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『資本主義からの逃走』
   「相対化をささえる『かたち』と『ことば』」


   


     11月 24th, 2010  Posted 12:00 AM

ようなかたち
私はデザイナーです。
デザインが表現するのは「かたち」です。
デザインは「かたち」に収束・集約します。
しかし、「かたち」というカタチは存在しません。
したがって、モデルとして、「これはこのカタチ」になりますとか、
あるいは「これはこのようなカタチ」になります、と言います。
すべからく、カタチを「ことば」で表現しています。
「このカタチ」と「このようなカタチ」ということには差違性があります。
特に、「このような」ということには印象を喩えるわけです。
印象あるいはイメージを何かに喩えることになります。
コンセプト=ことばの相対性
そこで私は、単純に「モデル」=模型=「かたち」と呼び、
その「かたち」への思慮・思量を「ことば」で表現し、
かつ一言で言い切るとき、それを「コンセプト」と呼ぶことにしています。
つまり、「コンセプト」という「ことば」には、
「かたち」の印象を何事か、のようなと喩えていることになります。
この喩えを集約させる手法は、「ことば」の使い方です。
しかも、この喩え方は現代の教育の中では度外視されていることが問題です。
にもかかわらず、私たちは「かたち」と「ことば」に寄りかかっています。
この寄りかかり方というのは相対的な印象に他なりません。
デザインを介入
いわゆるビジネスモデルは相対的な経営仮説と収益構造によって、
その商品の「かたち」とその説明の「ことば」で成立しています。
私はこのビジネスモデルに欠落している美学性と倫理性を、
さらに、コンセプト=「ことば」を付加することでその印象の強化を求めています。
したがって、私が主張するデザインをビジネスモデルに介入させていくことは、
さらに複雑化させていく印象を与えているものと推測します。
しかし、ビジネスデザインモデルが最も明確にさせることは、
モデル=「かたち」とコンセプト=「ことば」の相対的で「のような」イメージを与えることです。
これまでのビジネスモデルよりも簡潔にする手法にデザインの有効性を訴求すると思っています。


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