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Posts Tagged ‘中小企業庁長官賞’


「また、新たな展開だ・・・」


   


     8月 7th, 2012  Posted 12:00 AM

2001年、私は彼と出逢いました。
その年に私はGマーク選定の総合審査委員長でした。
商品内容について、説明を求める審査に加わりました。
その会場に、まるで異様な若者集団が現れました。
サラリーマン的なグレー色の中に、
髪は緑や金髪で、ロックグループのような若者集団でした。
だから、私はようやくGマークにも
このような集団が来てくれることをとても嬉しく思いました。
その集団のリーダーは、当時、25歳だったと思います。
彼も、指輪してブレスレット、長髪の私が
審査委員長だったことにビックリしていたと後で聞きました。
部門別審査委員会では、彼らの商品には、
「インタラクションデザイン賞」と
グランプリ候補にと、すでに決めていてその確認でした。
私は、彼らに聞きました。
「どこで売るの?」、と。
「秋葉原です」
「じゃ、秋葉原ではインタラクションデザイン賞では通じないね」
「でしょうね」
「分かりました。分かりやすく『中小企業庁長官賞』なら?」
「それなら説得しやすいかも」、ということで、
グランプリ候補にもなりました。
授賞式では、私は大企業に向けて、ある演説をしてしまいました。
「商品説明が時代遅れになってきています。
是非とも『デジタルステージ』の商品内容、
特に取説に注目してほしい」と。
結果、「取説だけほしい」と言ってきた大企業があったらしいのです。
もう彼は一児のパパとなり、
まさにSNS時代の寵児になっています。
原発問題でもさかんにオピニオンリーダー的発言をしつつ、
彼のUstは、websiteづくりにはたまらない人気番組になっています。
改めて、新作を出しました。
まだ内容は確かめていませんが、
それ以前に仕上げていた著作もヒットしたようです。
私は、彼を大学で講師に招いたこともあります。
とことん、自分が欲しいモノを実現していくさわやかさは、
今もまったく変わっていません。
大阪で合宿するように彼に求めています。


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「安易な包丁デザインは絶対しない」


   


     2月 13th, 2012  Posted 12:00 AM

タケフナイフビレッジが知られるようになってから、
福井県ブランド「ECHIZEN」もつくりました。
そして産地全体が商品化できる包丁をデザインしました。
ヒット商品になり、中小企業庁長官賞もいただいたモノです。
四つのポイントがあります。

●1 グリップ形状が楕円(A)から正円(B)になっていて、
しかも正円までのテーパーがあるにも関わらず、
ハンドルグリップは抜け落ちすることがありません。
●2? 日本の包丁には必ず(C)部位には刃先処理が必要です。
これは日本料理をするにはこの部分で、
たとえばジャガイモの芽取りや、魚処理で必要です。
最近の包丁にはこの部位刃づけが欠落しています。
●3 グリップと刃=ブレードにはグリップに端面処理(D)が不可欠です。
なぜなら水使用でここからグリップへ水分が入るだけでなく
大腸菌が繁殖する可能性があります。
●4 そしてほとんど木製のグリップは、
二カ所(E)にピンを打ち込んでブレード+グリップ留めをします。
私はこうした木製グリップは安易なデザインだと思っています。
だから、このデザインでは(D)からグリップに差し込んで
グリップ固定をする構造設計をしています。

国内外の包丁やキッチンナイフには、こうした条件を全うしていない
安易なデザインが氾濫していると指摘しておきます。


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