kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘ツマミ’


『「チューナーと電圧計」はアナログで最高でした』


   


     1月 2nd, 2019  Posted 12:00 AM

今や「チューナー」の話は通じないんです。
FM放送を聞くのにも、少なくともプリメインアンプ、
さらにはスピーカーシステム2本で聞くことには
ワイフにいちいち説明しています。
ではプリメインアンプというのは、ということになりますが
当然、プリアンプとメインアンプが合同しているアンプです。
「面倒くさいっ」とワイフは言いますが
FMでオーケストラを生録していました。
生録も2chだけでしたが、私は4chも8chも、
さらにはそのミキサー16chのプロ用を持っていました。
実はこれらも捨てられずに今も所有しています。
このミキサーで、シンセサイザーを使って作曲をしていました。
なんと言っても、1975年頃ですが、
製品のレイアウトでチューニングスケールを一番下に置きました。
このレイアウトデザインにどれだけ技術も営業も怒ったことでしょう、
もう、チーフだけが味方でした。
丁度そのときに、電圧計も全て私がデザイン設計をしたのです。
もちろんチーフとアシスタント3人で社内の反対勢力を押さえ製品化し、
しかも結果は、当時のオーディオ雑誌では商品性最高の評価でした。
この当時のツマミはオールアルミであり、当然ながら、
電圧計も全て自分の設計ですから、
これほど気にいったモノはありません。
デザインを手掛けた音響ではお気に入りのモノになりました。
アナログ時代のチューナーは、もう全く見かけられません。
電圧計こそ、針での左右チャンネルもLEDでデジタルです。
「とっても良い音を聞きたい」、これは今年も変わりません。


目次を見る

『指先のアナログと指折ることのデジタル』


   


     12月 2nd, 2016  Posted 12:00 AM

指先はとても正確で緻密な感覚が宿っています。
そして、その指を折り曲げる行為がいわゆるdigitalの原意になっています。
ともかく、指先の感覚ほど精細なことはないと思ってきました。
まず、自分がオーディオのデザインから出発したときに、徹底的に、
指先の感覚に覚え込ませたのは、オーディオ機器のアルミパネルと
オーディオ機器のツマミ表面のスピン加工でした。
続いては、木目やセメント、陶磁器、最近は絹織物などを
指先感覚にしました。
これがアナログの正確さだと確信しています。
この毛糸玉は、ピンク系がいわゆる高級手芸店の毛糸であり、
もう一方のブルー系毛糸玉が100円ショップの商品です。
そして、これらそれぞれの毛糸品質は明確に指先が判断してくれました。
結論を言ってしまえば、100円ショップの毛糸品質は、
その価格に見合った品質であり、手編みをしてみれば歴然と感覚が
二つの毛糸玉からの毛糸の繊維性を確実に指先に伝えてくれます。
この毛糸玉の感覚から、毛糸そのものの品質価値は明確です。
つまり、指先は折り曲げて数数えをするというデジタル性では限界、
このことがよくわかります。
指先が感じ取るアナログ感覚の実体験こそ、人間の感覚評価は、
デジタルでの限界をこの毛糸玉が見事に示してくれていると即判断できます。
指折ることのデジタル、指先の接触感覚がアナログ、
この明解さは毛糸それぞれの商品性の比較で明らかにすることが可能です。

* 『日本の子どもたち遊戯に未来の「物語り」があるようだ』
* 「指編みを思い出しながら」
* 「手芸のカラフルの整理された色彩に和む」
* 『柳宗理作品の軽薄で見識不足な批評は叱られる!』
* 『花嫁と独身者たちへのデジタルアッサンブラージュ』


目次を見る

『虫メガネでの拡大は絶対に役立つ方法だ』


   


     9月 27th, 2016  Posted 12:00 AM

子どもの頃、少年探偵団の必須品、
それは「虫めがね」でしたしその拡大鏡からの視野はとても面白くて、
何でも拡大して視ていたものです。
デザイナーになると写真やスライドそしてイラストレーションでは必需品。
自分は音響製品のツマミやパネルの表面確認で使っていました。
最近ではUSB充電で明るくして(右上)もっと明確に見えます。
さらに、「40暗がり」という老眼に対して、老眼鏡の面倒がありません。
ともかく、拡大して視るのはとても面白いのです。
顕微鏡も電子顕微鏡も体験していますが、
虫メガネの拡大がやっぱり面白いからこれらの拡大鏡で
なんでも拡大するのは無邪気に楽しいです。
製品のモックアップモデル、その表面仕上げはともかく大きくして視ます。
特にデジタルカメラでは400倍の拡大は日常化しましたが、
この拡大はさほど当たり前過ぎます。
やっぱり、虫メガネは、少年探偵団的な興味がまだまだ残っています。
人体解剖室に出入りが出来たときには死体から眼球を割って虫メガネ拡大、
この発想から、メガネフレームデザインが自分の体験ですが、
とても視たかった三半規管は見逃しています。
今や老眼鏡のごとくですが、拡大して見詰めること、
この見方のためには、やっぱり虫メガネは必需品です。

* 『ウォッチよりも妖怪メダルに意味がある、と思う』
* 『四十暗がり・シニアグラスがこれでいいわけがない!』
* 『象と蟻、その表現法はまったく変わってしまった』
* 「ビジネスモデルをデザインモデルにするために」
* 『トリックスターになってやる。』


目次を見る

『宝飾品を実際に確かめていた頃を思い出す』


   


     5月 18th, 2016  Posted 12:00 AM

オーディオデザインに懸命だった若き日に、
アンプのツマミ設計で「ガラス」素材を試行していた時代がありました。
ちょうど後輩がガラスメーカーのデザイン室にいて
いくつか試作を現場=工場につめて取り組んでいたことがあります。
ツマミと部品、ボリュームなどの取り付けに苦しんでいました。
ようやく、3個ほどの試作を持ち帰りましたが、
技術側も営業側もまだまだ入社間も無い私は両方から苛められていました。
若いときから「売られた喧嘩」と考える私は、
なんとしても実現したくて、「30代以上は口出すな」という気迫でした。
しかし、チーフに説得された生産コストで納得しました。
ガラスを使うという私の狙いが、今、私の車AMに適用されています。
なんとも、素晴らしい仕上がりであり、透明ガラスと機構とは、
透明ガラスの底にはエンブレムロゴが入っていて、
「そうか、ここまでの仕上げが出来るんだ」と思い、
この製造方法を聞くと、これは宝石加工メーカーに別注らしいのです。
その他のキーホルダーや、ジッポーライターのエンブレムも
すべてそのメーカー製ならではの仕上げが出来ています。
工業デザイナーは「高級品の仕上げを知らないから、
覚えてきなさい」と、上司に言われて、
銀座の和光に連日通ったことがあります。
そこでは、若者などがいる場所ではないために、
支配人に別室に呼ばれましたが、事情を話すと、
お店の方々に命令していただき、白い手袋をはめて、
高級時計やライター、そして宝飾品を実物で確かめました。
その支配人は、私のもう一人の師匠だったと思っています。

*『高級店での思い出・銀座で学ぶ』
*『インターラクションデザインの基本は可変抵抗器と指先』
*『物欲によるモノの美と美あるコトへの自分』
*『SZ-1000・私のオーディオ最終作だから』
*『万年筆メインテナンスから見えている現実』


目次を見る

『幻の発明だったモノの現物があった=柳宗理のデザイン』


   


     1月 17th, 2016  Posted 12:00 AM

柳宗理のやかんは今も市販されています。
しかし、最も普通のやかんですが、金沢美大卒の僕らには
強烈な図面が脳に焼き付いています。
それは「発明された熱効率のいい、湯沸かし短縮」のやかんです。
ご子息の新一氏から、
これまで使われていた現物ですよ、と初めて見せられました。
なるほど、当時、メーカーは、量産はどうしても無理と考えたでしょう。
だから10数台は製造したのでしょうし、その一部が使われていたようです。
「新一、すぐにお湯が沸くよ」と言われていたそうです。
確かに!
先生は「デザインには発明が要る」とよく言われてきました。
だから、僕もデザインの度に、
どこに発明があるのかを自分自身に問いかけてきたものです。
ヘラ絞り?、溶接?、アルミ素材には量産は無理!
今なら、ステンレスで、こうすれば可能になるはず。
まさか、ケトルのツマミに孔が空いている?
そうか、ここから熱湯の湯気を逃がしている?
だから、ハンドルは絶妙の角度で傾く構造になっている。
僕はこのやかんの図面にとても当時驚きましたが、
市販されているのは今なお商品として流通しているやかんです。
(あれは幻だったのだろうか)
「川崎さん、現物があるんだよ」と聞かされていました。
僕は実物の全てを触って確かめることができました。
「必要だったらいつでも見せるから」と言われています。
ついつい、「あれ、在りますか?」
「在ります」
「絶対にまだしばらくは見せないで下さい、
 あれは革命だったのですから」、
そんな会話をしました。
「デザインは問題を美しく解決する、そのためには絶対発明が必須だ」
その声が木霊してくる気がしてなりません。
今、余りに平然と、もう忘れられているかもしれない、
だったら、自分のデザインで!
なんということなんだ、腐っている!
実現される時代になったから
発想者・発明者、元来のデザイナーが黙認なら、
こんな情景に汚染されてしまっています。
僕らはデザインされたモノはすべからく覚えさせられました。
それは、自分のデザインが物真似と言われないことが
最大倫理だったからです。
物真似では決して美しいモノは創出できません。
もし物真似をする自分自身であったなら、
その自分では決して「容貌端正」にはなれないのです。
「美しいモノと生きれば、美しく死んでいくことができる」
これは岡倉天心もそう言い放っていたのです。
柳宗理先生の発明作品はまだしばらく、
現代にはまだまだ見せるべきではないのです。
僕ら弟子達は、しばし、心の記憶にしまっておきたいのです。


目次を見る

『インターラクションデザインの基本は可変抵抗器と指先』


   


     12月 4th, 2014  Posted 12:19 AM

ISO規格は日本潰しだったことを改めて述べておきます。
インターラクションデザイン賞を設置して、もし、
この賞が取れたならばISO 3290が認可される手はずを準備していた。
ところが、本来はスイスにあるべき本部ではなくて、
英国でISO規格は整備されていました。
その詳細は別途として、ISO 3290がインターラクションデザイン、
すなわち人間と機械との相互性=使い易さの基本その規格化でした。
私が少年の頃、夢中になったのは鉱石ラジオを自作することでした。
その回路は極めて簡単であり、ダイオードと可変抵抗器で、
AM電波を受け止めることができました。
可変抵抗器というのは、AM電波を選別するだけのいわゆるダイヤル。
このバリアブルコンデンサ(バリコン)、あるいはツマミを回すだけで、
自分の選別が可能になる使い勝手があるものだったわけですが、
Hi-Fiオーディオ機器では、チューナー、音量などの選別を
回転動作で機器が指先で可変出来るモノでした。
そして、その使い勝手は、そのスムーツなダイヤル操作感でした。
このダイヤル操作感を創り出すために、抵抗器とダイヤルツマミは
徹底的に実装化アイディアを考えていました。
結局、私は少年時代からこのツマミ一つで選択性の使い勝手に
拘ってきたのかもしれません。
現代製品は回転式よりもタッチセンサーとデジタル化で、
こうしたインターラクション性の基本を私は失っていると思っています。
なぜなら、インターラクションデザインの基本がISO 3290でも、
この可変抵抗器での使い勝手の詳細が無いからです。
たとえば、自動車では未だに方向性の選択は回転させるハンドル、
人間にとって、動作と選択の回転性能、この基本は回転精度であり、
この回転精度にこそ、私はインターラクションデザイン、
つまり、使い勝手の根本があると確信しています。
だから、私が明言すれば、ISO規格取得などは無意味です。


目次を見る