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「後世への最大遺物は熟考すべきこと」


   


     7月 21st, 2011  Posted 12:00 AM

「後世への最大遺物」
内村鑑三の著作があります。
彼はキリスト教徒の一人です。
私がこの著作を読んだのは、
交通事故被災で入院していたときでした。
入院中はひたすら読書をしていましたが、
その時、最も驚愕した書籍でした。
それは、私の予測を遙かに討ち揺るがす、
ある意味では私自身への事件だったと思っています。
まさか、自分の生涯において後世に残す物の第一番目、
それが「お金」だと書かれています。
彼が後世への遺物として残すべき物のことが、
講演記録が著作になったものですが、
「なぜ」と考えさせられてしまうからです。
確かに、お金の効能はとめどなく大きいことが確実です。
今般の大震災にあっても、せめて寄付・義援金を考えました。
そして100億円を寄付した人物や、
スポーツ選手やタレントさんたちの寄付金額を知ると、
如何に自分にはそれだけの蓄えが無かったことに、
あらためて自分自身への無力さで愕然となります。
さらに職能家としてデザイナーにはとても高額な寄付、
それが不可能かを思い知らされました。
無論、だれか同業者でも高額な寄付をした人がいるでしょう。
こんな寄付すらできない自分を情けなく思っています。
誰もが「お金」の効能は間違いなくあることは知っています。
内村鑑三もこのことを最大遺物として述べていますが、
それ以外にも最大遺物が何であるべきかを決定しています。
それでも私なりに、今般本当にわずかな寄付をしましたが、
ただしそれが政府系に渡った途端に、
それは被災地に届いていなかったことには怒りを覚えます。
現政権の無能力さを書きとどめておかなければなりません。
以後、それなりに出来るだけの寄付をと考えています。
そして、それは直接、被災地の県、市町村宛が確実です。
人生において自分の最大遺物をどうするべきかを、
私もそろそろ準備をしなければなりません。
この著作には、当時は評論家と言われた人の名前があります。
しかし、今となってはそうした評論家の言説も名前も不明。
著作にも彼らの名前すら歴史には残らないと書かれています。
是非とも、一読をすすめます。
生涯において何を残すべきなのかというのは大きな問題です。
父は私に「美田残さず」と言い続けていました。

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