kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘壁掛け時計’


『腕時計という「祈り」の形態とその進化』


   


     11月 26th, 2017  Posted 12:00 AM

時計は人類が決定したある意味では、とても勝手な「取り決め」にすぎない。
だから、自分デザインでは、
「人間は天体の動きを見て、時刻という測定機器を創った」という、
壁掛け時計をデザインしました。
これはクーパーヒューイット美術館にて、
20世紀の「The Clock 」という称号と永久展示に「HOLA」はなりました。
もう30年前のデザインですが、今も商品になっています。
しかし、腕時計での自分デザインはまだありません。
壁掛け時計をそのまま腕時計にするというのは、
デザインとしては安易過ぎる引用に過ぎないと思っているからです。
腕時計は、それなりに高級時計から自分の遊び的なモノデザインはあります。
中国製では、ブランド盗用のソックリ時計が氾濫していますし、
その技術はとても進化してきています。
しかし、Apple Watchの登場において、最初の製品は、
基本的な電源、短時間過ぎて正直、機械式には及ばないと見てきました。
しかし、最近の進化は追い求めてみるべきことが増えてきています。
私自身、Apple Wtch第3世代を常用するようになっています。
私は指輪・ブレスレット・腕時計など、
腕や手先、指先への装身具は自分表現では、母との思い出があるからです。
それは私が美大入学し、デザイナーを目指すことになったとき、
母は私にブレスレットと指輪を買って
「男だからこそ、身に着けなさい」と言われました。
だから、指輪もブレスレットも相当に持っています。
しかし、腕時計に関しては、デザイン依頼も受けたことがありますが、
まだまだ納得出来ないことがあり、自分デザインはありません。
現在は、Apple WatchとiPhoneが私の日用品であり、
自分表現の一つになっています。
男がそのようなモノという意識や感覚は私にはありません。
むしろ、男だからこそ、ある意味では女性の装身具こそ、
極めて重要な自分表現と思って見ています。
デザイナーとして、いわゆる装身具の原点には、
大げさな言い方をすれば、「生きていることの祈り」という身体性が、
私は明確にあると思っています。
装身具である指輪・ブレスレット・腕時計に、
「祈り」という人間、その弱さを自己認識する方法だとさえ思っています。

* 『自分デザイン代表作はアプリでも展開、そして無念。』
* 『「時計」はデザイン対象、デザイン力量が試されている』
* 『ドクターウォッチ・アプリのバージョンアップ』
* 『腕に取り巻いてしまった連鎖と連動する情報時代』
* 「いっちょらい」


目次を見る

『デザインは造形美での問題解決とその進化』


   


     6月 6th, 2017  Posted 12:00 AM

デザインが大きな誤解の中に封じ込められたのは、
デザイン教育を受けても、デザイン=造形が出来なかった能力です。
そこで彼らは二つの言い逃れを準備したのです。
一つは「モノのデザインとコトのデザイン」。
もう一つはデザイン造形の才能無しを気づかれないようにと知ったかぶり。
この知ったかぶり輩や、コトのデザインを強調したデザイン評価です。
さて、私がフリーとなって取り組んできたデザインでありその代表作には、
壁掛け時計と置き時計があります。
しかし、美大時代には1960年代の、
素晴らしい造形デザインを出来るだけ知り尽くそう、それが勉強でした。
まず、楕円形はコンパスで描きだすことができます。
そしてこの楕円柱を斜めに切断したときには、必ず正円が出来ます。
この正円を見いだしたデザイナー、
その彼の造形デザイン力はモノのデザインを見事に表現していました。
したがって、この造形デザインは、
私が時計デザインの「造形性」あるいは「造形力」の目標になったのです。
この目標感は変わっていません。
したがって、デザインには進化が必須なのです。
デザインの進化とは、「造形力」そのものの発見と発明が問題解決し、
明らかに存在価値という価値性があるかどうかです。
このところ立て続けにアンケートが雑誌社から私に仕向けられました。
東芝問題、メガネデザイン問題、今生活の中で評価出来るデザイン。
ともかく今夜改めておそらく1960年代のこの置き時計この造形デザイン、
造形デザイン力こそ、
デザインが「モノのデザイン」として進化形であるデザインは重要です。
しかし、この置き時計は不易です。
そのデザイン造形・造形デザインの「美」だと私は確信しています。

* 「日本で最初のスクリプト体・恩師のデザイン」
* 『まだ私デザインHOLAは動いているしかし無情合掌』
* 『理念という思想からの発明がデザイン造形を決定する』
* 『「時計」はデザイン対象、デザイン力量が試されている』
* 「『まさか』=想定外をめざす詳細造形」


目次を見る

『ドクターウォッチ・アプリのバージョンアップ』


   


     2月 6th, 2017  Posted 12:00 AM

私は頻拍性の心臓障害を持っています。
それゆえにICD(除細動器をもう2度埋め込み)も経験しています。
ほぼ一年前にICDが作動して一旦心臓停止し、
再度心臓駆動をしていますが、ドクターから
「眠っていて一旦は心臓停止していますね」と言われました。
この心臓病は、名市大時代に推測していましたが、
阪大ではこの原因は交通被災でした。
そんなこともあり、心臓駆動、
いわゆる心拍数にはとても注意をしてきました。
そこで腕時計に心拍数計測が可能となることも考えましたが、
腕時計って私にはかなり重要なモノゆえに、
時計メーカーブランド相手は?と考え、iPhoneアプリにしました。
iPhoneアプリの開発は最初にNHKの時計アプリを見たときに、
「自分の壁掛け時計」これは20世紀の「The Clock」に、
NYのクーパーヒューイット美術館に永久展示でしたから、
まだデザイナーの誰もやっていない時計アプリを開発。
先般は「黄金比の計算機」もバージョンアップしたところです。
幸いにして研究室には防衛省キャリア予定のY女史がインターンゆえ、
iOS10に対応、再構築してもらうことができました。
私の理想は、次世代のプロダクトデザイナーは、
iPhoneアプリ=バーチャルと実際のプロダクトが在ってしかるべきです。
だから、アプリ開発もデザイナーの実務領域になるべきと考えています。
前回に比べて、画像精度も随分と明確にアップしました。
そしてこれはPKD=Peace-Keeping Designの活動資金へと考えています。
次世代デザイナーには絶対にアプリ開発とその実現は、
もはやプロダクトデザイナーの職能実務と考えています。

●Doctors Watch 使用方法

* 「除細動器埋め込み入れ替えより生還」
* 「ICDは経皮充電可能である、しかし」
* 「心電図波形が意味すること・意味されていること」
* 「私の必須道具だから・iPhoneアプリにしてみた」
* 『自分デザイン代表作はアプリでも展開、そして無念。』


目次を見る

『イスと空間、空間の質量を自在化するデザイン』


   


     9月 22nd, 2016  Posted 12:00 AM

イスや壁掛け時計一つで、
建築空間は一辺に空間の質を変えてしまいます。
さらに音響で空間の質量を自在に変更することが可能です。
工業デザイナーは、空間を建築家よりモノで自在に出来る職能です。
自分もいくつかのイスを自分デザインしてきましたが、
まだ、とても代表作にはなりませんから、大きなテーマです。
現在新素材で、これを乗り越えたい、というモノデザインをしています。
かつて、名古屋市立大学芸術工学部の新設時に、
「イス達」を集めようとなり、とんでもない費用要求にはさすがに、
名古屋市に駄目出しされました。それでも歴史的なイスは多少あります。
このスーパーレッジェーラは、シェーカー教徒のイスの影響があります。
軽量さ抜群なれど、イス性能での無謀さがありますが、
イス効能としては歴史的な名作になっています。
だから、イス機能の判断は難しいところだと思っていますが、
イスデザインは、一つのテキストであり、イスのコンテクストはあります。
名古屋時代に買い求め、シートが壊れて修理は待ちぼうけでしたが、
生き返りました。
すでに人間工学からのイス設計は終焉し、シーティングエンジニアリングが
これからのイス設計、イスデザインに進化すると判断しています。
「ジェネリックプロダクト」は駄目、まして盗作などはデザイン倫理を破壊、
これは俄然、許せません。

* 『歴史的作品からの刺激をどう受け止めるか』
* 『モダンデザイン源流を自分デザインにしてはならない!』
* 『ジェネリックプロダクトの盗用悪用が始まっている』
* 『「時計」はデザイン対象、デザイン力量が試されている』
* 『HUSATとしての「シーティングエンジニアリング」』


目次を見る

『自分デザイン代表作はアプリでも展開、そして無念。』


   


     9月 12th, 2016  Posted 12:00 AM

正直なところ、打ち合わせの連続で、
自分もやや体調すぐれずでした。
そこに美大後輩から訃報が届きました。
この歳になると突然に周囲の知人、友人が旅立ちます。
「タカタレムノス」高田博社長の突然死そして同世代。
生きることは死んで行くこと、だからそろそろ終活、
しかし、まず、「なぜ?、あの置き土産は?」が昨夜から・・・・・。
「タカタレムノス」最期に会ったのは阪大まで彼が相談に来たからでした。
「タカタレムノス」と言えば、デザイナーにとってはなんといっても、
デザイン力量を試せるクライアントになってもらえる企業でした。
その企業の立ち上げに最初に関わり、その代表作でした壁掛け時計は、
NY・クーパーヒューイット美術館で「The Clock」称号を受け、
永久展示になりました。
EIZOで商品化したFORIS.TVと同色もHOLAにはあります。
そして、バーチャルでアプリにまで展開している壁掛け時計は、
おそらく、世界でも唯一だと思います。30年前の作品です。
9/11に彼は旅立ちました。
会社からも電話を受け、急いで花を手配、電報を打ちました。
「あの置き土産、君がいないと出来ないよ」と・・・・
企業立ち上げと同様に、彼は最期の企画を自分にぶつけてくれました。
もう、残しておくことをまたも突発にも彼が自分に言ってくれるとは、
全く思ってもいませんでした。
合掌せざるをえませんが、無念至極です。

「タカタレムノス」沿革

* 『「時計」はデザイン対象、デザイン力量が試されている』
* 「iPhoneアプリ・もう一度知らせます」
* 「『まさか』=想定外をめざす詳細造形」
* 「背面に仕組む製品記号論」
* 1月11日Staff Blog


目次を見る

『「時計」はデザイン対象、デザイン力量が試されている』


   


     11月 20th, 2014  Posted 12:00 AM

時刻という人類が勝手に決めたいわば概念ですが、
この視覚的な測定器は、デザイナーにとって格好のテーマです。
しかし、デザインの力量を試されることは間違いありません。
私自身、このデザインに取り組み、その商品化は1989年頃でした。
思い起こせば、やはり30代でしたから、まだ無名だったメーカーと
懸命に取り組んでいました。今やこのメーカーは、
壁掛け時計では大きな存在になっていて、デザイナークロックも
相当に商品化されています。
時計は、あくまでも時刻の概念、その視覚的な測定器にすぎません。
視覚的な測定器ゆえに時空間をきっちりと12時間設定したモノです。
少なからず、私の時計は今も商品化=HOLAされていますし、
使っていただいているユーザーは沢山います。
そして、なんといっても20世紀を代表する時計=The Clockとして、
スミソニアンのデザインミュージアムであるクーパーヒューイットに
パーマネントコレクションされていることです。
そこで、この時計をiPhoneアプリにもすることができました。
このシリーズも商品化しましたが、まったく売れない時期もあり、
メーカーの負担も相当にあったと思いますが、
そのメーカーから、私のこの「HOLA」を超えるデザインには
まだ私は出会っていません。だから、結局自分の代表作です。
しかし、問題はすでに日本の技術は進化してきていますが、
いわゆる壁掛け時計を進化させるユニット化技術は皆無です。
私がそれなりの発言をすればいいのですが、私はこの作品でOKです。
よく、来訪者にいわれるのは、この時計が部屋の壁にはありません。
正直、自分の作品を室内には置きたくはないのです。
作品集のために、もっといい情報化の写真は必要だと思っています。
今、私が時刻の概念化と視覚化においては、
太陽暦と太陰暦二つがなんとしても欲しいと考え続けています。
そして、私は次世代にせめて壁掛け時計、その商品化チャンスを
あたえてくれるメーカーがあってほしいと願っています。

「iPhoneアプリ・もう一度知らせます」


目次を見る

「もし・・・という話題の問題解決は応答」


   


     6月 2nd, 2013  Posted 12:00 AM

「もし、時針も分針も、中心なくて浮いていたら・・・」、
どんな対象のモノに向かって、
私はいつも、「もし・・・」という話題を持つことにしています。
壁掛け時計に取り組んだ時、
もうデザイナーなら、自分の作品に時計をもって、商品化可能。
駆け出しで、ようやく作品に自分を顕在化出来だした頃から、
最初は、時計の系譜を天体に求めていました。
この時計は、リアルなモノから、アプリになって、
iPhoneに入り込みました。
(右)
その時、私は、これからのモノはアトムがビットにもできる、
そんなデザイナーが次世代デザイナーという確信を決めました。
時代は前後しますが、
新設の名古屋市立大学で大学人になったとき、
芸術工学部の壁掛け時計の選定が私の役目になりました。
私は、市販時計のカタログから、ある一点を選びました。
ところが、初代学部長は、
「そんなの求めていない。君ならもしもって時計は無いの」と、
尋ねられました。
「新規にデザイン可能ですか?」
「機構ユニットは電波で、せめて文字盤と時針ぐらいは!」
こんな話題になりました。
私は長年温めていた、時針を空に浮かせる原寸模型を作り、
話題への応答製品提案をしました。
案の上、名古屋市の担当者は怒り出しました。
ところが、学部長は、
「新しい学校には新しい時計だよ」と断言して実現になりました。
おそらく、もうこんな学部長や当時のような行政は無いでしょう。
しかし、この大学専用時刻で、時針が浮いた時計は出来ました。
それから、この「もしも・・・」という話題に、
私は自分のデザインによる問題解決は、見事な応答が、
デザインによる最適解になると言い聞かせるようになっています。
この時針・分針が中心見えずに浮いているスタイルが出来ました。
この応答作品は、市販商品となり、
やがて、大阪大学のアイデンティティ製品になりました。


目次を見る

「『まさか』=想定外をめざす詳細造形」


   


     2月 2nd, 2012  Posted 12:00 AM

詳細なデザイン造形をなんとしてもめざすこと。
私の造形の姿勢でありたいと考えてきました。
それは、ありえないことを徹底して考え抜くことです。
それこそ、言わば「想定外」。
「まさかそんなことはありえない」という表現です。
単純なことですが、そこまでは考えほしくない、
クライアントは求めていないことが多かったと思います。
それでも考えつかないことにまで、
自分を追い込むことは我が儘ですが生き方ゆえやむをえません。
「我」が、「まま」=そのままにして果てるまでです。
これは「ホイヘンス」と名辞した壁掛け時計にすぎません。
「ホイヘンス」は物理学者で「波動説」を唱えた人です。
しかし、ニュートンの存在が目立ってしまいました。
そして「振り子時計」の発明者であることも忘れられています。
だから私にはどこか親しみを感じました。
だから、「壁掛け時計」なら彼の名前を商品名にしようと考えていました。
そこで、「まさか」というのをたかだか壁掛け時計に仕込むには、
壁掛けでもあるけれど、置き時計にもなる、
そんな造形を自分に求めたのです。
それを私は「まさか」という大層なコトにまで風呂敷を広げたのです。
その造形はサイドビュー=側面表現に表すことができました。
無論、ユーザーにとってみれば、
これが「まさか」の表現だったなんてどうでもいいことなのでしょう。
そして、側面を見て選んでもらうこともないことは重々承知しています。
さらに、背面にはビス留めはまったく見えません。
私は「簡潔さ」という造形表現のポイントには、
ここまで自分を追い込んでいく姿勢が必要だと思っています。
そうして「振り子時計」である正面も
振り子とは思わせない動きを設計しました。
それが「ホイヘンス」への私なりの敬愛だと自分に言い聞かせてきました。
すでにこの商品はもう販売されていませんが、
私が「想定外」=「まさか」ということだと瞬時思い、
自分のデザインワークで想定外をめざしたのは、
この「ホイヘンス」だったと思い出したのです。
だから、きっとこれからも私が想定外をも
デザインに込める原点には
「ホイヘンス」という人物に通じていると納得しています。
彼の「波動説」は当時は、ニュートンの影に隠れてしまいましたが、
今再び、「粒子説」と「波動説」は想定内になっています。

目次を見る