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Posts Tagged ‘形と性能’


「自動車デザインはもっとビジネスジェット機から学ぶべきだ」


   


     1月 9th, 2013  Posted 12:00 AM

今回、自動車技術系の論文作成では、
ビジネスジェット機を一番参考にしました。
LEARJET社の60XRは、最も欲しいモノの一つです。
1400万ドルで、飛行機では最高高度を飛びます。
スイスのジェット戦闘機 ・P16をモデルに開発されてきたものです。
この企業の創立者は、モトローラの車載ラジオメーカーから、
ビジネスジェット企業になりました。
空力特性や、燃料タンク、電子回路のコードマネージメントなどを、
特に、カーデザイナー諸君には学んで欲しいと思っています。
私は大学人になって、カーデザイナー志望者には、
「自動車は飛ばない」と、よく話をしてきたものです。
車、新車やアンティーク車情報は蔓延していますが、
ビジネスジェットやヘリコプター、クルーザーの情報は
ほとんどみかけません。
ビジネスジェットのフェールセーフデザインからインテリアデザインに、
プロダクトデザイナーは詳しく成って欲しいと思っています。
自分が購入は出来ないから、興味をもたないというのは、
プロフェッショナルとしての怠慢です。
今回の依頼論文テーマは、「形と性能」でした。
記号論・脱構築で、電気自動車の設計手法をまとめましたが、
私のイメージの中には、このジェット機がありました。
カーデザイナーになっている教え子もいます。
その中の何人かは、すべて、欧州で企業留学しています。
彼らに最も届けたいのは、
ビジネスジェット、高速ヘリコプター、潜水艦などへの興味を
もっともっと高めてほしいのです。
自動車はすぐに交通事故を起こしてしまう乗物から開放されていません。
ジェットエンジン自体、
これからはもっともっとエネルギー開発が大変革されるでしょう。
社会インフラで、スマート・シティやスマート・グリッドになれば、
自動運転、自動走行、情報機器性能が進歩するはずです。
となれば、自動車業界内部だけの技術進化はまったくノロマなものです。
イメージを空中高く、飛ばしきってほしいと思います。
このジェットはもちろん、戦闘機も持っていたいモノです。


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「記号論は脱構築に向かっていった『かたち論』」


   


     1月 8th, 2013  Posted 12:00 AM

元旦に書き上げた論文受領のメール。
やっとホッとしました。
そして、絶対に明日までにもう一本の論文作成中です。
自動車技術系論文誌からの依頼論文です。
テーマは「形と性能」です。
私の骨子は、このテーマを受けた時、
直感的に「かたち論」が思いつきました。
記号論はソシュールが90年前に提唱しましたが、
講義録しか残っていません。
最近、この講義録の正当性が最近認定されました。
ソシュールは、ラング(辞書内言語)とパロール(会話言語)によって、
言語の記号性を論理化し、やがて「記号論」になっていきました。
私は、工業社会が終焉し、
情報時代には商品は記号となっているという論説を確信しています。
したがって、自動車もガソリン車から電気自動車になっていく進化には、
確実な論理背景が必要だと考えてきました。
まさにそこには、
ジャック・デリダのエクリチュール(記述言語)が
記号論に入り込むことで、
レトリックな構造が生まれ、
常にその記号化された表現と内容は書き換えられることが歴史になります。
書き換えられるということ、
それは、破壊され、内容の変革が起こるということです。
ダリダは、これを「脱構築」と呼びました。
自動車はガソリン車から電気自動車にその性能が変革しつつあります。
それは、走行性能だけでは無くて、
自動車が情報機器、情報メディアと情報ツールになるということです。
エネルギーの供給も、ガソリンスタンドでは無くて、
急速充電基地になるでしょう。
スマート・グリッドやスマート・シティというインフラが整えば、
GPS制御による自動運転はもとより、
車輪で走行する機能は、もっと進化するはずです。
走るというより、飛び交い、浮かぶ物体になるでしょう。
明らかに、工業社会で進歩してきた自動車は、
情報社会で、「脱構築」が具現化するという予測が可能です。
その時、走行性が主性能であったがゆえ、
その速度感あるカースタイリングも脱構築されるでしょう。
それは、造形言語で「形」設計と、
形態言語で「性能」設計という手法を
デザイン自らが脱構築していくと予知しているのです。


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「デザイン成果としての『かたち論』は生涯論考するだろう」


   


     1月 7th, 2013  Posted 12:00 AM

私の学生時代は、「デザイン理論」の著作は数少ないものでした。
したがって、私はほとんどデザイン論理を成立させるために、
可能な限りの建築論を読みあさりました。
建築論文募集にも応募していました。
落選ばかりしていました。
そして出逢うのが、建築家・菊竹清訓の「代謝建築論」と、
「機能主義理論の系譜」は一つのバイブルでした。
特に、「代謝建築論」の「か・かた・かたち」論は、
今なおその論考を私なりに深度をもたせるべく展開を試みています。
「か・かた・たち・ち・かち・かたちは、いのち・きもち」、
さらには、「つち・とち・まち」にまで至りました。
そして、現在執筆中の「形と性能」についても、
「かたち」と「性能」を一旦分離すれば、
自ずと「か・かた・かたち」論の展開が可能です。
か=化、ち=値、かた=型、たち=質とすれば、
か+たち=化+質は、工業化によって性質を与えますから、
そのまま、化質とは工業化された性質が「性能」となります。
「性能」は使用価値性の根幹になるでしょう。
もう一方では、
かた+ち=型+値は、意匠化によって形態を与えて、
単純には嗜好的な価値観、すなわち所有価値観を訴求することができます。
私は、
「機能美」や「美しい形態は機能に従う」を率直には認めていません。
それは、自分自身のデザイン、とりわけ形態の美を目標とするとき、
必ずしも機能主義と美学性が統合されるから、
美の創出が出来るというわけでは無いという経験があるからです。
今、こうしてこのBLOGで、メモ記述しているのは、
論文作成の構成・プロットづくりを図解から求めようとしているからです。
私は、「デザインとは何か」という問いかけでは、
デザインの定義性が曖昧になって、
即、機能的デザインとか機能美にデザインが、
結合・融合・統合されることにすこぶる抵抗があります。
むしろ、まず、技術仕様による性能があり、
そのデザイン成果が社会的な存在性に効能が生まれます。
そして、性能と効能が統合されるときに
機能を宿らせることができるというのが経験値です。
「化質」こそ、性能となり、「型値」こそ、形態。
「化質」=かたち、「型値」=かたちに、
「形と性能」の構造(関係)が記号化するという思考に至っています。


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「今年2本目論文仮説の図解紹介」


   


     1月 6th, 2013  Posted 12:00 AM

東大経由で、自動車技術系論文誌からの依頼論文。
今年最初に提出予定です。
まだ、作成途中ですが、
私は論考全体の概要はいつも図解表現をしてしまいます。
与えられたテーマは、「形と性能」です。
そして、デザイナーにその考察を求められているわけですから、
当然、「形」デザインから「性能」を、という依頼意図はみえています。
私自身は、カーデザインを自分の作品として持っていません。
が、カーデザイナーは教育し、
自動車企業には教え子がデザイナーになってます。
ヨーロッパに企業留学している連中もいます。
無論、車は趣味の対象ですから、
これまで、「男の子として」それなりの車は所有し使用してきました。
運転手がいてくれた時期もあります。
ロングリムジンからスポーツカーまで10数台は乗ってきました。
現在はベンツ550SL、一台だけになりました。
ワイフと二人だけの外出用です。
さて、この論文の思考下敷きは「製品記号論」ですが、
最も強調しておきたいのは、ガソリン車からハイブリッド車、
そして、電気自動車へと車両動力系がまったく変わってしまいましたから、
基本的な性能は、空力特性や走行・運転・収納などは当然ですが、
情報社会において車は、情報機器・情報装置に変身しています。
さらに、デザイン対象としては、
か+たち=化+質とかた+ち=型+値という漢字語句から読みとる、
性能・機能・効能と関係、
すなわち、構造論も重大だと思っています。
したがって、
多分、図解などや資料まとめで一挙に書き上げようと思っています。
今年の仕事始めは、論文や編集、「ことば」からスタートしています。


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