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Posts Tagged ‘使用感覚’


『デジタル表現の基礎は、烏口や用紙感覚も必要』


   


     6月 15th, 2017  Posted 12:00 AM

私にとってデザインのためには、
スケッチ作業が最も重要です。
なんといってもMacとの付き合いは自分の人生、それもフリーになってから、
Mac128kから始まり研究室に最近、MacPlusと白黒PowerPointを透明液晶、
それをオーバーヘッドで映写するMacintoshSE30を出してきてありますが、
正直、どうやって使うのかを忘れていました。
このSE30が、いわゆる最初のMac形態の最終のかたちであり、
起動ソフトも探しださなければいけない状態です。
結局、iPad Pro12インチと10インチでのスケッチには、
ApplePensilがそのホルダーでようやく私の手に馴染んでいるのです。
これには、人間工学では無理で、シーティングエンジニアリング。
これにたどり着いた美大時代級友・光野氏からも
私には、これまでいわゆるペンシル軸経が深く関わっていて、
これをグリッピングエンジニアリング(仮称)の体系化が必要でしょう。
特に、スケッチをボールペンとしてきた私にとって、
現在はBicのボールペンになっていますが、
この書き味には、Bic社が長年にわたる研究結果が表れています。
米欧のデザイナーもこのボールペンになってきていることからも明白です。
そして、このボールペン使用感覚を求めてきた結論が、
ApplePensileにホルダー装着に至ったのです。
そして、様々なアプリもデザインスケッチで使ってきましたが、
液晶で最大18インチ(ASUS)も使用してきましたが、
今ではiPad pro10インチで充分な気がしています。
そして随分製図台に向かってきていなくて原寸スケッチでなければとなって、
いわゆるPM PAD用紙がB2以上はなくなっていることに気づきました。
最も先般も「烏口」と表現したら、
読めないということで、「からすぐち」とふりがな表現をしたぐらいです。
さらにもっと重要なことは、
製図での実寸が0.6だとか、
破線や一点鎖線、二点鎖線、断面図ハッチングなどもアナログ性を
しっかりと伝えないといけないと思っています。
先般恩師(来年88歳)に烏口や製図での実寸表現はしっかりと伝えなさい、
そう言われました。だからiPadでのスタイラスは無論、
Pad内での色彩論理も再教育が必要と考えています。

* 『Padスケッチにすっかり馴れ親しんだ!』
* 『石ころとスタイラス』
* 『私のデジタルアイディアスケッチとスタイラス』
* 『iPadでのスタイラス先端が新たなペン先になった』
* 『ボールペンとスタイラス・私の親しんだ描画ペン』


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『資本主義からの逃走』
「ケータイはツールか、メディアか、
     それは使用者・所有者の人格が決定している」


   


     3月 18th, 2010  Posted 9:39 AM

Tool or Media
私はモノのデザインをしています。
モノを所有する、使用する、いづれもユーザーと呼びます。
たとえば、ポルシェという憧れの車があります。
ポルシェを所有している人は、
その人自身は、「使用観」だけで所有しているかもしれません。
これは、ポルシェが「ツール=移動する手段具」です。
しかし、いつかはあの車を「所有」したいという人にとっては、
ポルシェは「メディア=移動具よりも顕示性表現の媒体」です。
モノへの所有観を自己表現するとき、
そのモノは「メディア」になります。
しかし、
モノへの使用観をあるいは使用感覚を軸にする人にとって、
そのモノは「ツール」です。
もっともモノが、「ツールでありメディア」になるのは、
モノの「存在性」=オントロジーになっていくと思います。
私は、きわめて「所有観・所有感」にこだわっています。
それは、自分が選んで所有していることは、告白すれば、
モノで、自分の存在性をも強く演出していることです。
たとえば、
モノへのこだわり感覚は、「所有してなおかつ使用感覚」が、
「望ましくて、好ましい」=価値観が私的であってほしいのです。
私は、これまで携帯電話が自動車用からスタートしたときから、
この感覚を、自分に差し戻して、
自分とケータイとを、「ツール」なのか、「メディア」なのか、
徹底的に考え抜いてきました。
Mobile Phone as Media
結果、
明らかに、「ケータイ」は、「メディア」なのです。
無論ツールとしての機能と性能は最高であってほしいのです。
残念ながら、私自身が「私のために」社会システム、
すなわち、生産システムから流通システムに載せて、
「製品化」から「商品」にしたモノは皆無です。
とりわけ、デザイナーにはそのことを徹底して、
自問自答してほしいのです。
結論は、モノ、たとえばケータイ、
その「ツール」であるのか「メディア」であるのかは、
ユーザーの人格の投影であることは間違いありません。
ちなみに、現在、私が愛用しているのは、
いづれもホワイト色のiPhoneとBlack berryで、
メガネテンプルのカラー毎に合わせた、
それぞれカラーのHeadsetです。


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