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「資本主義からの逃走」
  「アイデンティフィケーション、そのデザイン体験」


   


     2月 11th, 2011  Posted 12:50 AM

アイデンフィケーションデザイン
C.I.を私が始めて知ったのは東芝でした。
しかも、まだ新人デザイナーだったので、
企業の存在性を、ただマークやロゴのデザインで知った程度です。
しかし、新ブランドの社内外コンペで、
「オーディオブランド・Aurex」のロゴデザインでは、
私の提案が採用され、そのビジュアル展開すべてが業務になりました。
あらゆるビジュアル展開を準備制作しました。
たとえば、屋外看板からネオンサインまでのマニュアルづくりをしました。
入社して最初の大きな仕事だったと思います。
私は、あくまでもビジュアルデザインとしてのC.I.を体験することで、
あらためて「アイデンフィケーション」の原意に遡及することができたわけです。
「アイデンティティ」というE.H.エリクソンの心理学説にたどり着き、
その学説をデザインに置き換えることが私の経験値になっていったと思っています。
フリーになってからは、製品開発から商品展開の大前提では、
その企業の社会的存在性をクライアントに常にC.I.議論を持ち込みました。
まだまだ若輩にすぎないデザイナーが、経営者相手にそんな話を持ち込むわけですから、
ほとんどの仕事は断られていました。
怒鳴り返された経験がどれだけあるでしょうか。だから、今度は私が切り返しました。
どうしようもない企業マークやロゴを私は絶対に一新することを主張していました。
なぜなら、これからデザインするモノに、その企業のマークなり、ロゴが付くわけですから、
企業のビジュアル展開の考え方そのものを求めたのです。
企業C.I.ディレクションの成功体験
たとえば、「整理タンス」のメーカーに行って、
そのオフィスが整理整頓もされていなく、掃除も行き届いていなければ文句を言いました。
しっかりと私のような若造の話に耳を傾けていただいた企業での仕事は成功し、
なおかつ、そんな企業は見事に成長していきました。
したがって私のデザイン活動、その成功体験はすべて企業C.I.をディレクションできたところです。
伝統工芸産地、地場産業などでの成功体験は、
C.I.デザインと商品デザインを結びつけたとき、すべてが成功したと判断しています。


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