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Posts Tagged ‘ヘッドシェル’


『「新素材」から素材とその製造法まで』


   


     1月 9th, 2020  Posted 12:00 AM

「新素材」を初めて知ったのは、私が音響設計に飛び込んでからでした。
いまでこそ、また一段とLPレコードプレイヤーがヒットしていますが、
そのカートリッジ=ヘッドシェル(=レコードシェルから音を入力)の
開発で「新素材」を使いました。
そこでは、軽量なことと周辺音響を取られないことを目指していました。
その当時は
マグネシュウム合金、チタチウム、カーボンファイバー、ボロンと
いった新素材がありました。
そして、今になってもまだまだ展開しきれていない、
ボロンの素材の可能性を追いかけています。
ただし、私の作品=商品であるカートリッジにはボロンを使用しています。
チタニウムは、私らしい車イスで実現を果たしました。
マグネシュウム合金は、GRiD社のラップトップで使用され、
MoMA(New York近代美術館)に
最初のパソコン収蔵作品としておさめられています。
車イスでとことん付き合ったチタニウムは、
製造から製品化、そして商品化までを十分に理解しています。
それでも、まだ製造的な問題を改善すれば、
その使用展開は拡大されると考えています。

* GRiD社=MoMAでの最初のパソコン


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『SR-320にエレクトレットコンデンサー・カートリッジ』


   


     3月 12th, 2019  Posted 12:00 AM

レコードプレイヤーSR-370に、
エレクトレットコンデンサーカートリッジと
マグネシウム合金のシェルをセットし、
ナガオカのガラス板ターンテーブルを装着。
入手したレコードプレイヤーの手入れ、
バージョンアップを着々と進めている私。
東芝のAurexは、エレクトレットコンデンサー関連製品の
ブランドになろうとしていましたが、成し遂げらなったのです。
Aurex製品で、
エレクトレット素材のマイク、ヘッドフォン、プリアンプなどは
売上げのトップでした。
私は誰にも言わずに、プリアンプで
自分の納得のいくデザインを進めていて
3年がかりで商品化、当時の価格で10万円です。
それがプリアンプSZ-1000で、
オークションに出れば買わずにはいられない名品です。
プレイヤーからこのプリアンプ、
そして「ゴジラ GODZiLLA」のパワーアンプ
にJBL4343という組み合わせは、極上の音を出してくれます。
ヘッドシェルも、一体成形でマグネシウム合金ゆえに、
当時は発火するというのも、
なんとしてもその工場で、デザイン提案したのです。
「ゴジラ GODZiLLA」こそ、最高であり、
今ではYouTubeで見ることができます。
レコードプレーヤーSR-370は、私デザインで、
インシュレータも間もなく届きます。
さらに、ナガオカでのカートリッジ用リード線は4種類デザインし、
このリード線に変えるだけで格段に音質を向上させるのです。
「私もレコードプレイヤーほしい」
「えっこれだけで音が出ないの?読み取り器ってこと?」と、
東京から就職と大学卒業の報告にやってきた姪っ子は驚いていました。

プリアンプSZ-1000
*リード線


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『レコードプレーヤ−を使うならここまで知識必要』


   


     1月 30th, 2018  Posted 12:00 AM

レコードプレーヤーがまたまたブームになってきました。
確かに便利になってきて、4~5万円程度のプレーヤーでも
それなりの音がするものが確かに増えてきています。
しかし、レコードプレーヤーには、オーディオマニアならば
大変複雑な音楽性と知識が要求されるのです。
そのようなことも知らない評論家がこれまた随分と現れました。
信じられない評論記事をいっぱい見ます。
読む価値などまったくありません。
かって私のスタッフがSMEのトーンアームのカタログを持っていたとき、
すかさず私は彼に聞きました。
プレーヤーのベースは?
インシュレーターは何?
ヘッドシェルはどこのをいくつ?
針圧計はどこのを?
テーブルマットは、ゴムでは無いよね?
そしてリード線は?
そうなんです。リード線だけをこれまで商品化したのは私だけでしょう。
当然、レコード針ナガオカで、ジュエルトーンブランドです。
もう考えつく最高級4種を商品化しました。
実際、私の作品集には3種しか載っていませんが、
かっての私のパンフレットでその4種が出てきたのです。
もうたまらなく私は糸ドライブで3種のトーンアーム、
ヘッドシェルは自分デザインでマグネシュウム合金最高級、
そしてかっては集めていたカートリッジMCとMM、
光電子、IC、そして自信あるエレクトレットのカートリッジです。
おそらくもうこんな会話が出来るのは少数になってしまっただろう、
そんな気がしますし、このブログで出て来た、
プレーヤー周辺についての知識と音楽性は忘れられているでしょう。


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『LPの音は聴覚という触覚感覚でありそのためのしつらえ』


   


     12月 4th, 2016  Posted 12:00 AM

今、LPレコードプレーヤーが舞い戻ってきたようです。
LPレコードの見直しがブームになってきていると聞くと、
とても嬉しいことと無念なことが交差する自分です。
Aurexに必死だったまだ20代の私には、
無論Aurexのマーク・ブランドアイデンティティから、
その当時は、アンプ・スピーカーと一連すべてのデザイン担当。
その中でのLPプレーヤーでは、このSR-370です。
特に、この筐体である人造大理石は、川口工場で製造していて、
その試作を二台持って川口市から横浜の磯子工場まで、
手でぶら下げて持ち帰りましたが、途中で雨が降り、
両手への重量はもう手がしびれきってしまうほどの重さでした。
ともかく、プレーヤーは共振防止が最大の問題であり、
人造大理石での試作に試作で、やっと出来たモノを持ち帰るとき、
これだけの重量なら、もう筐体振動はゼロになったけれど、
この重さ、そして当時の給料では買えないモノを設計していました。
無論、ターンマート、アーム、ヘッドシェルはシリーズそのままは
絶対に変えてやると意気込んでいました。
今でもオークションに出てきますから、一台は所有しています。
さて、なぜLPがまたブームということでは、
正直、「そういうことではないんだがな〜」って思うこと一杯あります。
無念なことは、当時はすべてのレコードメーカーから試聴版は私宛てでした。
そして、3000枚のLPを150枚だけにしてしまったことは無念です。
最高のカートリッジは「エレクトレットコンデンサー」であり、
すでにヘッドシェルもマグネシウム合金も試作、
当然ながらリード線もすべて商品化はしていました。
アナログの音、それは聴覚への触覚感覚だということです。
つまり、指先と同じ触覚感覚が研ぎ澄まされているべきだという結論です。

* 『Beogram9000でアナログ感を鍛え直すべきか』
* 「SZ-1000・私のオーディオ最終作だから」
* 『カートリッジの性能をさらにアップさせるために』
* 『ターンテーブルマットはガラス素材にたどりついた!』
* 「カートリッジデザインのフィニッシュワーク」


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『カートリッジの性能をさらにアップさせるために』


   


     9月 24th, 2014  Posted 12:00 AM

レコード再生ではカートリッジ性能がまず音の入り口として重要。
したがって特にオーディオマニアはカートリッジに詳しいのですが、
私はそのカートリッジに対して、リード線とヘッドシェルに注目して
リード線も、リッツ線とリボン線、その素材は銅線と銀線、
どれにも金メッキを施して、リード線の選択巾を増やしました。
明らかに、銅線でも、その線形状がリッツ線かリボン線かで、
音は明白に変わりました。それは音楽ジャンルと使い分けが可能。
音楽ジャンルは、東芝時代、特にモーツアルトのピアノ協奏曲は
耳で暗記させられるほど訓練されていました。
ともかく、ピアノほど周波数が幅広くあり、これを主体にしました。
入社するまでほとんどクラシック系は避けていましたが、
ほとんど教科書的に教え込まれていましたから、リード線を
全ての素材と線状形式で選択肢ある商品アイテムを完成させました。
さらに、ヘッドシェルもアルミ素材とまだ開発中であった
マグネシウム合金=超軽量で振動制御素材をおそらく最初に
シリーズ商品化できたと考えています。これはすでにAurex時代に
エレクトレットコンデンサーカートリッジのシェルで試用しました。
また、ヘッドシェルはネジ止めするのですが、その位置決めから
ネジを面止めする形式の形態にして、リード線も自由に選べました。
ともかく、私は当時のレコード盤に関わる商品をシリーズ化する、
そのブランド商品シリーズ化はトップクラス化を狙っていました。
この商品シリーズで世界的にも最初の商品化に成功したのは、
リッツ線だけではなくてリボン線、ヘッドシェルでの新素材、
しかもネジ止めを丁寧に位置設定用の目印方眼線も印刷。
マニアによっては、決定したカートリッジはネジ止めしてしかも
すべてを接着剤で接着固定しているカートリッジ12本には本当に
圧倒されたことがあります。
その当時のオーディオ評論家の批評では、彼らの能力がズバリ、
読み取って分類することまでできました。
真実プロの評論家を決定して、あとはインチキ評論家ばかりでした。
ともかく、こうした経験は今の私のデザインにつながっています。

「カートリッジデザインのフィニッシュワーク」


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「カートリッジデザインのフィニッシュワーク」


   


     1月 13th, 2012  Posted 12:00 AM

おそらくカートリッジと言ってももう不明でしょう。
LPレコードを再生させるレコード針のことです。
写真は、東芝で最後の商品であるイコライザーアンプ用の、
エレクトレットコンデンサーのレコード針・C-400と、
フリーになって、
「ナガオカ」=レコード周辺アクセサリーメーカーの仕事です。
もう「ナガオカ」は消滅しましたが、
元社員の方々で「レコード針』販売は続いています。
「ナガオカ」の商品は今も専門店で販売されています。
「ナガオカ」は最初に私のパトロネージュになっていただいた企業。
だから、このシリーズは私にとって作品ですから、
全製品買い求めたいのですが、
おそらく100万円ぐらいになるほど高価な商品です。
もはや、レコードプレーヤーは使っていませんから、
持っていたレコード針はもうこれだけです。
ピッカリング、オルトフォン、シュアなど再現音が懐かしいです。
LPレコードファンは今なおマニアックにおられます。
私も「糸ドライブのプレーヤー」そしてその周辺機器で、
たっぷりと「アナログのレコード演奏」を聴いてみたいと思っています。
だからLPレコードもきっちりと100枚だけ残してあります。
今、CDもリッピングして整理、100枚だけ残して整理をしている最中です。
この写真の「ナガオカ」商品は、パッケージデザインでは
当時、肉厚成型で今はもう出来ないかもしれません。
Aurexはエレクトレットコンデンサータイプだけれど、
ヘッドシェル(カートリッジを取り付けている)は、
マグネシウム合金で一体成型、
よって、針先への振動を可能なだけ遮断することをめざしています。
車椅子になる直前と直後の仕事です。
つまり、性能を出来るだけ完成度を求めるために、
素材や成型加工に至るまで、本当に丁寧な仕事をしています。
パッケージ、ヘッドシェルいづれも、時々取り出して眺めていると、
現代の「モノづくり」は手抜き仕事に思えてなりません。
デザイン・生産設計・商品化まで、徹底的に性能から機能を求めました。
やはり、徹底的な「仕上げ」=フィニッシュワークはデザインの本質です。
デザイナーである限り、決して忘れたくありません。

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