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『資本主義からの逃走』
  「情報としてのトポロジー・トポロジーとしての情報・2」


   


     9月 26th, 2010  Posted 12:00 AM

トポロジーへの興味と近接
数学術語「トポロジー」は当然、数学領域の学論です。
この術語の定義を知り尽くすのは、数学者ならばきっといとも簡単だったはずです。
ところが、術語の概念がひとり歩きはじめたがゆえに、
決して、通常の学校教科書では、レトリック的な図形で表現されてきました。
しかも、「トポロジー」という言葉の持つ響きや耳障りの良さは、
様々な領域で、概念そのものを拡張してきたのだと思います。
私が知ったのは、建築評論や記号学的なレトリックでした。
よって、数学定義らしきものに興味をいだき近づくまでは、
私自身の数学的な発想が、図形、場、空間、形態、形体などを考える一つの動機でした。
そして、まともに知りたいと考え出したのは、
光造形システムが登場した1985年あたりからだったと思います。
UNIXがEWSを制御し始めて、シリコングラフィックスのIRIS3030を米国で買い求めた時に、
「トポロジー形体」である「トーラス」や「メビウスリング」を
まだまだ試行錯誤しているカナダのALIAS社に、
特別に個人教授でCGを学びに二夏も通った頃でした。
この話は以前ここで紹介したことがあります。
まず、私は「トポロジー形体」と表記しました。形態ではありません。
なぜなら、「トーラス」いわゆるドーナツ形状は丸い筒がまた円形立体化している形体だからです。
さらに、「メビウスリング」も、リボンの端と端がねじ曲がって繋がっている形状ですから、
これもリボンが一度捻られた形体です。
トポロジーと情報との相関と分別
ところが、問題は、
これらは厳密には数学定義化されている「トポロジーのようなモノ」=「トポロジー的な印象を
比喩したモノ」に過ぎないわけです。 現実界に存在はしていない形体です。
つまり、数学的な空間論の問題をなんとか可視化しただけのモノでした。
当時、光造形で作成された歯車を見たとき、ALIAS社とプリンストン大学との産学協同開発は、
数学的な空間論、二つのことをテーマにしていました。
「Natural Phenomena」と「Topological Form & Space」のdescription languageの開発でした。
これは後に詳説したいと思っています。
私が直感したのは、
トポロジーという数学的思考を情報化することは、とてつもなく数学の専門家でなければならず、
そこでの「トポロジーとしての情報」はほとんど理解不可能な領域になるだろうということでした。
しかし、もう一方では、「情報としてのトポロジー」は、
それこそ、「コーヒーカップとドーナツ」が同一形態であるという視覚化で、
なんとなく、これぞトポロジーと言って理解されてしまうだろうということでした。
トポロジー・言葉と知識へ近づけるだろうか
現在も、「トポロジー」という言葉周辺は、
数学で語られる「トポロジーとしての情報」と
哲学で語られる「情報としてのトポロジー」が共存しています。
著作名を例示すれば、前者は「Essential Toporogy」という数学書であり、
後者は「Heidegger’s Topology」という哲学的な解説書になっているようなことです。
これは、トポロジーという言葉あるいはテーマを挟んだ思考論理です。
そこで、私は、トポロジー形体をトポロジー形態化を、
本当に「可視化」する手法として、
光造形システム、現在、産業界において存分に利用できうるラピッドプロトタイピングでした。
明らかに、図形で可視化させようとした数学的な情報化を造形できるだろうか、
これが、トポロジーを自分が理解するための近づき方でした。


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