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「春日部での桐工芸産地とのこと」


   


     10月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM



春日部といえば、「クレヨンしんちゃん」の住処です。
今では、春日部が、
桐タンスなど桐木工の伝統工芸産地であることを
知っている人は少ないでしょう。
1980年代は、
「地方の時代」や「第四次全国総合開発計画=四全総」が施行され、
「地方の活性化」が盛んになっていました。
バブル経済を迎える寸前だったと覚えています。
私は、ふるさとに車椅子でもどり、
福井県内の伝統工芸産地に「デザイン導入」を試みていました。
幸いにも「タケフナイフビレッジ」は有名になりました。
そして、そうした産地への「デザイン導入手法」についての講演も
随分と引き受けていました。
この本には、春日部で中心となっていた影山和則氏が、
公的機関からのデザイン活動をまとめた「デザイン史」になっています。
私が、影山氏に、
いかに厳しく接していたかも描かれていて赤面ものですが、
私は、全力で伝統工芸産地、その職人さんや、流通と闘っていました。
もっとも、牙をむいていたのは「四全総」を背景にし、
権威を振りかざしていた官僚や
その身内的なデザイン・プロデューサーたちでした。
おそらく、「喧嘩師」と言われ始めたのもその頃だったと思います。
しかし、この本に記録されているとおりに、全国各地の伝統工芸産地は、
デザイナーを引き入れて懸命でした。
あれから25年後の今日、
生き残っている産地はほとんど無いと言ってもいいでしょう。
私は、「タケフナイフビレッジ」は今も健在であることを自負しています。
この本に描かれた全国それぞれの産地活動は
一つのチェックリストになっています。
「あの産地はどうしたかな~」という具合です。
私は、この本には80年代、
少なからず理想的な国家体制の中で、
伝統工芸という
日本文化をデザインが引き受けようとしていた事実史があります。
是非とも、次世代デザイナーには読んでもらいたい「デザイン史」本です。
その理由は、
国難となっている日本が再生するためのヒントが
当時の全国各地の産地での懊悩する姿がいっぱいあるからです。


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