kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘アスクレピオス’


「『危機管理デザイン賞』は ‘ヘルメスの杖 ‘をシンボルに」


   


     8月 3rd, 2012  Posted 12:00 AM

以前、ここで「アスクレピオスの杖」を取り上げました。
危機管理の象徴をどうすべきかを悶々としてきました。
案の上、「ヘルメスの杖」についての記述にも、
感想としての異議をいただきました。
これは、米国陸軍・医療部のマーク(X)について、
喧々諤々の世界的な論争があった当時と同等だと思いました。
あくまでも「アスクレピオスの杖」は、
医学のシンボル(A)ですから、
ルーベンスの絵画としても残っています。(B)
したがって、WHO=世界保健機構はこのシンボルです。(C)
救急車のシンボルはほぼこのマークが普遍化しています。(D)
日本では、赤十字社の救急車のみ赤十字です。
医学や医療は「アスクレピオスの杖」で
杖に蛇が一匹という象徴は歴史的コンテクストです。
ところが、杖・蛇が二匹、そして鳩の羽によって、
「ヘルメス」の活動はスパイ的な泥棒行為まであり、
医療行為や、通信、取引など統合性が「ヘルメスの杖」となります。
私はもう一度、ギリシア神話を基準に、
ヘルメス学と呼ばれる知性確認の体系に没頭しました。
「危機」はギリシア語ηκριδιδ=Krisisが原意語です。
この意味は、「決断」です。
ラテン語になっていくとderisisです。
これは「決定する・選別する」というのが「危機」となり
Crisisに連続します。
Riskに至るまでの、「危機」・「危険」は、
言葉のコンテクストの根底には、生命を護り合うということが、
おのずとと思想観には
「平和」の概念が入ってくることになります。
切手やメダルなどの応用事例も集めて検証しました。
そこでの発見は、軍事的危機というのは、
紛争の解決=平和への希求がありますから、
日本の防衛医大(Y)も「ヘルメスの杖」を採用しています。
私はヘルメス学体系全体には
錬金術師が水銀を医療行為にという伝説も認めて、
「危機管理」は統合的な営為とみなすことで、
「危機管理デザイン賞」シンボルに引用したわけです。
さらに、「ヘルメスの杖」は拡大して、
ビジュアル表現要素にしていくつもりです。


目次を見る

「『危機管理デザイン賞』を創設しました」


   


     8月 2nd, 2012  Posted 12:00 AM

2023.8.1・昨日、日本は世界に向けて本賞を設けました。
わが国は、伝統的、四季的、自然環境と日常生活を
堅固に結びつけてきた美しい花綵の国ですが、
一方では、自然災害、台風、地震、雷に晒されてもきました。
ところが、最近では地球温暖化などで、
気候状況は、竜巻、大豪雨、落雷など
とんでもない危機状況に入っています。
3.11は当然ながら、今後の南海トラフや火山爆発も予知されています。
まず、自然環境での危機回避があり、
人災は、学校のいじめ問題から原子力発電、放射能はもちろんのこと、
テロから企業へのスパム攻撃まで複雑化と多様化と回避困難が拡大です。
よって、本賞を設けることで、危機管理産業から危機管理制度設計まで、
モノのデザインとコトのデザインを顕彰してその活性化を目指します。
本賞のシンボルマークには、「ヘルメスの杖」を引用しました。
アスクレピオスの杖やヒギエイアの杯も検討しました。
つまり、この賞には、
人類が歴史的な命の守護をどういうシンボルに象徴してきたか
ということに焦点を絞りました。
「生きる」こと、「生き延びること」、
危うい事や「まさか」、「いざ」という危険性=命の防御、
その象徴を求めました。
したがって、このブログでも、
ヘルメスやアスクレピオスなどについてメモ記述をしてきました。
それは、私の思考メモでした。
「ヘルメスの杖」への異論が存在していることも十二分承知し、
しかも、「ヘルメス学」という知的歴史性をテキストにした結果の、
マークとロゴタイプの統合シンボルです。
この賞シンボルは、本賞創設とともに、
危機管理産業・モノデザインと危機管理制度設計・コトデザイン、
その展開・アプリケーションを完備させました。
ここで紹介していくつもりです。
無論、本賞受賞によって、あらゆる「想定外」=「まさか」を回避し、
「いのち」を本賞選定基準からもう一度、
見つめ直すモデルケースを普遍化していきます。


目次を見る

「どちらの『杖』を選ぶべきか、医学のシンボル」


   


     7月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

先般、「ヘルメスの杖」を紹介しました。
そうしたところ、FBのFriendsのお一人から、
ヘルメスのシンボル性について、ご指摘を受けました。
私も選択には大変に迷った経緯があります。
ギリシア神話に戻れば、
二人の人物が登場します。
ヘルメスであるべきか、アスクレピオスであるべきか、
ということに行き着きます。
アスクレピオスはまさしく医学のシンボルということになります。
それは、ルーベンスが描いた絵には、
アスクレピオスが一匹の蛇を携えています。
したがって、医学を専門的な医療行為ととらえると、
必ず、一本の杖には一匹の蛇が描かれます。
ギリシア神話にさかのぼれば、
「アスクレピオスの杖」が
医学をシンボルにしているということになります。
ところが、アメリカ陸軍が医学を医療として、
その目指すところをさらに拡大したときには、
「一本の杖には、二匹の蛇と羽です」。
これは鳩の羽で医療はたとえ軍事であっても、
究極は平和を表すということで、「ヘルメスの杖」になります。
そうした指摘があったときから、
ギリシア神話での二人の役割を再確認しています。
この二本の杖=シンボルについては、
やはり相当な議論がありました。
たとえば、ヘルメスには商売や泥棒という話もあります。
しかし、ヘルメスは錬金術師ゆえ水銀を医療にも使用したとか、
交通通信まで彼の役割まで広範囲ということのシンボルになっています。
しかし本来、医学はアスクレピオスに限定されるということになります。
その代表が、国連マークと救急救命士マークには、
「アスクレピオスの杖」になっています。
私は、通信から医療や安全性までを考慮し、
「ヘルメスの杖」を選びました。
ちなみに、日本の防衛医大のシンボルは「ヘルメスの杖」です。
私は、あらためてギリシア神話などからのシンボルの引用や借用には、
本当に慎重でありたいと思っています。


目次を見る