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『海事関係にデザイン介在という使命』


   


     6月 1st, 2016  Posted 12:00 AM

すでに26回目となる「Ship of the Year」の
最終審査会に出席しました。
すでに日本船舶工学会にて応募から選別された
昨年度の造船すべて、客船から漁船まですべての船舶、
その審査会は、造船工学・製造から海洋、海事、港湾、漁業まで
海事関係から海洋気象、最近では環境適合性から新エネルギーの提案まで
応募企業からのプレゼンテーションを受けます。
プレゼ後には相当の専門用語で詳細な質問とその応答が飛び交います。
「Ship of the Year」は恩師が設立されていて、
自分も「関西海洋教育アライアンス」にて、
大阪府大院・神戸大院・大阪大院で「海洋デザイン論」を
教えたことや、この審査員でそれなりの知識を獲得してきました。
しかし、船長会の名誉会長や建築、海事マスコミなどで
自分自身も相当に鍛えられてきました。
恩師からは、海事関係にデザインの職能を介在させることが使命ですが、
まだまだ船舶や海事・港湾関係は「デザイン」=デコレーション意識です。
ところが、今回は大阪大院卒から「先生!」と声をかけられました。
この審査会は、最初は相当に難しくて「海洋デザイン論」講義のために、
自分なりにも熟読ノートづくりなどをしてきました。
最近では、船舶機関から漁業、さらには海洋輸送、港湾関連など
とりわけ国際的、大変な経済や国際法などとの対決が激化しています。
恩師はすでに名誉審査委員長ですから、最近の活動報告をしました。
自分の役割としては、特に、鉄道・自動車・飛行機などの空力特性から、
世界的な海洋の気象との適合性などを
質問する役割に徹しています。
「海の日」に大賞や部門賞が発表になります。
今、日本の特に造船産業・遠洋漁業は経済的問題に包囲されています。

*『本日も審査だが、日本の船舶デザインをデザイン対象に』
*『『Ship of the Year』審査委員会・日本学士院会館にて』
*『防潮堤工事は土木工学ではありえず』
*『関西海事教育アライアンス・6年目の演習課題プレゼン』
*『Ship of the Year・日本船舶海洋工業界の今後』


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「日本が貧乏になっていく、と思うのは・・・」


   


     8月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

私の移動、その大半は飛行機です。
そして、プレミアムシートでは軽食が出ます。
その軽食の種類、量、
パッケージが段々とコストダウンをしていくのを見ると、
「貧乏になっていくなー」と感じます。
敗戦後、日本は「豊かな国、国民になろう」と考えました。
結果は、貧乏だというのはお金が無いこと。
お金があれば「豊かになれる」と思ったのが、気がつくと、
それは「豊かさ」とは全く違うことがやっと分かったのでしょう。
最近は、格安航空券ブームです。
したがって、この軽食の質も格段にコストダウンをしています。
シャンパンがまずブランド品から格下げになり
スパークルワインになりました。
最も明解なのは、ファーストクラスの食事など、
「これが?」というほどになっています。
無論、それは一部のことだと言えますが、
「貧しい」ことの解釈が「豊かさの勘違い」を引きずったままだからです。
航空機会社ではファーストクラスを廃絶したところもでてきました。
世界的な傾向でしょうし、
それがスタンダードになっていくのだと思います。
私には未体験ですが、客船でも1等客室も2、3等客室でも、
食事は平等になりつつあり
それなら3等客室で十分という話を聞いたことがあります。
つまり、「貧乏」というのは、
「贅沢」との格差、その感じ方だと思います。
「贅沢さ」=「豊かさ」ではありません。
「貧乏」=お金が無いことではありません。
今、私たちに問われているのは、可処分所得の高低が貧乏さを決定したり、
贅沢・豊かさ・貧しさ、ということへの、
自分自身がどのレベルで「心」を満腹に出来るかということです。
ちなみに、「心」とは武士道では「腹」にあり、
よって、「切腹」とは、
腹の清らかさを確認する自死行為だったということです。
だから「腹づもり=心構え」こそ、
貧乏も贅沢も切り捨てた美学だと思っています。


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