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Posts Tagged ‘「関西海洋教育アライアンス」’


『本日も審査だが、日本の船舶デザインをデザイン対象に』


   


     6月 6th, 2014  Posted 12:00 AM

この審査委員になり、しかも「関西海事教育アライアンス」で、
「海洋デザイン論」もすでに担当してから、
海事工学・港湾・船舶・造船などにも慣れてきました。
海洋国家である日本の海事産業から漁業・海洋開発・海事流通など、
日本人としての自覚はさらに明快になってきています。
日本の海事関連が今や産業としては困難な立場にあります。
だから、Car of the Yearはとても有名になってきていますが、
Ship of the Yearが存在していることを知ってもらいたいのです。
悲しいかな、遠洋漁業は国際ルールで、
これまで日本が培ってきた技法は全て使えなくなってきています。
オリンピックで日本選手がメダリストになると、
その競技ルールを変えて、日本人をメダリストにしない、
そんなことを海事産業で今年も強く感じました。
さらに、どれだけ世界の海には「海賊」が多くて、
その対戦技術が認められていないばっかりに、泣き寝入りか、
あるいは放棄せざるを得ないかなど、
審査会での審査プレゼンで聞くことができます。
今年度のグランプリは、いづれ発表されるでしょうが、
日本人のモノづくりは、そのような逆境をバネにして、
新たな造船を試みています。
私は、なんとかデザインの対象に造船をと望んできていますが、
この審査会でも「厳しい人」に見られているようです。
国際ルールに閉じ込められてしまう海事関連産業の革新性を
ともかく私は見つけ出したいと思っています。
いづれグランプリ造船や各分野の部門賞造船に注目して下さい。
いずれにせよ、海洋国家はもう一度、海洋関連産業には、
私は大きな夢がまだまだあると確信しています。
つまらないモノづくりには、やはりデザイナーの本音は守ります。 

「Ship of the Yearの審査員になって知ったこと」
「関西海事教育アライアンス・6年目の演習課題プレゼン」
「関西海事教育アライアンス・6年目」


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「海事システムデザイナーが必要」


   


     7月 9th, 2011  Posted 12:00 AM

教育アライアンス。
合同の教育プログラムです。
これからはこの教育システムでしょう。
「関西海洋教育アライアンス」。
四年目を終えました。
海事・港湾・船舶・造船などにデザイン論を展開しています。
大阪大学院・神戸大学院・大阪府立大学院一年生が対象です。
海洋システム工学に、デザインを二つの方向から教えています。
デザインマネージメント、デザインディレクションです。
私はデザインディレクションを担当。
デザインマネージメントは、プロの専門家を客員教授として招聘。
デザインマネージメントでは、コト(海事関連)からモノへ、
デザインディレクションでは、モノ(船舶・造船)からコトへ、
この二つを組み合わせて、チームによる発想から調査を、
表現としてスケールモデルでの造形デザインまで具体化します。
最後はプレゼンテーションをして修了というプログラムです。
今年度は、あえて「災害・救援」を海事システムにというテーマ。
メガフロート・ユニットモジュール船舶・発電メガフロート、
この三つの提案がありました。
これからの日本にとって、「メガフロート」は日本の生産物として、
大きな期待に応えられるモノになるはずです。
これから海事システム・造船や港湾設計に関わっていく学生には、
重要な分野になるはずです。
しかし、特に、港湾関連での「メガフロート」建造計画は、
まったく実現されていません。
理由は、日本の政治システムと連関しています。
しかもいわゆる政治家の建設族とか土木族に、
まったくこの発想が無いという事実があります。
すでに韓国の釜山港湾システムは、
まさしく海事関連での港湾計画では日本を追い抜いています。
日本の港湾には、接岸できる船舶の大きさにも制限があります。
海に囲まれたわが国の、海事=港湾と船舶、
この領域に新たな世代を育成していく重要性を、
私はこの4年間しみじみと体験することができました。
そして、Ship of the Yearの審査委員も拝命していて、
本来なら「船酔い」体質ですが、船舶と港湾から、
あらためてこの分野に、
海事デザイナーという職能が必要だと確信しています。

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