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Posts Tagged ‘効能’


『目薬はほとんど成分を知りません』


   


     12月 17th, 2019  Posted 12:00 AM

目を酷使する私達に欠かせなくなった目薬は、
点眼薬や点眼液といい、日本では安土桃山時代、
二枚貝の片方に軟膏のような薬剤と
もう片方に水を入れて使う原型がありました。
両口式点眼瓶が発明されて、今のような目薬を点す、差すといった目に
衛生的に薬剤を垂らすことが可能になったのです。
医師から処方されるモノもありますが、
市販されている目薬は処方箋なしに買えるモノが多種多様にあります。
特に成分やパッケージが細分化されて薬局に並んでいます。
目薬は、海外へのお土産にとても人気となり、
安価なモノから高価格帯のモノもあります。成分はいい加減です。
しかしこの小さな点眼薬パッケージは、
とっても薬剤成分がほとんど知られていません。
またパッケージの成分表示や折り込まれている取説は、
目が良くないと読めません。
その役割=性能性も効能性も、とても機能性と、
点眼薬を結び付けることは難しいでしょう。
最近では、パンテノールとL-アスパラギン酸Caの成分があります。
これには廉価版が無くて、ほとんど1600円程度です。
パソコンやスマホで点眼薬が必要と言われているのは、
科学的には目薬の成分、効能性だけが際立っていて、
それこそ、この二つが無いものは、何の役立ちしません。
成分以外がその価格に反映している目薬も多いのです。
パッケージのかわいらしさや、
キャラクター、TVでのCMには気をつけるべきです。


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「モノとコトからの逸脱を私は図る新作の価値論」


   


     7月 16th, 2019  Posted 12:00 AM

モノはコトを仕掛け、コトはモノを要求します。
モノが象徴化されれば、構造がそのモノの進展を促し、
コトがモノを準備させます。
一方、モノが神話化すれば、効能がモノを要求しコトを導き
あるいは発祥させます。
現代では、コトからモノへ、コトがモノを突き動かすという
デザインが多く、またそれらがデザイン賞でも奨励されています。
しかし、私は、『芸術の陰謀』(消費社会と現代アート)での
ジャン・ボードリアールの「無価値と無内容」という
一刀両断の切り口を、今の市場の価値論で、思い返しています。
私は秋発表の新作において「性能」としての存在から、
機能と効用を取り込み象徴化から神話化へと昇華させなければなりません。
市場はインターネットで多極化していますから、
消費と浪費の間で、普遍的な富と美を訴求すれば、
その過程で、象徴と神話がモノとコトを見事に分裂を起こせます。
そのとき、アートとデザインはくっきりと定義をわけるでしょう。


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『モノの存在とコトの別れがあるから象徴と神話がある』


   


     7月 15th, 2019  Posted 12:00 AM

モノの歴史を語るために、「扇風機」を例として思い出します。
それは、
  ■ 実在論
  ■ 機能論
  ■ 構造論
  ■ 象徴論
これらがあります。
先般、この説明の順番を企業プレゼで誤りました。
それは、秋の発表のために、
 ■ 性能論
 ■ 機能論
 ■ 効能論
 ■ 神話論
といった流れで結びの象徴論と神話論を語るためでした。
市場は2極論というより、今では3極になっています。
そのためには資本論の所有と使用から、
インターネットでの新たな競合論があり、
私は思い切って、すこぶる超高価論で自分の作品を導いています。
「扇風機」という題材は、私自身が社会人として、
東芝最初のレンダリングのトレーニングでした。
そして扇風機がまず存在としてあり、
そこから機能的に首を回すことからの構造論である仕組みで、
虫の音色が流れたり、誰が使うかという対象化
そして最終的には象徴論を学んでいきました。
東芝では4枚羽でした。
そして羽のない扇風機も製品化を逃しましたが、
そもそもは東芝が特許を持っていました。
さて、私が最も気嫌いしているのは
「デザインは機能的」で語られることで、
「性能的」「効能的」でもあるべきです。
更に、インターネット市場にはAI(artificial intelligence)こそあれ、
まだ成り立っていない「神話論」がそこには必要となるわけです。
それこそ、モノとコトが、しっかりと分かれてくるのです。
象徴的と神話的は、どこかで別れうるかもしれません。


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『牛乳の蓋から収集癖が始まった』


   


     5月 23rd, 2019  Posted 12:00 AM

私の収集癖は、最初は「牛乳の蓋」でした。
それが、切手、マッチの箱、古銭、藩札、決まった缶詰の蓋、
野球選手や相撲取りのカードなどになっていきました。
最近では、ペットボトルのキャップがとってもいいと思って、
これを収集しようかと思っていましたが、ワイフに怒られました。
水はevianと決めていますから、
このキャップやデザイナーのボトルシリーズを
どこまで集めるのかをほんの少し、決めていました。
もう収集癖は諦めよう、いや、これは本能に基づく習性なのだ。
「収集とは何が無いかを知ること」だと私は知っています。
収集するというのは、
「持っていないモノを探し、さらには全てを持ちたい」を
満足するまで、完全主義に撤して他の人が何を言おうがやりとげる、
とても勝手な行動です。
しかし収集癖だからこそそれでも埋まらないモノを自分のデザインや、
ブランド形成にと昇華させる手段だとも考えています。
これまた身勝手な言い分ですが。
そしてペットボトルのキャップには、
その秘密とも言える機構と種類があり、
「何かが果たせる性能や効能がある」のです。
機能とは、収集した後にやってくるのです。


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『私自身のトーチ・デザイン審査基準は5項目でした。』


   


     3月 23rd, 2019  Posted 12:00 AM

1次審査の結果が入りました。
私が期待した一案もかろうじて入っていました。
それぞれの専門家からなる審査員団の一人として、
「デザインが問題解決である」とは、
一般的には伝わっていないのだとも実感しました。
私は、デザインの5つの基本、
もしくは基準となる構成と構造に着目していました。
 ● 日本らしさというシンボル性の形態への表現性
 ● 先端技術の応用による日本独特性=押し出し成形への確かな知識
 ● 新しい製造手法とトータルな適合性=成形後の光の実装性
 ● モノとコトが「復興」でつながる文脈性=コトづくりに一致
 ● 世界に誇れる機能・性能・効能を具現化する想像力の創造性
もっとも大事な「創造性」は、
問題解決となる解答を必ずや導き実現する力です。
2次審査に必要となるトーチとしての様々な条件検証は、
技術の専門家中心に実証現場での確認そして私はビデオで確証し、
さぞかし大変なチーム努力だったろうと応募チームに敬服しました。
この審査会の専門家はボランティアでした。
これまでの知識と経験から国家的なプロジェクトの一翼を担い、
東京2020の成功を日本の未来につなげたいと承諾されたのだと思います。
私も苦手な午前中から、長時間連日の審査会を乗り切りました。
私はシンボルマークのバッジが欲しかったのです(笑)。
実際、国際的な市場でのモノづくりの現場にいるデザイナーとして、
万一、聞かれたらなら明言できるだけのの自負がありますから、
その実践からの「論理」をもってのぞみました。
結果、英知を結集し議論を尽くした審査が終了しました。
オリンピック・パラリンピック開催の前には
日本中で、20000本のトーチが、走り巡ります。


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『デザインとデコレーションの差別化は間違い』


   


     11月 11th, 2017  Posted 11:40 AM

私は思いついたらすぐにデザインをします。
そのほとんどにはクライアントはありません。
クライアントがあるからデザインというのは私には全く興味がありません。
だから、いつまで経ってもクライアントがあるという訳ではありませんが、
10年後、あるいは20年後に依頼があれば幸運なことです。
だから、作品集にはそれなりに掲載はしておきます。
先般も、あるクライアントから、この「時計実現していますか?」
「いいえ、全くです。」
「実現したらどうですか?」と。
しかし、それはもう無理だと判断しています。
なぜなら、これは盲人用の時計案でしたが、詳細な図面とモックアップまで、
確実にデザイン設計は終了。
けれども、EONEという素晴らしい触覚だけの腕時計が出現して、
(デザインが負けた)と思ったのです。
私のデザインでは、視覚的には液晶表示。
聴覚では、英語発声でした。
しかも、動作は二つ、視覚は表示窓の開閉、ボタンを押せば発声です。
しかも、「T」と「ト」はTimeと時計であり、同じ点字なのです。
今は、新しいディバイスは発明しています。
が、EONEというこの触覚時計は、世界のデザイン賞をほとんど受賞するほど、
デザイン成果・発明で、デザイン=問題解決がついていました。
最近、あるもう著名なクリエーターをTVでドキュメントを見て、
この人のデザインは勘違いしたデザイン造形だと評価していましたが、
なるほど、と納得しました。
それはデザインとデコレーションの区別がついていないこと。
デザインと機能がしっかりと差別されていることです。
したがって、センス不足を感じるのです。
なるほど、センスとデザインの適合性は難しいのです。
やがて、例えばロボットの進化では、
そんなロボットがあったというロボット史では残るでしょうが、
決してデザイン史でそのロボットは語られないと確信します。
私も生涯の限界が近づいていますから、
例えば、いくつかの審査委員長を次世代に任せたいので、
その選別を真剣にし始めています。
まず、盗作平然なデザイナーは排除します。
商品やデザイン成果では効能性だけで見ています。
それは「社会的・時代的な存在」が中心です。
そして性能は発明一点に絞ります。
効能性+性能性=機能性となりデコレーションという加飾性の限界を
しっかりと判断して、経済的な成果は美しさでの商品価値。
それは安全・安心・信用・信頼の統合が次の評価です。
デザイン審査の委員選定は私には明解です。
デザインの本質を知らない審査委員が余りに多過ぎます。

* 「モノの美しさにあるバランス性が決定要因」
* 『センスの有無が判断できる椅子と曲の選択』
* 『薔薇というシンボルから花言葉も消した問題解決』
* 『製品記号論で語り直す時代がやっと訪れた』
* 『モノ真似防止、他のデザイナー作品は暗記すべきだ』


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『経年変化とリサイクル性に商業主義で杜撰な日本』


   


     11月 9th, 2017  Posted 12:00 AM

かって環境ホルモンが問題になり始めた頃、
自分デザインでもその機種があり、生産中止をデザイナーとして提案。
ポリカーボネートが問題になったときも私はこれに対抗しました。
今ではすっかり改善されました。
プラズマTVでもこの商品化をたった一人で発言して、
世間風潮から、徹底的な私非難を受けました。が、
結局、プラズマTVは生産中止になってしまいました。
フュラディア美術館に永久収蔵されたスピーカーシステムは、
その素材の経年変化から取りやめになってしまいました。
そんなことから、素材の中でいわゆるウレタンフォームには、
自分デザインでも経年変化した洗浄スポンジがありますが、
これもすでに製造中止ですから、ウレタンフォームには、
厳しい素材選択をしています。
結局国内ではこの素材改善は皆無でした。
そうしたら、探し出して貰えました。それはドイツ製でやや高額ですが、
ドイツでは素材の経年変化ゼロとリサイクル性を最重視しています。
残念ながら国内の素材メーカーでは自社開発に
リサイクル性と経年変化無しの理念はすっかり忘れられています。
もう一度改めて環境ホルモン問題や遺伝子操作でのクローン化への
大きな疑問視は忘れられているようです。
遺伝子操作やDNA鑑定などには科学的な大変な変化が起こっています。
DNA鑑定システムを数年前に開発しましたが、国際的なコンペでは、
審査員にはとても大きな知識不足があり、
落選したので意義申し立てをしたことがあります。
にも関わらず、
(これ絶対駄目)という商品開発には永続性は全くありません。
そして、1970年ローマでの賢人会議での地球からの素材消滅予測は、
もはや極めてその実態が現れ始めています。
それこそ、プラズマ素子を見抜かなかったように、
果たして、新素材は本当に大丈夫であろうか、という検証は、
商品拡大のための誤りだらけ商業主義によって、かき消されています。
特に今は、ウレタンフォームの経年変化無視は、
やがて商品の性能性と効能性は商品存在を否定されるでしょう。
それこそ、瞬間接着剤がすっかり改善されたように、
私はともかくウレタンフォームには徹底的な経年変化ゼロとリサイクル性を
どうか日本の製造現場からの登場を待っているのです。

* 『泡=うたかたの機能性には確約がある』
* 『提案の背景に知見なしと言わざるをえない』
* 「プラズマは結局無駄だった!」
* 「プラズマTV商品問題に例示される未然技術」
* 『あくまでも「素材」から考える』


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『機能美に器能美を五大器械から語り直す』


   


     9月 20th, 2017  Posted 12:00 AM

器(うつわ)と機織りが文明の源流です。
飢えと寒さは器と機織りで人類は免れることが出来たのです。
五大器械が器械主義を生みました。
が、それは人間の力を拡大・拡張するための工夫でした。
私は素焼きの器に漆を塗って、詩を詠むことから始めなさいと、
故・金沢美大の教授に教えられました。
そして日本で最古の機織りはからむし織りと言われています。
織機については、シャトルにある憧れが今もあります。
だから、私の伝統工芸での越前打刃物技でのキッチンナイフ、
そのパッケージはシャトル技術で製造しました。
そして、ようやく私は「機能美とデザイン」、この関係に縛られてきた、
デザインを機械主義・機能主義からの解放にたどり着きました。
特に、デザインを知ったかぶりしているデザインコンペなどでは、
呆れかえると同時に怒りをそのままぶつけてきました。
機能主義だけでは語れない、それを補完あるいは絶対的なデザインの進化、
その提示を行うつもりです。
それは「器能主義」と「機能主義」をデザインに差し向けることです。
これはこれまでの学術でも芸術でも語れなかった論理提出です。
果たして機械主義あるいは教育においても機械工学科は間違いです。
五大器械もとどのつまりは械=武器のためであったことです。
そこで、機械主義を機器主義に変えて、器能論と機能論を提示します。
これまでの私なりこれからの私の作品製品から商品で実務で証明可能です。
はっきりと言えば、機能美だけではデザインという手法で美しさは、
全く語ることができないのです。
これまで、「機能美=デザイン」、あるいは「デザイン=機能美」を
語り繋いでくれたデザイナーの先達たちに感謝です。
もう一度、機能主義は三つです。
自然の性能を機能化すること。
物理的な性能で機能化すること。
それらは神への人間としての知恵ある
工夫の機能化でした。
このことをベースにして、自然の性能が効能として器能化すること。
物理的な効能を取り出して器能化すること。
それは機能主義を確実に器能主義として再び五大器械に差し戻すこと、
それが器能と機能になるということです。
なぜ、楽器は楽機では無かったのでしょうか。
IoTを成し遂げるためには、この問いかけに答えられることが必要です。

* 「『はぶたえ=羽二重』の目立たなかった布の美しさ」
* 『伝統工芸での和包丁には間違いがあり過ぎる』
* 『ブランドならばスター商品=カネのなる木商品です』
* 「車イスは器械だから、『自力』の身体化は必然訓練」
* 「『布』平織りの集積された知恵=晒を見直すこと」


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『キーワードは形態言語としてのデザインにある』


   


     9月 19th, 2017  Posted 12:00 AM

おそらく私の蔵書は宝物だと思いました。
恩師に大学人の間は持っていなさい、と、このことを守って、
3000冊に絞り、自宅地下には書庫があってまだあります。
しかし、そろそろ整理をしなければなりません。
そんな時にこの「キーワード辞典」がありました。
独立して若いときには読みに読んだ本です。
もう黄ばんでいますし、いくつもの付箋や書き込みもあります。
なんといっても、この本が書かれた理由は
今でも私の中には鮮やかに残っています。
そこで、今でも出版されているのかを探ってみたら
この二冊が見つかりました。(右2冊)
この本で私が明確になったというのは、時代のキーワードは、
実際はデザイン形態= 形態言語が最大のキーワードなのです。
学術的には、論文には文体形式にキーワードを五つ選びます。
それが論文のインパクト係数になって、これが論文引用や、
新規キーワード扱いになっています。
しかし、これは時代を動かすほどインパクトなどありません。
もっと明言すれば、論文で時代が支えられることは学術の偏見なのです。
理由は論文に「美しさ」があるのはほとんど発見不可能なのです。
むしろ、芸術作品は現代から未来を指しだしています。
私は最近やっと、「機能美=デザイン」、この背景である機械主義、
この大間違いに気づきましたが、これが理解されるのは若冲のごとく100年後。
ひょっとすれば、100年後に地球があるかどうかもわかりません。
私は「機能美=デザイン」が崩れたと認識しています。
「デザイン=機能美」でもありえず、
私は機械主義を捨て去り機器主義の時代に入っているわけです。
だから、器能主義と機能主義が情報時代にはこの二つがあること。
機械主義は機と械ははっきりと機械は隠れている
武器生産の機械下意識主義=インダストリアリズムがあります。
インダストリアリズムは終焉していますから、
器能と機能が性能と効能を決定づけることになるのです。
「キーワード辞典」がなぜ、準備されたのかは、
第二次世界大戦後の世界づくりのキーワードを集めたのです。
私は「器能美」と「機能美」を性能と効能、
そして価値をデザインが創出するでしょう。

* 「資本主義から離脱してきたデザイン」
* 「数理造形から見えてきたAtom時代の終焉 ・02」
* 「機関車の魅力=鉄道の魅力に潜むデザイン論理」
* 「初音ミクが象徴している近未来はアンドロイドなんだ!」
* 『芸術工学からコンシリエンスデザインに』


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09月19日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     9月 19th, 2017  Posted 12:00 AM

09月19日 大安(己酉)

器能とは、
実装構造を包まれた性能であり、
機能とは
実装構成での使い勝手とその性能、こ
の性能と効能が、
器能と機能を持っている。

川崎和男の発想表現手法


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