は全てをこれまで使用してきました。
この技術はもうすでに25年程度になると思っています。
さらに元々の出発メーカー・海外からも、
私が使用者と知って相談を受けたこともありますが、
すでにこの電子ペンの実装を知っていたので、はっきりともうこの方向では
絶対に失敗しますから、この分野に向けるべきですと言いました。
案の上、そのメーカーは追い越されて、
とうとう新規の電子ペンが出ました。
文房具としての電子ペンに対しては、
自分の使用性では、まず、「書」が可能?次に「スケッチ」が可能?
それからようやくやっとメモが書けるかということです。
電子ペンは、まず紙媒体にそれこそレイヤー設定、あるいは色設定で
紙に書いたり描いたりをスマホからPC
さらには PADにまで展開と転用です。
この可能性がまた広がり始めましたが、なんのことはない、
海外での発明が一度駄目になり、日本流に改善不足がありながらも、
この商品の欠点や、もはや当然となっているノートに
様々な展開がでてきています。
結局、日本のもう一つの弱点がつかれてしまっているという悔しさです。
すでにPADでは自由なスケッチ技法からアナログ的なレンダリング手法を、
教育出来る程自分の技能は身体化していると思います。
まだそれでも新製品電子ペンは勿論、スタイラスも、
日本独自の開発をするべきだと考えています。
阪大医学部附属病院小児病棟にある学校で
「スケッチ」を教えるつもりです。

*『使い心地を試し使い果たしている電子ペン』
*『私のデジタルアイディアスケッチとスタイラス』
*『iPadでのスタイラス先端が新たなペン先になった』
*artgene blog『デジタルペンその1』
*artgene blog『デジタルペンその2』


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『ノート形式』、その使い勝手はまだまだ拡張する


   


     6月 30th, 2015  Posted 12:00 AM

この企業の新商品はほぼ常連のごとく、
商品づくりにおいて、徹底したきめの細かさがあります。
それだけに、今度はどのような商品をと気がかりですから
多分、毎年それは企業ストレスになっているかもしれません。
しかし、企業とは、「企」という文字の象形文字意味には
明らかに、つま先をたてて遠くを見つめて案を決定している、
その原意がありますから、企業とは未来づくりだけが
常に求められていて当然だと考えます。
よって、デザイン主導でなければなりません。
さて、またしても新しいノートが登場しました。
当然のこと、紙質からシリーズの外観的な意匠は優れています。
しかし、
このメーカーはこれがデザインだということを超えようとしています。
ノートゆえにノート性能だけではなくて、
それ以上に、ノートには何を記述し、それはどのような発想、
すなわちアイディアの記述性にまでを目論んだ
問題解決を成し遂げています。
それは、ノートといっても、文房具の基本をさらに詳細に
使い勝手を拡大しています。
今回このノミネートと、当然の受賞から、
私は、まだまだノート類の用途開発と
ノートというものの拡張性があることを知ることができました。
もちろん人間には「考えること」と「思うこと」は同次元ですが、
実際は大きな違いがあります。
それはこのノートを思考の道具としてユーザーに
ノート形式を横型にして、横型柄の紙面を準備しています。
それはユーザー自らが、
このノートをどのように使っていくかを問いかけています。
惜しむらくは、このノートには海外製ノートの
バインディングのゴム素材までを新規にしてほしいことを望みます。


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『森羅万象悉紙也』=ペン先メインテナンスの紙


   


     6月 29th, 2015  Posted 12:00 AM

文房具の審査会に出るためには、
私は国内外ほとんどの商品は熟知することを義務にしています。
しかし、新商品の登場を会場で初めて知ることもあります。
それがこの審査会の大きな楽しみになっています。
今回、この商品を見たときに、日本という国は、
なんとこのような紙製品を創り出したことにびっくりしました。
私自身が万年筆の収集趣味があり、万年筆においては、
そのペン先の重要さを知っているだけに布地にしても、
ちょうどペン先清掃の布については、
繊維質との兼ね合いがあると良くないことも知っていました。
私は和紙についてもプロだと自認しています。
「森羅万象悉紙也」という越前和紙職人さんとの越前和紙もあります。
紙は和紙と洋紙の違いも十分に知っていますが、
万年筆のペン先、そのメインテナンス専用の用紙までが開発されました。
今、おそらくティッシュペーパーなどでは、
その紙質の繊維によって、マイナス面があります。
私は私なりに選んだボロ布をペン先、ペン軸内外それぞれに使っています。
そういう意味では、ここまでの商品開発をするというのは
日本人だからこそ、心配りのある商品であると思います。
万年筆と紙との適合性を謳いあげたノートや便せんなどもありますが、
私は、この適合性については、やや疑問の商品もあります。
それは、万年筆のインクの染みこみ方だけでは語れないのです。
重大なのはペン先との適合性があります。
そういう意味では、
ペン先のメインテナンス性だけに特化したモノづくりは
特筆すべき新たな商品アイテムの提案になっています。


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『万年筆で顔料インクがありえるのだ』


   


     6月 23rd, 2015  Posted 12:00 AM

色の材料は二つの種類があります。
染料と顔料です。大雑把に言えば、
植物系(染料)と鉱物系(顔料)と言ってもいいでしょう。
美大卒ですからそれなりに染料と顔料には親しんできました。
何と言っても墨とラピスラズリに最も親しんできました。
それは顔料の世界であり、ともかくしっかりと墨の黒さであり、
ラピスラズリは金沢の青紺色と言っていいでしょう。
顔料の色はいわゆる泥絵の具の世界ですが、
10年前に「極黒」というインク、
そして青紺色のインクが出た時には驚きました。
理由は、今では染料のほとんどが化学的なモノであり、
インクを万年筆で使うとなれば,
顔料インクなどは考えられなかったのです。
ところが、日本の染料・顔料技術は本当に優れていて、
なんとカラフルな顔料インクが商品になってしまいました。
これは世界的にもトップクラスの技術成果であり、
最近は万年筆ブームにもなってきましたから、
この顔料インクになんとしても興味を持ってほしいと思っています。
私は日本の文房具は、
海外ブランドのデザイン戦略不足からも
低価格過ぎると断言し続けています。
この顔料インクなど、もっと高くていいと思います。
海外メーカーをはるかに上回った技術表現を成し遂げているのです。
私はインクについても、カラフルさを確認したいタイプであり、
万年筆にこそ、
この顔料インクが墨色からとうとうここまで進化したことを
私たちはもっともっと大きな評価を与えるべきだと思っています。
この顔料インクは自らの主張を
あたかも万年筆を主役たらしめないかのごとく存在しています。
これこそ、日本文具大賞・デザイン部門賞を
静かに進化を積み上げて商品化されているのです。


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『日本文具大賞審査=受賞すれば、必ずヒットする!』


   


     6月 12th, 2015  Posted 12:10 AM

この審査を始めてから、年々、応募者が増えてきています。
最大の理由は、受賞すれば必ずヒット商品になることと、
審査方針や審査での気配りが、
文房具業界にはよく知られるようになったからです。
毎年増え続ける審査は、相当に審査委員の方々の負担も増えていますが、
この審査は、
日本のモノづくりの正確さや商品への思いやりがいつも確認出来て、
審査委員にとっても、相当の議論が出来ます。
今年、私が審査委員長としては、
二つのことを他の審査委員にお願いをしました。
まず、少子化の影響をこれから大きく受ける予想があること。
つまり学生総人口が2018年から、ほぼ半数になっていくために、
貿易輸出品として、
これからは益々世界でトップのモノづくりと
そうした企業が日本には一杯あること。
日本の文房具が
常にトップであることを訴求できる商品を選びたいことです。
もう一つは、デジタル機器との関係性がある商品については、
文房具のアナログ性とデジタル性進化とのプロセス途上であっても、
「流石、日本だから出来ること」を、
あるいは海外からの応募においても、
アナログ性とデジタル性のバランスをしっかりと全員で議論し、
その結論を、審査委員会としてまとめよう、ということでした。
今年の大きな傾向としては、印刷業界が文房具づくり、
その事業に乗り出してきました。
話題商品についても正当な審査評論意志を明快にしようということでした。
この審査委員会は、デザイン分野2名とマスコミ専門誌3名ですから、
専門的なデザイン批評に対して、専門誌ならではユーザーへ、
そしてメーカーへと大きな提言ができることです。
デザイン部門というのは、機能性の充実と表現力を審査します。
機能部門というのは、
性能性と効能性が現代から未来までを見通した技術成果です。
そういう意味では文房具たる些細で細やかできわめて日常的であっても、
しかも文房具という衝動買いしても大丈夫な世界ですが、
時代対応を大事に見ました。
10点の受賞作品を決定することができました。
グランプリは見本市当日、
「国際・紙文房具展」の会場で発表することになっています。
この日、実は「Ship of the Year」の審査会もありましたが、
私は、最初に約束したこの審査会に出席しました。


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『石ころとスタイラス』


   


     4月 20th, 2015  Posted 12:00 AM

私にとって、筆記具はほとんど手・指ですから、
私であり、しかも思考の出入り口です。
チベットのさらに山奥の村に、小学生が通学の途中で石ころを
見つけて、それをチョーク代わりにして、
小さな黒板のような画板だけを背負って学校に行きます。
学校では、先生に教わる文字=英語をその石ころと画板に書きます。
それを自宅に帰ってきて読み直しをして覚えてしまうのです。
そしてお母さんが玄関の外に画板をたてかけておくと、
その画板の文字が夜露で消えて、朝になると画板の文字が消えていて
それを持って、学校に行き、しかもまた石ころをひろうのです。
その子が言いました。「将来はお医者さんになるんだ」と。
日本に生まれてまさに現代人の私が文房具や筆記具にはなんとしても
特別の感情があるのは、石ころと画板です。
でも画板には肩紐があり。それはお母さんの見事な刺繍紐です。
画板とその民俗的な刺繍の肩紐、このコンビネーションこそ、
私のモノの存在感=効能性の審美眼はここにあります。
現代の最新鋭のスタイラスは、おそらく、これが最高峰でしょうが、
私のモノへの審美性は、はるかチベットの山奥の子どもたちの
刺繍肩紐と画板があり、毎日、チョーク変わりの石ころは
多分毎日、彼は迷って大急ぎで探して学校に持っていくのでしょう。
筆記具である石ころもこのスタイラスと同等のモノだと、
私は思っています。ともかく自分思考の出入り口にすぎません。
が、それだけにとても重大で大切なモノだと私は思っています。
ある意味では、画板もPadも、石ころもこのスタイラスも、
全く同じモノにすぎません。
それだけに、現代文明の最先端のモノとしては、相当なる
完結された「かたち」に至る完成度が必要だと思っています。
間もなく、今年度の日本文具大賞の審査が始まります。
画板と石ころで思考を磨いたあの子が成長してドクターに、
なんとしてもなってもらいたいと思います。


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『100円ショップの廉価性と品質性と影響性』


   


     10月 31st, 2013  Posted 12:00 AM

デフレーションの象徴とまで言われる100円ショップ。
個人的に私はどうしてもプロの視点で商品を見てしまいます。
なんといっても「これがなぜ、100円で可能なのだろう?」と、
いつもデザイナーとして想い悩まされます。
また一方では、使い心地が決して悪い品物でもありません。
最近は、台所用品、文房具、洋装品など、まるで百貨店の品揃え。
私は、現代の若者たちはとても恵まれていると思います。
100円ショップの品物で十二分に日常生活は出来てしまいます。
今回は陶磁器品を詳細に検分しました。
<これが、いやこれで100円なのか!>と思ってしまいます。
陶芸家作品で、びっくりするほど高額なモノがあります。
一体、こうした廉価な品物と比べて見れば、
結局は「用」を成し遂げていることには何の差異もありません。
私が100円ショップの品物の「用」は認めることができても、
自分の日常生活には、容易く使えて自分なりの「納得」があれば、
それで充分に構わないとも思っています。しかし、
このような考え方には大きな反動が自分の中にはあります。
廉価という言葉は世情では摩擦の起こらない言葉ですが、
結局は「安物」にすぎません。
「安物」の「用」は充分に満たしても、それを自分自身の生活、
ということになればその「安物の用」が張り付くことはイヤです。
つまり、自分の存在に「安物性」が反映することは拒みます。
単純に、自分の生涯において「用」だけが賄えればいい時期、
そんな時期が自分にあったとしても、「美」を確認するうえでは、
やはり「美しいモノとともに生きれば、美しく死んでいく」。
岡倉天心のこの言葉を信じます。
私は自分の生涯においては、「用」と「美」に対しては、
やはり、自分の価値感においても、古窯産地、陶磁器メーカー、
日本各地にある陶磁器産地のモノからも、
「自分が充分に納得できる最高の美」を求める覚悟でいます。
無論、こうしたショップに有る品物の「安物性」で、
自分ならではの「価値感」を再確認できる楽しみは確実です。
100円ショップはある意味では、一つの楽しみにすぎません。
もはや、どこまで「これこそ!」と言うモノの「用と美」、
このことに包まれた日常の自分でありたいと思っています。


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「ブルーを持ち歩くというファッションとデザイン効果」


   


     8月 31st, 2013  Posted 12:00 AM

亡き父は万年筆を大事にしていました。
父には悔やんでいることがとても多いのですが、
今私の万年筆のコレクションを見たらどう言うだろうと思います。
父は一本の万年筆を大切にしていました。
私は日本文具大賞の審査委員長をしていますから、
文房具には果てしない興味があります。
書店で文房具にまつわる雑誌を眺めていて許せる雑誌は一冊。
普段、文具を使っている人や著名人、
特にファッション関係のプロの持ち物を見ると大落胆します。
先日は、3冊ほどの文具雑誌を見ていて呆れかえりました。
大憤慨している私にワイフは、一般の人のデザイン感覚だから、
自分の意見の正当性をなぜそんなに!、と叱られました。
そこで、とりあえず、ホテルで今持ち物の文具やケースを、
テーブルに置いて写真を撮りました。
ご覧のとおり、ほとんどがブルーでした。
ワイフがプレゼントしてくれた万年筆は、限定品なので、
これにピッタリのボールペン(手に入れる動機に)そのケース、
そして、なんと言っても「日本ってスゴい」のは、
いつでも尖っているシャープペンシルはホントにすごい、
消えるボールペン、日本人だから出来たことです。
これで3度目になるパッド用スタイラス進化を自分用のペン。
パッド上では、やっと草書が表現できるまでになりました。
そして、最近は5800mAまでの急速充電池と、
さまざまに試してきたデジタルブレスレットです。
正直、このブレスレットにはネットワーク通信と、
新たなケータイ・アプリケーションのアイディアが一杯あります。
このブレスレットにこそこれからの文具のデジタル化思考中です。
なぜ、こうした文具にこそ「ファッション」と、
最も語っていかなければならない「デザイン」の関係があります。
それは、ファッションを「モードの体系」にまとめたがゆえに、
「書かれたファッション」=モードとしたロラン・バルト。
彼をモード・ファッション、そしてデザインを日常、流行として、
もう一度再定義を文具から語り直すヒントがあるからです。
多分、これでは意味不明!、これから書き残していきます。


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「審査会=日本文具大賞からスタート」


   


     5月 29th, 2013  Posted 12:00 AM

もうこの審査委員長になってから、
あらためて文房具には、ことさら、毎年審査(27日)と同時に、
「日本の文具」とその世界戦略には熟考と観察をしています。
日本人の肌理細かさが最も反映した商品アイテムだと思います。
さらに、きわめて日常的なモノであると同時に、
衝動買いの対象であり、時代観と世代格差が明確なモノです。
この審査に関わって以来、
当然ながら、この展示会は常に世界的なホスト国として、
わが国が文房具を最もリードする国でありたいと思っています。
毎年毎年、20%づつ応募点数が増え続け、
この発表は、有明の東京ビックサイトではアジアの中心国でなく、
国際的な先進国家であることを狙ってきました。
方針は、次のようなことを考えてきました。
● 常に文房具界では大手の商品については、
大手の力量を見据えます。
● すでに他アイテム主力メーカーが、
この領域に入ってきたときには、
主力商品の力が文房具にも反映されているだろうか、です。
● 小さなメーカーでまだ無名と思われるメーカーは、
入賞することで、
新しいメーカー誕生をさらに告知させることです。

基本は、文房具の基本である書くとか記録する、
また伝える道具性については、生産性とか日常的な嗜好性を
しっかりと読みとります。
最近では、途上国の単なる労働力に頼ったり、
「出せば売れるモノ」には、日本製か、メーカーの信頼性を
もう一度確認します。
いずれ、入賞賞品は各メーカーに伝えられますが、
グランプリは、展示会場のメインイベントにします。
そして、最も重要なことは、
メーカーの姿勢=理念性の発揮度合いです。
この展示会は、少なからず、わが国の「文具表現」、
特に、機能性に込められた性能や効能、
デザイン性を支えている、デザインの本質と時代の共時観です。
是非とも、この展示会と「文具大賞」は、
様々なメディアでも取り上げられて、
日本ブームが世界を誘発するでしょう。
必ず、「文具のあるべき本質性」を反映させますから、
充分にご期待下さい。


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