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『製品記号論で語り直す時代がやっと訪れた』


   


     2月 16th, 2017  Posted 12:00 AM

あらためて、私のデザインを再度語り直します。
というよりようやくその時期が来たのではと思うのです。
1989年世界デザイン博・世界デザイン会議の時に、
丁度その頃、デザインでは「製品記号論」が
米国のミシガン州立大学から発信されました。
それを私は世界デザイン会議で、
私の解釈とその実務モデルを紹介したのです。
以後、
プロダクトデザインやインダストリアルデザインでは消えていたようです。
最近ではデザインによる「製品記号論」などには無知なデザイン審査など、
私にはこうした知識や経験、
氏品記号論も知らずのデザインコンペがはびこっていると思います。
このモデルは今では生産も無く、販売もされていませんが、
私の代表作「フリッグ=frig」の一つと自分では思っています。
まったく、機能部位に文字や徴表もありません。
筐体にはネジもありません。
電池の入れ替えにおいても造形そのものが記号です。
私にしてみれば、
ようやくこの「製品記号論」の時代になったのかもしれません。
製品としてこれは「お天気計」です。
赤い玉の下のLEDが点滅すれば、8時間後に晴れになります。
青い玉近辺のLEDは8時間後に雨が降るということです。
一切の表示は、すべてが造形そのものの表現です。
ドーナツ状の円形は雲を表示している具合というわけです。
ここには、「かわいい」という評価などはありえません。
デザイン造形は「美しさ」へ直球というものでなければならす、
それがデザイン造形成果=「製品記号論」表現であったわけです。
それこそ、アプロプリエーションなどはありえず、
デザイン造形の美しさ、美しいデザイン造形が求められていたわけです。
ところが、最近ではプロダクトデザイナーを目指す心構えが、
「かわいい雑貨」などということは、
デザインでは無いということです。
かわいい雑貨というデコレーションがもてはやされている風潮では、
デザインの本質はねじ曲げられているのです。

* 「背面に仕組む製品記号論」
* 『「アプロプリエーション」という芸術手法はデザインに非ず』
* 「亀の子タワシはもう年齢的に無理になりました」
* 『美しさの判定は言語判定での倫理に宿っている。』
* 「ここから教えれば・・・」


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「背面に仕組む製品記号論」


   


     2月 4th, 2012  Posted 12:00 AM

1980年代に米国から「製品記号論」が華やかに登場しました。
1989年・名古屋での「国際デザイン博・シンポジウム」で
私なりの製品記号論として発表した作品=商品です。
「お天気計」という8時間後の晴雨計です。
モノとしては一切の表示用語を消しています。
赤い玉は太陽を表し、青い玉は雨を表示、
ドーナツ形状は雲。
それぞれのインジケーターの点滅で晴雨を示します。
そして、背面に電池を収納しますが、いわゆる電池蓋はありません。
90度右回転させれば、電池ボックスが表れます。
背面にはまったくビスもありません。
徹底した「かたち」でその性能を示すこと、
それが製品記号そのものになることを意図した作品です。
残念ながら、この晴雨を気圧差で読み取る機構は手づくりです。
この機械式を手づくりする職人さんが居なくなってしまいました。
あらためて再現するには
センサーで電気回路設計が必要だと判断しています。
この製品が「かたち」=形態で表現した様々な要素と要因の「かたち」、
そして統合された「かたち」が製品となったとき「記号」=signareに
ようやく製品記号が現れます。
しかし、「かたち」というかたちはありえず、「記号」の集約にこそ、
論理=製品記号論が生まれるという私の造形デザインの一つです。
現代、日本製品にはすっかり忘れられている「かたち」の論理と造形、
あらためて強調しておきたいと思います。

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