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「手紙、そして私自身の肉筆は大事」


   


     4月 20th, 2013  Posted 12:00 AM

正直、子どもの頃に「手書きでの日本語書き」は鍛えられました。
とても父に感謝しています。
手書きの文字は、今流行の「美文字」だと自負しています。
もちろん、毛筆での文字書きも大好きです。
あえて、今回は時折、メールでなくて手紙を書くことを写真に撮りました。
相手は、私が最も敬愛するクラフトデザイナーの小松誠氏です。
彼の作品はいつもハッとさせられる美しさがあります。
おそらく、
どんなテーブルであっても、彼の食器や特に花瓶を選んでいる人は、
最高に美しさを見極めた人物だと思っています。
彼も私同様に、大学人を退任と同時に「作品集」を出版されました。
食い入るように彼の作品を見て、欲しいモノをいくつか見つけました。
そこで、彼には手紙を書きました。
彼なら、細字が良いと思いました。
毛筆ではないだろうとか迷いもありましたが、
この迷いも手紙への楽しみです。
さて、長らく大学人をしてきて、
日本人は、文字書きがとても下手が圧倒的に多いと思います。
学生には、かなり厳しく「文字の書き方練習」を命じます。
だから、毛筆展などは、見つけると必ず見ることにしています。
ふるさと福井駅には、毎回、県民の「書」が展示されていて、
ソースカツ丼ともどもに楽しみのひとつです。
「書」という文化については、懸命に見極めの技と、
自分も書写したいものがいくつかあります。
したがって、この手紙を書く楽しみのための万年筆収集は、
とてもあきらめる気にはなれません。
すごい万年筆ではとても高額なモノがあります。
買える価格ではありませんが、高額な時計以上のモノもあります。
そろそろ万年筆収集は辞めようかとも思いますが、
そのペンで、「私自身の文字」を知りたいと思うのです。
かつて、ある高名なデザイナーの先生からいつも、
葉書をいただいていました。
無論、その葉書も毎回優れたデザインでしたが、
まだ読み取る力が備わっていなかったのでしょう。
その先生が突然に逝かれてしまわれたのです。
そのデザインされたポストカードと直筆の文字を失いました。
これは私にとって、なんたる不覚なことだったと今も思っています。
それだけに、私は、ポストカード、便せん、筆記具、毛筆は、
すべからく「私自身」だと思っています。
だからこそ、手書き文字は「私の身体」だとも確信するわけです。


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