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『応答では移染と呼ばれるから真の解答が必要だ』


   


     10月 24th, 2016  Posted 12:00 AM

「復興オリンピック」というタイトルを耳にしても、
なんともやりきれない気分が自分には残ります。
2012年の除染マニュアルと2013年の確実な除染、この2冊を暗記するようにと
読み直していますが、未だに、除染は移染とまで現地では呼ばれています。
先日は自宅も震度3ながらも鳥取での地震に相当ゆれました。
今、「問題解決」というテーマを掲げれば、
人間社会、日本が抱えている問題は余りにも多すぎるほどです。
除染で確実な実績を上げている実例を読み直しながらも、
デザイン、あるいはデザイナーには、何も期待などされていないでしょう。
しかし、いつもこの解決を懸命に考えているデザイナーはいます。
地震大国どころか、地球異変での明確なサスティナブルも見返しています。
それは、たとえ自分のデザイナー世代では間に合いそうがなくても、
「確実なデザイン手法論」は、せめてこうして書き残しておきたいのです。
次世代デザイナーが真にデザインとは問題解決ゆえに、
この除染などは完璧な「解答」がいるのです。
現在の国家的な除染が移染とまで揶揄されているのかは応答だからです。
自分が読んでいるマニュアルも回答ではないだろうか?と、
思えてなりません。
信頼・安全性工学では、決して、「リコール」はあってはならないのです。
まる一日、この2冊の「除染」可能性のマニュアルとプロスペクタスを
読み込んでいました。

* 『セシウム除染もデザインが深く関与すべきだ』
* 「民主主義との思い違いと資本主義の日本化を急げ!」
* 『宇宙開発の信頼・安全性工学からデザインが学ぶこと』
* 『次世代デザイナーへの手本になりたい事例を発表予定』
* 『壊れてはならないから鄙美人にレジリエンスデザインを』


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『宇宙開発の信頼・安全性工学からデザインが学ぶこと』


   


     1月 26th, 2016  Posted 12:00 AM

宇宙工学とデザインの関係は、まだまだ双方から、
お互いのとりあえず話題が語られることがありません。
話題ゆえ応答、そして課題ゆえ回答、問題ゆえ解答です。
昨年から、宇宙工学とデザインを私が主宰する「KK塾」で、
それも私のいとこ(父の姉の息子)と講演会をしています。
宇宙工学といっても、その最大の問題点である
「信頼・安全性工学」という宇宙工学のさらに専門からの話です。
まず、何と言っても宇宙工学では、
「修理を一切しないで寿命どおり」しかも一日24時間稼働の
それもシステム設計どおりのモノづくりでなければなりません。
いとこ・長谷川秀夫工学博士は航空工学から、
宇宙開発事業団時代は、ヒューストンにてNASDAの所長として
NASA・NASDA・ESA合同で
宇宙実験棟「きぼう」の実質統括設計者。
最初の宇宙飛行士・毛利氏を飛ばした責任者でした。
以後も、H2Aロケットやはやぶさに関わってきたディレクターであり、
現在はJAXAから宇宙開発機器の発注管理企業の社長です。
信頼・安全性というのは、
何と言っても「修理・修繕無し」が鉄則であり、
たとえ話でいえば、「手術は不成功でも患者は助かる」ということです。
そのためには、「知見」の裏付けが詳細に求められることになります。
なんといっても無事故・無修理・完全であるモノとシステムづくりです。
所詮、
人間が創り出すモノは失敗して当然ということは無視する世界観です。
「知見」とは、知識と見識をさらに深度を求めて、
知識と知恵は経験からの帰納的な結論に対して、
さらにどこまでも想定外を完全無欠化するという工程が
「組織」の組み立て・運用・維持が必須だということです。
それは想像力を果敢に発揮してしかも知恵や見識をさらに完璧にすること。
なぜならば、
宇宙工学での危機システムの部品点数は200万点をPDCAという方式。
Plan→Do→Check→Actionという手続きがあるそうです。
これは現代のモノづくり全てに適合した考え方です。
そのために、
「勘」を取り囲む「観」・「看」・「鑑」・「関」・「感」が配置された
「知見」は、まず、
ハードがあってそれをソフトでどこまで支援出来るかという
「事故シナリオ」が中軸です。
あくまでの「怖がる」ことの重要さというのは、
デザインでの問題解決以前に、問題提起があるのですが
スペキュラティブデザインというような軽さはありませんでした。
あくまでも無事故で無事なモノづくりを
デザインは宇宙工学から学び取らなければならないということでした。


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