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『新作007・ボンドカーでも確認できた曲線美』


   


     12月 22nd, 2015  Posted 12:00 AM



フランスのパリでは「非常事態宣言」を受けました。
が、「007・SPECTRE」試写会を観るために帰国。
これは外車ディーラーの主催で、
しかも新たなボンドカーが展示されました。
「007」映画シリーズは、おそらく私の生涯において、
何度も何度も見直し、しかも、シリーズのDVDまでいつでも観られる、
そんな状態にするほど大好きな映画です。
おそらく、スパイ、未来的ガジェットの武器や装備、ファッションです。
そしてなんといっても趣向を凝らしたボンドカーは、
とりわけ、工業デザイナーにとっては、たまらない魅力があります。
パリから大阪の試写会場映画館、そのデパートには、
ボンドカーが展示してあり、なんとも多くの人が写真を撮っていました。
だから、それほど近接して観ることができませんでした。
ところが、ディーラーのショップに呼び出されて行きました。
決してそういう場所には出かけないタイプの私ですが、
「じっくり、ボンドカー観られますよ」ということで、
出かけて、本当に触って全てを観て確認することができました。
007、ファッション、ボンドカー、未来的なガジェット様々は
男の夢の塊だと思っています。
正直、実は、試写会は時差ぼけもあったのか、途中で眠ってしまいました。
でも、どうせ何度でも観るからいいのですが、
今回初めてこの新作ボンドカーを専門家として、触って確認しました。
何と言っても風圧と車体曲線美の関係は側面から後部にかけての触感で、
「ああ、なるほど!」と納得することができました。
そして、SPECTRE用のこの車体デザインに活かされている曲面、
ハイライトラインから、この車種メーカーの拘りの確信を知りました。
この車体ラインを知ってから、それこそ、鉄道から車両全てで、
決して考慮されていない曲面カーブの極地を知った気がしています。
人生最期の車種はこのカーブで包まれているべきだと思いました。
私は、家具であれ、スーツであれ、靴であれ、掌中に感じ取る触感こそ、
造形美に取って不可欠と感じているだけに、この曲面カーブという性能こそ
求めきってようやく車体の機能美が、街の景観に溶け込むのだと思います。
ボンドカーによって進化してきた車のハイライトラインは
工業製品の技術表現だと思っています。


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「10年使用すると、そうだったのかということ」


   


     8月 17th, 2012  Posted 12:00 AM



私は車椅子になってから車を所有しました。
いわば男の子としての車への趣味性は一応満足しています。
工業デザインを学んだ者としては、
車はまさにカーデザインとして興味は人並み以上です。
教育者として、カーデザイナーを育成しました。
今現役デザイナーとして車メーカーや
そのメーカーの海外デザインセンターに赴任しています。
私自身どれだけの車に乗ってきただろうかと思い起こすと、
結構な車種所有と使用経験があります。
しかもすべてが手動用に改造しましたが、
これには国内事情が絡んでいて一家言持っています。
さらに個人的には運転手も雇っていましたから
ハイヤーの運転手程度の運転技術を知り尽くしています。
正直、国産車は一度も所有はしていません。
自分用に相当に改良をしたり、キャデラックのロングリムジンは、
クライアントからプレゼントされて乗っていた時期もあります。
現在は夫婦2人なので、ベンツSL500一台だけです。
先般までは、S320を徹底的に使っていました。
そうしたら10年使用ということで、
ダイムラーベンツから感謝状とメダルが届きました。
友人からベンツにはこうしたサービスがあると聞いていましたが、
それなりに嬉しいものです。
私は絶対にベンツには乗らないと思っていましたが、
ある時、車に詳しいスタッフの薦めでショールームに出かけ、
しかもGマークでSLKを確認してその発売されて以来、
セダンからワゴン、スポーツタイプと乗り継いできました。
おそらく、今乗りたい車は2種あります。
これを所有すれば、
私の生涯と車体験はとても幸運だったということになります。
そして、10年も工業デザインとしての成果品ユーザーへの感謝を
企業がサービス制度にしていることは嬉しいことです。


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「瓦礫と化した自動車が問題ではない」


   


     12月 30th, 2011  Posted 12:00 AM


安政の津波時には「舟で逃げるな」と語り継がれました。
3.11大津波では映像の中の自動車は、
押し浪で車は津波とともに凶器となり、
引き浪で行方不明者を巻き込んで海に引き込んで行きました。
そうして陸上では、津波で破壊された自動車車体が瓦礫になりました。
20世紀から自動車こそ、人類の智恵技術の結晶でした。
しかし、自動車が凶器となることを万人が知り尽くしています。
私も交通被災者ですから、
車という存在にはデザイナーとしての想いも重なります。
車は大好きなモノでもあるのです。
しかし、もはやハイブリッドだのEV車が車産業の目標ではありません。
「その車内に居れば生命が完全保全」、
そんなカーデザインが必至だと考えます。
私はプロダクトデザイナーとして、
エレベーターと車は根本的徹底的に技術開発目標を再設定すべきです。
ともかく、天災時に「逃げ込んで命を護る空間」、
それがエレベーターと自動車です。
車デザインについて具体的に表現すれば、
「車に乗って海に飛び込み自殺は絶対に不可能」という
車体空間と非常時船舶となるデザインです。
このあたかもSF的発想が、
「天災・人災」への対策デザインであるべきです。
今回の震災では、凶器となる自動車、
自動車が無ければ救急救命もできない、
この矛盾こそ問題設定であり、その問題解決対象に、
カーデザイン、本来の人智的デザイン設計が希求されています。
3.11の津波映像で、大量の車がメチャクチャになっていく様子、
瓦礫記録写真での、考えられない自動車の破損状況は、
デザイナー・技術者・設計者の魂に焼き付けておかなければなりません。
そして、自動車はガソリンが無ければ走りません。
けれども発火すれば爆発します。
電気自動車になったとしても、その車体空間は、
私たちの肉体と生命を護りうるモノにすることです。
これが復興テーマの大きな一つです。


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