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Posts Tagged ‘筆’


「iPadのブラッシュペンは、新しい筆記具の進化」


   


     7月 5th, 2013  Posted 12:00 AM

「まだそんなに拘っているの」と、ワイフに言われます。
が、常にスケッチと毛筆タッチの書き比べは生きがいです。
だから、いつでも新製品には徹底的に評価記事を読み、
購入を決定して、これは薦められるというモノを発見しています。
したがって、今回、日本文具大賞で応募されたモノでは、
単なる「導電ゴム使用でペン軸だけ」のモノは、
審査会でも痛烈に批判をしておきました。
私は、このペンにはやがては鉛筆から消えるボールペンまでの、
必ずや日本の知恵が反映されるものと期待しています。
私にとっては、実はもう慣れきったモノもありますが、
最近は、明確に静電気付加コントロールまでに進化を評価します。
アプリケーションは、
「SketchBook Pro」と「Zen Brush」で確かめています。
ところが、この二つには、筆先の大きさ限定が同一ですから、
このタッチ差では、どれを選んでも個人差があるだけでしょう。
だから、せめて導電ブラッシュがほとんど筆と同じを望みます。
私自身は、iPadとiPad miniの両方を使い分けていますが、
このペン類を使うのは、iPadでの描画=スケッチです。
このどれが最適であるかは、人それぞれの個人差がありますから、
あえて、これが優れているという言及はしません。
ペン軸は、万年筆なみか、英国の絵筆ぐらいのモノを望みます。
しかし、あえて問題を呈するなら、「静電気コントロール」です。
これは、私がキーパッドデザインで、
「触覚フィードバック」でのタッチ感覚を試してきただけに、
電池、USBから電源供給、それとも静電確保のこの三種です。
これだけに発想が閉じ込められていますが、
ひょっとすると、静電コントロールが、
このペンの革新を決定するのではないだろうかと思っています。
正直、私はスケッチと書道としては、
この中の三本が優れていると報告しておきます。
一度、またApple銀座で、使いこなしを紹介とも思っています。
ただ、私の世代としては、どうしてもこの種のペンにこそ、
新たな未来があると思っていますが、
それこそ、「矢立」の良さを改めて認めてしまいます。


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「2012『日本文具大賞グランプリ』は書くことの再確認」


   


     7月 5th, 2012  Posted 12:25 AM

第23回国際文具・紙製品展=ISOTは盛大でした。
今年度の文具大賞は、ひとつのエポックだったと思います。
私は審査委員長として、次のことを総評として表彰式で述べました。
アナログとデジタルの融合がスマートホンで開始しました。
文具メーカー(作り手)より、ユーザー(使い手)は、
明確に、自分の日常での文房具のアナログ生活と、
スマホやPC、デジタル生活を身体的に、
能力認識として使い分け始めたことです。
それはグランプリが機能部門もデザイン部門も「ノート」。
つまり、結局は「書く」という行為に、
文房=記述・記録・筆記を決定していることでした。
私は、紙と文具において日本はトップだと確信しています。
それだけに、Made in Japanを体現している業界です。
ただ、欧州のブランドメーカーに比べれば、
低価格商品が多すぎると私は常に思ってきました。
しかし、機能部門グランプリ=Premium C.D. NOTEBOOKは高価格で、
シルクのような紙質面と書き味は世界でトップでしょう。
日本だから、日本の紙質だから、という技術言語になっています。
さらに、デザイン部門のデイリー・プランナー“エディット”は、
日常的なメモがスマホゆえに、
あらためて、一日1頁への記述を大切にという製品企画が見事に、
現代的なアナログ性とデジタル性との使い分け、
「書く」という行為ゆえに、
一日をどう生きたかということまでを商品言語にしています。
ともかく、取材マスコミも格段に増加し、
国際展の風格が育ってきました。
まさに「文具は日本がトップ」ということを
会場いっぱいに活気がみなぎっていました。


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「書く道具にはなぜか心惹かれて」


   


     3月 21st, 2012  Posted 12:00 AM

また、硯に心惹かれてしまいました。
パームトップと言っていいほど、
掌に収まる小っちゃな硯箱セットが私を呼び留めました。
「これが私の所に来たがっている」と言って、
ワイフに睨まれながらも買い求めました。
ただ、硯の仕上げはいまいちです。
もう私が要求する技術は無くなってしまったのか、
あるいはそこまで技ある職人さんが
居なくなったのかもしれません。
まずまずの出来映えであり、市価もそれほどではありません。
しかし、筆の出来映えはこれは伝統が確実に生きていました。
硯石も仕方ない出来映えです。
多分、筆から硯など全てがそれぞれの産地で造られているのでしょう。
だから、全体のまとまりには技の差が明確です。
でも気に入っていて、すぐにこれではがきを書きました。
きっと、出張時に持ち歩くことになるでしょう。
もし、自著にサインを求められたらこれで書く、
こんなことをワイフに言ったら、
「相手の人がびっくりしてしまうからせめて矢立にしたら」
と言われました。
それにしても、硯を擦っていると心が癒やされます。
そして、筆をとればますます癒やされます。
これほど癒やされる道具なのに、
どうしても細部の仕上げが気になって仕方ありません。
デザイナーだから、それはひとつの物狂人なのだと自覚しています。
そうして、ちっちゃな硯に向かっていると、
収集しているすべての硯石が気になって仕方なくなってしまいます。
どうして、「書く道具」にこれほど心が引かれるのでしょうか。
でもこれは幸運な性分だと思って満足しています。
リタイアしたら、毎日、硯から万年筆まで、
毎日眺めて過ごしたいと思っています。
そういえば、半年前に注文していた万年筆が届きました。
それがそうした雑誌の表紙になっていて、
「どうしてこうなるモノを選んでしまうの?」と、
またしてもワイフから聞かれます。
「性分」、そしてプロだから、
(幸せな自分だ)と思えてなりません。

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「このサインペンその物が美しい」


   


     2月 27th, 2012  Posted 12:00 AM

デザイナーという職能になったことで、
「美しい」モノを常に人生に配置することができました。
とても幸運な生涯だと思っています。
この「ぺんてるのサインペン」とともにプロになってきたと思います。
このサインペンに出会ったのは東芝時代からです。
当時は、これほど色はそろっていなかったと思います。
黒一本で、0.6mm・0.3mm ・0.1mmを引くことが命題でした。
ロットリングや烏口を使わずして、
スケッチから図面までの使い勝手があります。
あらためてこのサインペン自体が「美しいモノ」です。
おそらく死ぬまで私の日常生活の傍らに在ると思います。
私は筆記具収集家だとも自負していますから、
万年筆から筆、スタイラスペンまでともかく見つめてきましたが、
このサインペンは格別に「美しい」と思っています。
今では、どれだけペン先チップを傷めずに
線が描きわけられるかが重要です。
本当に、デザイナーであるから
このサインペンが道具になっていることに感動し直しています。

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「SHOT NOTEに似合うペン」


   


     1月 20th, 2012  Posted 12:00 AM

メモ帳と筆記具に対して私の関心は異常かもしれません。
子供の頃から筆記具は筆・硯から鉛筆・万年筆まで、
最近はスタイラスペンも加わって、その収集はもちろんのこと、
「使い勝手」には興味がつきません。
キングジムからのSHOT NOTEはなかなかの発明品です。
なんといってもキングジムのファイリングシステムは、
わが恩師の発明品であり、超ロングセラー商品です。
このSHOT NOTEは待っていたメモでした。
メモ帳の類いやノートなどについても、
私は一家言を持っていると自負しています。
SHOT NOTEが出てから、そのカバーとともに、
筆記具は厳選してこの四つを選びました。
まず、極細で世界で最も細い万年筆は、セーラーです。
ただ万年筆収集家としては、この径が6.5mmは賞賛できますが、
セーラーならペン先はもっと進化させてほしいモノです。
そして、ファーバーカステルの伯爵コレクションのポケットボールペン。
カルティエのノートブックボールペン・
パラジュウムフィニッシュ・ブルーレジンカボション。
しかし、
iPhone使用を考えれば、スタイラスとボールペンのOZAKIになります。
さて、問題はここからです。
いづれもボールペンのリフィールをしっかりと検分する必要があります。
ほとんど4Cタイプの替え芯ですが、
これには国内外ブランドでは大きな差があります。
ここが問題です。
海外ブランドは時には色や濃度が変化することがあります。
多分中国産になってきて、
色と粘性が低品質になっているモノが増えてきました。
そうなると、国産での4Cリフィールでは
ゼブラが最高だと私は思っています。
海外ブランドで、特にボールペンは、
スケッチを描いているので、その色、特に黒、
そして粘性はこれまでの使い勝手の勘が働いて、
指先にその感覚が仕込まれています。
だから、色が薄くなり、粘性が無くなったり、
ボールペン先が変わればすぐわかります。
それで、ある海外メーカーに問い合わせたら、
「よく気づかれましたね」とか言われました。
そんなことに気づくのはドクターも多いらしいのです。
カルテを書き込んでいて色と粘性に気づくそうです。
正直、まだまだ決定的な筆記具が見つかっていないから
私の収集癖は直らないのです。

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「現代文房具はどうして面白いのか」


   


     6月 3rd, 2011  Posted 12:00 AM

文房具は、私はなぜか好きです。
おそらく嫌いな人はいないでしょう。
そして、文房具の種類は圧倒的に膨大。
これは文化と直結しているモノの大体系です。
「書く」という行為、
人間が表現をする「書く」という所作を取り囲んでいます。
基本は、「紙」と「鉛筆」、消しゴムであり、
やがて、紙周辺、鉛筆の進化、
書いても訂正するというためのモノに広がっています。
そして、さらに電子化と情報処理が加わって、
文房具のアイテムは格段に増殖している世界に私たちは居ます。
「鉛筆」というモノの発明が、
私たちが表現する世界をさらに拡大し、
表現された事を記録し、残していく所作の道具や器具も、
文房具になっていくわけです。
あらゆる鉛筆への興味は、
筆からペン、万年筆、さらには電子ペン、
それらが趣味収集の対象にしているの事が、
私の生涯をすべからく表していると言ってもいいわけです。
ちなみに、私はどんな服装の時でも、
「ペンの類」が無いと不安になります。
だから、ちょっとした外出でも、
それに見合ったペン=ボールペンなり万年筆を携帯します。
出張ともなれば、万年筆は使わずとも6本は選びます。
万年筆の新製品には心を奪われます。
そして実は、万年筆の軸がプラスチックの場合、
このレジンの流行がメガネフレームの流行と連動していることを
知っている人はいないのではないかと思っています。

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12月29日Staff Blog


   


     12月 29th, 2010  Posted 10:00 AM

12月29日

とあるクライアントとの、
今年最後の打合せを行った
BOSS(川崎和男, Kazuo KAWASAKI)

来年初頭の会議で使われるため、
「眼鏡」と「デザイン」について、
矢立てと筆で、哲学をしたためます。


弊社は明日30日から1月3日まで、
お休みをいただきます。

みなさま良いお年をお迎えください。
そして来年も、本Blogを
どうぞよろしくお願いいたします。


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11月26日Staff Blog


   


     11月 26th, 2010  Posted 11:07 AM

11月26日

本日の川崎ブログ番外編
でも紹介している、
矢立と紙で手紙を書く、
BOSS(川崎和男, Kazuo KAWASAKI)

携帯用に、硯と筆を入れる筒が
組み合わさったのが矢立です。


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『資本主義からの逃走』
      「もう一度、漢字と『書』へ」


   


     11月 17th, 2010  Posted 12:00 AM

甲骨文の象形文字
私の思考には二つの文字・記号があります。
一つは漢字です。もう一つは記号です。
デザイナーですから、designare=de+sign=do+signです。
そのまま私の思考の源には漢字があり、それは甲骨文の象形文字から始まります。
私は日本人ですから、文字=漢字が大好きです。
漢字とともに思考も文字的思考に覆われてきたと理解しています。
甲骨文に表れる文字=漢字は殷代の記号です。漢字は記号だと思います。
それが金文になってくると、明確に漢字の形態が装飾化していきます。
図象文字は「書かれる造形的な審美性」になり、「美しい文字」が求められます。
『書』
幸いにして、私は子供の頃から硯と筆と紙は大好きだったようですから、
今なお、「書」は大好きです。
私は「書道」という感覚で「書」と向き合っているわけではありません。
「書道」というのは、やや息苦しさが正直残っています。
和紙と書体
さらに幸運なこと、それは、ふるさと・福井県には越前和紙産地があります。
日本の和紙は、この地から1500年前に広がったと言われています。
したがって、和紙についても私は現場で30代後半には「紙漉」を経験しました。
これは最高に幸運だったと思います。楮・三椏・雁皮の区別は触って舐めればほとんどわかります。
残念なことに、和紙は和風紙になってしまっているのは残念ですが、大きな理由もあります。
どうしても和紙は紙粉があって印刷には不向きなことでしょう。
話が和紙に言及してしまいましたが、
私は、メールの時代にあっても手紙を書くなら、和紙に筆をとります。
日本人であることの幸運さとしかもデザイナーである幸運さがあります。
地域主義の象徴は美しい文字
デザイナーとしては「スクリプト体」というトレーニングを受けました。
それは「カリグラフィ」が書けるテクニックも身体化できたことです。
「カリグラフィ」というのは美しい文字を書くという意味ですから、
「書道」と同等かもしれません。
私は、「書」・「書体」の歴史には、文化の基本としての地域主義が息づいてきたと考えています。
私はあらためて、「書」は、世界各地にあるそれぞれの国家文化の基本、
それこそ「美しい文字」を見詰め直す時期が来ていると判断しています。
それは、グローバリズムを支えるローカリズムの基盤としての文字であり、
「書」と呼ばれる「文字を美しくする」営為を再考することです。
この再考こそ、地域主義からグローバリゼーションへの手法の一つだと評価しています。


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10月26日Staff Blog


   


     10月 26th, 2010  Posted 9:42 PM

10月26日

BOSS(川崎和男, KazuoKAWASAKI)
twitterで発言していた
和紙(京都で購入)で早速手紙を。

花押とハンコも、新作です。
筆さばきと相まって墨の威力、スゴイ。


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