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「専門家の表現は手で美しく表現するべき」


   


     5月 23rd, 2011  Posted 12:00 AM

絵図という言葉があります。
安土桃山時代からの戦略用語。
デザインの昔からの邦訳語と言えます。
「絵図を描く」というのは、
企みを巡らすことを意味しています。
絵図とは見事な会話用語(パロール)でした。
デザイナーは、スケッチでアイディアを出し、
レンダリング(完成予想図)と図面仕様図で表現します。
まさに、絵図=企画と計画をする職能です。
だから、design=企みという意味と全く通底しています。
さて専門家には、それぞれの思考経過やその結果、
そうした企画・計画の図解形式を持っています。
楽譜・数式・方程式・化学式(亀の子=ベンゼン環)や、
システムチャート・回路図・金型図面など、
すべからくこうした図解の背景には専門知識が必要です。
遺伝子チャートなどもある種のアルゴリズム的図解です。
最近は、こうした専門的図解形式はPC画面や、
iPad上でも出来るようになってきました。
しかし私はこれが問題になりつつあると考えています。
楽譜も現代音楽では変貌しています。
薬学も、PC上での亀の子から脱出を狙っています。
iOS4なども、思考とプログラムが一致し始めています。
つまり、いかにも専門的図解が進化しているようですが、
「手で描く」という手続きでの発想は小さくなっています。
手が考えるということには重大な意味があるはずです。
最も、メーカー依頼できる図面が描けない教育が、
日本の大学教育では増加しています。
結局、モノづくりのための図面・図解化が出来なければ、
製造生産仕様にする創造性の開発は無理です。
結局、図解の意味、特に美しい図解は、
発想・表現・伝達での大きな効能性があります。
ということでは、図学を超えた図解教育が必要であり、
しかもそれは「手で描く」技能が必要だということです。
そこで連日目にしている原発炉心図解や、
放射能汚染地帯の地図などは、この美しさがありません。
そのことを指摘しておきます。
未来の絵図を描くには、
手で発想し表現する能力がPC操作以上に必要だと
私は考えています。

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『資本主義からの逃走』
  「Bit資本主義の「デザイン数理学」へ・3」


   


     1月 10th, 2010  Posted 1:00 AM

e-Management to exponent-Design Management

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Atom的な「モノづくり」がBitなモノへの、
デザインへと必ず誘導するはずという予感があります。
exponentが術語で「指数」だと前述しました。
その代表的な三つの思考算式にふれておきます。
こうした思考を「デザイン数理学」にしたいのです。
新たなイデオロギーは、Bit-Designの具体化で、
経済論から制度論から文化構築の基盤になるでしょう。
「指数」というのは、Axでのxです。
日常的には会話用語として、
「物価指数」や「株価指数」などがあります。

これらは
● ラスパレス算式
● パーシェ算式
● フィッシャーの理想算式、までが生まれました。
こうしたことは、必ず「デザイン数理学」にします。
だから次世代のデザイン教育は、
こうしたことを理解できる資質が絶対に必要だ、
と、確信しているのです。
でも、安心してほしいのは「数学が得意」であるべき
なんてことを私は全く意図していません。
中学・高校の数学ではありません。
あれらは数学ではなくて数学的なパズルです。
数学的な思考を教え・学ぶという環境こそ本当は、
「デザイナー資質を育成する」場であるべきです。
実際には、ラスパレスが算式を考えていた同時代に、
マルクスは、見向きもしなかったのではないかとさえ、私は推察しているのです。
だから、「資本論」は「批判書」としても、
欠落部分が多いのです。


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