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「心電図波形が意味すること・意味されていること」


   


     12月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

「心電図」、その波形は私の命のシンボルです。
この映像は、私の正常な心電図波形です。
2006年、金沢21世紀美術館での個展時に、
高さ12mのシンボルに投影展示もしました。
「心臓障害者」にもなっている私は、
「頻拍症」を抱えています。
それは、心拍数が万一、88を超えたなら、
ICD(植込み型除細動器)が、いわゆる電気ショックを心臓に与えて、
一旦停止させて、また正常心拍数にもどることになっています。
45歳になったときに、頻拍が発生し、
これが心臓発作なのかというほどつらい経験をしました。
ただ私は心拍数が180を超えて、さらに心房細動になる寸前に、
ほぼ点滴によって正常に戻るために気を失ったことはありません。
むしろ、頻拍を押さえる薬が強すぎて、
今度は徐脈=心拍数が38程度になり失神する寸前になったことはあります。
心拍数は医学的に、p/q/r/s/tという点が決められています。
波形の終わりであるs/t間が、私には問題がありますから、
入院していても、この部位が気になります。
定期検診で心電図を撮った時も、私はこの部位に注目しています。
かつて、
心臓に欠陥が見つかったとき、それ以前に撮った心電図波形を見て、
ドクターはこう言いました。
「私が見ていたら、
そのときに発見して今日のような病態にはしなかったでしょう」と。
こうした経験があったから、よくドクターに質問しますが、
いわゆる循環系で心臓の専門医は、
この波形を見ただけでも、心臓のかたちまで想像がつくと言われています。
医学の世界では、
読影と呼ばれるレントゲンやCTやMRIの医療画像を見ただけで、
病態を読み取れる、読み取れないドクターがいることは確かなことです。
しかし、所詮は人間ですから、
もっと明白な読影技術は機器に代行させる必要があります。
私は、この領域にこそ、
「パターン認識」として
デザイナーの大きな役割になっていると判断しています。
最近は、デザイナーでも医療系とデザインをめざす世代が出てきましたが、
医療系、医学系のパターンの意味することと意味されていることを
デザイン教育にどう持ち込むべきかは、
今後、私のミッションの一つになるものと考えています。


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「電池切れ、まるでウルトラマン」


   


     8月 25th, 2011  Posted 1:11 AM

ショックです。
予測していたことです。
しかし、告げられると改めてビックリ。
もうそんな時期が来たなんてということです。
私は2006年に心臓障害の手術をしました。
「ICD ・Implantable Cardioverter Defibrillator」
「埋め込み型除細動器」を埋め込みました。
これは心臓障害者を解放した医療機器です。

最近街角に設置され、
一般化してきたAED=Automated External Defibrillatorがあります。
これは「自動体外除細動器」といわれているものです。
プロサッカー選手が、もしこれがあったなら、という話題がありました。
私もこれがあったら、ひょっとすればと思っていることです。
つまり、除細動器とは、
頻拍といって心臓の脈拍が異常に速く鼓動、心房細動を起こしたり、
徐脈といって、心臓鼓動が40以下で遅くなって失神しそうな時に、
電気ショックを与える医療機器です。
私の場合は頻拍性のある心臓障害者1級なので、
これを体内、右胸鎖骨下に埋め込んでいます。
阪大の初出勤はヘリコプターで名古屋での心臓発作から、
名古屋市立大学病院からこの手術のために搬送されて手術を受けました。
右胸鎖骨下を切開して、これを埋め込みました。
麻酔注射を数本打たれますが、2本程度でいいと言って切開されましたが、
とても痛くて、それでも我慢してまた2本ほど打たれ、
それから電気作動ショックテストで、あの世に逝って生還してきました。
手術後、看護師さんやみんなに「痛かったでしょう」と言われました。
が、私は「この程度が痛いなんて言ったら、
特攻隊の人たちに申し訳ない」と見栄をはりました。
我慢して病室に戻ってワイフの顔を見て、
本当は「痛いよーー」って叫んで泣きました。
すでに急速充電リチウム電池が開発されています。
体外からの充電可能なはずですが、
日本ではペースメーカー同様にこうした医療機器開発商品化は不可能です。
それでも米国メーカーには申し入れをしてきました。
コスト的にも輸入しているから軽自動車8台分ですが、
国内生産すればもっとコストダウン可能です。
子供たちも最近では埋め込めるようになってきていますから、
手術することなく体外から充電必要に絶対にするべきです。
こうした商品開発こそ日本がやるべきですが、
様々な国際問題から日本の厚生行政問題があります。
立ち向かっていくべきテーマだと考えています。
近々、入院・手術です。
この際まだ残っている手術もということは絶対拒もうと思っています。
埋め込み手術をしてもらったドクターはミラノに留学中です。
ところがなんと今度の主治医は
学位論文作成時にFn-Channe質問をさせていただいた一人です。
そのドクターが教員になって阪大に戻ってこられていました。
これも縁かもしれませんから、楽しみと言いたいところですが、
入院・手術は、人生、誰でも一番避けたいことです。
アメリカンバウチャーだと
手術跡が残りませんから今度もそうなるのかとか、
一方では期待が膨らみます。
ただ私はこうした手術の度に何か啓示を受けると感じています。
きっとあらたなデザインテーマがもらえるかもしれません。
絶対に「痛い」なんて、
言わない、泣かない、叫ばないと言い聞かせています。
当然ながらやがては電池交換のために新規機種埋め込みは想定内でしたが、
今日明確に告知されると、
これまで電気ショックは未体験ですが、ショックが作動しました。
私はウルトラマンだから「電池切れ」になってきつつあるのでしょうか。
「シュワッチ!」=ちょっと電源を入れにもどらねばということです。


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