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「メビウスリングは闇思考への象形」


   


     8月 8th, 2011  Posted 12:00 AM

ふるさと福井県・三国には、
お雇い外国人建築家による小学校が存在。
龍翔小学校、現在は「みくに龍翔館」
その息子が「だまし絵」で有名なエッシャー。
エッシャーは二次元・平面に
立体錯視となる画像を描きました。

その代表例にメビウスリングに蟻が描かれています。
メビウスリングはテープ、リボンが捻られたものです。
したがって、表が裏になり裏が表になるという図です。
しかし、この絵にはさらに凝視しなければなりません。
なぜなら、単なるメビウスリングではありません。
テープorリボンが網になっていることです。
いわばメッシュのリングでは蟻はその穴からいつでも、
自分が表から裏へ裏から表へ移動可能です。
エッシャーはメビウスリングに異論を持ち出したのです。
さて、メビウスリングはトポロジー=位相幾何学の実例。
そしてエッシャーは芸術から数学のある闇を突いたことになります。
一般的に数学は「闇」世界観になっています。
まして位相幾何学ともなれば、
幾何学をさらに超えたメタ発想が必要とされます。
その闇にエッシャーはもう一つの闇の存在を示しました。
しかし錯視によって二次元に三次元画像を求めたのは、
闇世界に光を差し出したのかもしれません。
つまり、闇と光の世界は、乾坤世界、光景空間です。
闇と光はまさにメビウスリングになっているのでしょう。
私はあらためて
トポロジカルに闇と光を入れ替えて熟考するものと考えています。
今重要なことは闇に光、
光の中に隠されている闇存在です。


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