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Posts Tagged ‘製品化’


「ボールペンスケッチのためのモレスキン」


   


     5月 27th, 2012  Posted 12:00 AM

2006年に金沢21世紀美術館に作品が永久収蔵されました。
その時に、私はスケッチを残していない事を諭されました。
私はアイディアスケッチなどは「製品化・商品化」終了で、
そうしたメモなども廃棄してきました。
もう「製品」が残ればそれでいいとさえ思っていました。
無論、スケッチは毎日何らかを描いてきた40余年です。
したがって、様々なスケッチブックやノートには、
まったく一貫性がありませんでした。
そんな折りに、
モレスキン社企画でスケッチ展への出品を求められました。
その時に、モレスキンのジャパニーズスタイルを使ってから、
今後はこれに何でもスケッチはボールペンで描き、
それから色鉛筆で着彩することにしました。
だから、いつでもモレスキンとボールペンは持ち歩いています。
当然、描きやすいペンや色鉛筆に神経を尖らせてきました。
そして、iPadで最近はスケッチも「身体化」しています。
それだけに、iPadのスタイラスペンの書き心地は、
ボールペンとの経験が基本になっています。
左から、

  • グレタガルボ(モンブラン)とても美しい曲線
  • デユオフォールド(パーカー)重量バランスとシルバー仕上げ
  • オペラ ブルーベリー(ビスコンティ)素材開発の素晴らしさ
  • ショートサイズ(モンブラン)

これらが気に入っています。
ボールペンのリフィールはそれぞれのメーカーですが、
持ちやすさや重量バランスで指先感覚との相性がいいのです。
だから、スタイラスペンにもこの感覚を求めています。
さて、このスケッチは、
最近作の有田のティーカップ・プラチナ釉薬仕上げを意図。
間もなく販売開始になります。

モレスキンは一冊描き上げたらワイフにプレゼントしています。
ひょっとして、私があの世に逝ったら、
高額な「芸術作品」になるかもしれませんから・・・。


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「プラチナ・ミラーリングのティーカップ」


   


     3月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

有田焼はこの2年研究をしてきました。
それは日本の陶磁器産地、その現状をしっかりと確認したことになります。
コーヒーカップの製品化を、
今度はティーカップにも新たな展開デザインを試みた結果、
Platinum Morphological Reflectionという手法で、
基本的な3パターンを押さえました。
ドット・ストライプ・チェックというグラフィックです。
そして、PMRはAnamorphosis的にどこまで可能かを追い求めました。
コーヒーカップもソーサーのグラフィックが
ミラーリング的に反射効果をしますが、
ティーカップは、曲面や曲率から、
正当な反射になるようにするためには実験をしました。
結果、デザイン設計として産地にグラフィックも提供し、
その基本となる釉薬から焼成での平滑度を
製陶工程に組み込むことがやっと出来ました。
講演前夜にその確認をするということになりましたが、
もし、私なりの評価が私の基準に達しなければ、
産地側にも決断をしなければと思っていましたが、
デザイン仕様どおりにモデルは完成していました。
そこで、詳細な工程も含めて講演内容に、
PMR-Methodの話を盛り込むことが出来ました。
その夜はうれしくてうれしくてたまりませんでした。
しかも宿泊したのが「嬉野温泉」でした。
まさしく地名どおりに
「お湯につかれてウレシーノ」を実感した次第です。
有田と伊万里は磁器産地であり、唐津は陶器産地です。
三つの産地の現在の商品価値は、国内外と比較して見てきました。
これは今後、
日本の陶磁器産地すべてに共通する問題を私なりに提案し、
なおかつ国内各産地毎の解決を求めたいと思っています
CGで見ていただければ納得してもらえると思いますが、
多分、この手法を模倣することは困難です。
そして、
陶磁器業界も模倣を繰り返すことで発展してきたはずですが、
私の判断評価は、
この400年ほど「陶磁器産業の高密度化」は停止していたと思います。
絶対に「革新」がかなった商品開発ができたと自負しています。
まだ次々と革新的な手法を国内、特に有田から出発させる覚悟です。

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「仕分けされたプロジェクトの重要性から現政権を否定」


   


     1月 6th, 2012  Posted 12:00 AM

大学人としてというよりデザイナーとしての最大不満。
それはもはや製品化は言うに及ばず商品化不可能になったプロジェクト。
現政権の政治判断能力を絶対に容認できえない実例です。
これはコンピュータとロボットによる高度手術機器開発でした。
3年間、国家機関から幾つかの旧帝大系大学合同により、
取り組んでいたプロジェクトでした。
ところが現政権の「あの仕分け」により中断させられました。
もはや一企業が開発できうるテーマではなくて、
幾つかの大学の医学研究科や工学研究科、
まさに「医工連携」+デザインが関与したプロジェクトでした。
しかし、お見事に「仕分け」されました。
私の「想定内」の出来事でしたが。
私は、「仕分け」にはもう一つの「仕訳」があり、
あの政治的パフォーマンスは「仕訳」だと言っておきます。
つまり、言い訳を聞く会に過ぎず、
「権力発揮」を見せつけたパフォーマンスだっただけです。
なぜなら、言い訳を聞いているにすぎず、
「仕分け人」の見識不足甚だしく
「権力」の意味にも無知だということです。
おそらく、このプロジェクトが示唆している未来、
特に、わが国の今後の産業にこうした医療ロボットシステムは必然です。
しかし、これを読み取れない政治集団には未来を任せること不能です。
案の定、3.11での狼狽ぶりは今も連続しています。
未来を見られない政治家はともかく議員定数を減らし、
さらに政治家資質を何らかの手立てで選挙民は知らなければなりません。
ともかくここまでワーキングモデルが出来ているにも関わらず、
中断、いや廃止させられました。
残念無念なことです。
無論私は大学人というよりデザイナーとしての経験からも
「必ず商品化」をめざしていましたから、
大学人の能力も十二分に確認することができました。
とりわけ、この医療システムでは「haptics」の考え方がありました。
そこで大学だとこうした思考法に陥ってしまうという現実も体験しました。
このプロジェクトに関与して、私にとっては大きな体験を得たことでした。
いづれこの詳細を書き残したいと考えています。

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「ヘッドホン選別の私のポイント提案です」


   


     12月 23rd, 2011  Posted 12:00 AM

Aurex時代に、ヘッドホンを
商品アイテム追加の企画をしました。
エレクトレットコンデンサーユニットで
ヘッドホン製品化です。
と同時に、手探りでヘッドホンデザインに取り組みました。
そしてAurexでは最も成功した商品展開になりました。
私にとってはプロになって最初にもがき苦しんだ経験でした。
人間工学として身体装着性、特に、頭部や耳殻周辺を学びました。
これが眼鏡フレームデザインの基礎になっています。
耳殻周辺の血管系とリンパ系を図解的に記憶しましたが、
博士号を取得してから、人体(死体)解剖で実際に確認もしています。
だから、ヘッドホンはどうあるべきかの私見を
明確に持っていると断言できます。
ベロシティタイプ(密封型)と
オープンエアータイプ(開放型)がありました。
以後この種別は進化してハイブリッド化したと思っています。
人間工学的には、自重と側圧の関係があります。
自重とはヘッドホン自体の重量です。
側圧は両耳への装着圧です。
この関係が意外とメチャクチャな設計が出回っていると判断しています。
この関係は自重と側圧は1:1か1:0.8が局部音場を耳殻周辺空間になります。
ヘッドホン自体、高額なモノは30万から数千円までの幅がありますが、
ヘッドホンをHiFi装置として
自分のパフォーマンス性で決定すればいいと考えます。
私自身は30点余り聴き比べて、現在愛用しているのは、
B&WとB&Oとを使い分けています。
両製品の徹底批評も心には持っていますが、私はデザイナーだから、
私自身のデザインが出来ればそれを書くことが出来ます。
さて、B&Wはクラッシックとボーカル、B&O はロックとジャズ系です。
これはそれぞれの音圧能率性能の設計ポイントが商品性になっています。
具体的には75dBあたりから90dBの音圧分布が
オープンエアー性能を決定づけるのです。
耳殻装着感覚に直ウレタン系と縫製ウレタンパッドの側圧が関係します。
したがって、自分の耳殻周辺音場づくりは
ヘッドホンの選別が決め手だということです。
そして、ヘッドホン選別は店頭では
耳に押しつけて試聴していてはわかりません。
耳に押しつけるのはベロシティタイプで試聴していることになります。
ともかくヘッドホンでHiFiを楽しむポイント探しが
オーディオライフなのです。
これが私のヘッドホン選別のポイント提案です。

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「知財権・意匠権改変の対象となった商品開発」


   


     11月 25th, 2011  Posted 12:00 AM

一枚の鏡にすぎない存在。
私が新しいキーボードとして商品化しました。
名称は「COOL LEAF」。
米国での商標権では、これだけが認められました。
商標登録直後に、日産から「LEAF」という車種の発表、
これにはやはりという思いとやられたという思いがありました。
狙っていたのは「SMART LEAF」でしたが、
SMARTはあらゆる分野での流行的な冠詞的表現になっています。
さて、この商品開発には大きな三つの背景意図がありました。
まず企業戦略としての「ビジネス・デザインモデル」という思想。
素材開発と実装技術での新たな製品化と商品化。
既存のキーボードの徹底的な革新でした。
そしてデザイン上の問題では「意匠権の確立」が可能かどうか。
冒頭に記したように、「一枚の鏡」にすぎません。
しかし、荷重センサーと静電センサーにより、
仕組まれたLEDでキーボード表示文字が発光します。
したがって既存の意匠権によって、文様や表示が、
形態化されているかという審査に対応可能かという問題です。
しかし
これは特許庁の意匠権が知財権を進化させていく基本に合致しました。
よって、知財権の中での今後の意匠権、その代表例になりました。
特許庁がこれからの知財権を講習するときの三つの例の一つです。
意匠権確立になりましたが、
クライアントであるメーカーは、5人の弁理士によって登録されました。
これは私のデザイナー人生でも最初のことでした。
それでも、
意匠権を中心とした権利獲得範囲は狭いという意見も残りました。
このキーボードが一般化するまで、まだ多少の時間は必要でしょう。
けれども現在のキーボードは、
清掃後の便座上のバクテリアが5倍いると言われます。
こうした不潔性の解消には平板状がキーボードになることは明らかです。
まだMac対応製品が商品化されていませんが、
これが普及し出せば、キー入力ディバイスは平板になるはずです。
そして、私が問題と考えるのは、
革新的な実装=Configuration Layoutと、
新素材=この鏡面はナノテクでの2000枚のPET素材積層です。
こうした実装と新素材は、
必ず「かたち」での性能と機能を一新します。
「かたち」の一新こそ、デザインによる革新です。
この場合の知財権としての意匠権をも変革することが、
これからのデザインのあり方の大きな一つだと思っています。

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『資本主義からの逃走』
「Business Design Modelは製品化と商品化の分担事業」


   


     4月 7th, 2010  Posted 12:01 AM


殷・紀元前17世紀頃・と呼ばれた王朝の国名です。
紀元前11世紀に周王朝によって滅ぼされたといわれています。
この国の人を「商人」と呼び、
彼らが取り引きした品物を「商品」と言ったことから、
「商売」=経営となりました。
私はBusiness Modelの破綻に対して、Designにより、
美学性+倫理性=知財権を「経営仮説」=「商売仮説」とし、
二つの企業体によって、そのコラボレーションを
Business Design Modelとしました。

この図式はそのまま、現状の日本の将来に対しての経営システムです。
日本は知財権=知的頭脳集約産業としての貿易立国をめざします。
そして、この知財権には美学性+倫理性というデザインの本質を配置。
この頭脳集約での「モノづくり」は「製品化」をねらいます。
当然、「製品化」での経営仮説は収益構造を持っています。
そして、この「製品化」を「商品化」にしていくことで、
二つの経済サイクルの二重構造性を派生させていくわけです。
経営仮説は、「製品」と「商品」、それぞれが収益構造から、
その製品・商品を存在させるための社会還元化が生まれます。
この社会還元化は、二つの企業体あるいは組織体の「存在理由」を明確化、
この存在理由=アイデンティティは、
必ずしも、今流行の「ブランディングマーケット論」ではありません。
私の意図は、二つの経営仮説によっての二重のサイクル性、
すなわち、「循環論」がイノベーションであるということです。
「景気」はこのサイクル性を常に活性化できるかどうかということです。
製品化・商品化
すなわち、「製品化」と「商品化」ともに、
イノベーション=循環論が構造化されることが、
利益獲得と社会還元を、
二重サイクル化する時代になっているのが現代だということです。

あらためて、「製品」と「商品」の分担と協同が、
これからの国際的な循環論=イノベーション国際化をうながすことです。
よって、一企業体だけの独占的な利益獲得、
あるいは、国際的な企業存在性のための社会還元こそ、
国際還元として、国際間の格差性を補完することになると考えます。
「デザインが世界を革新する」という私の提言は、
このBusiness Design Modelの実践、具現化にほかなりません。


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