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『資本主義からの逃走』
   「情報イコール空間には虚構がある。」


   


     10月 31st, 2010  Posted 12:00 AM

情報空間の虚構性
「情報と空間」はひょっとすれば、
同値あるいは同位かもしれないと私は陳述してしまいました。
これは思いつき、あるいは白日夢だと切り捨てられて当然でしょう。
情報を成立させている要素・要因は、そのまま空間の要素・要因であるわけがないのです。
しかし、私たちの存在・関係・構造をあるパラメーターで、
情報性と空間性の中にいる私たち自身を、その存在、その関係、その構造に配置してみれば、
結局は「生きている現実」を実感し、
さらにはそれぞれの直観をそれぞれが照合し合って、
何らかの確認をしているものと考えることができます。
情報の中にいる私は、真実、私であってほしいはずです。
空間の中にいる私も、真実、私であってほしいのです。
ところが、情報と空間の成立は決して私を私ならしめてくれないのが現状、現実です。
となれば、私は、情報に疑念をもち、空間に懸念をひきずっています。
こうした情報・空間への疑念・懸念を抹消して生きていかなければならないことを、
私は「虚構」と考えておくべきだと決意しています。
はからずも、私はデザイナーという表現職能者です。
幸い、自分がデザインしたモノに「虚構性」は皆無だと考えています。
皆無のはずだという自信と確信が、私自身、デザイナーという生のアイデンティティだからです。
けれどもやはり、私を取り巻いている情報・空間の中で、
私自身の存在さえ「虚構」ではないかとしばしば考えます。
情報空間のブラックホール
特に、車イスでの「日常空間」「生活空間」などは、「虚構」であってほしいのです。
私が私自身への観察をそのまま他者に向けたとき、
ほとんど完全に「虚構」と「現実」が分別できない人々の情勢やその多勢さにたちつくします。
今、私が最も虚構としか思えない社会情勢に翻弄されているのは、
わが国の政治であり経済だと断言しておきます。
政治家という職能、経営者という職能に虚構を発見することしばしばです。
政治空間・経済空間・政治情報・経済情報、すべからく「虚構」です。
私が「虚構」と呼んでいるのは、「小説的情勢」ではありません。
情報空間にブラックホールのような虚構、虚構空間があり、そこに不在非在な人間の話です。
情報=空間には虚構が確実に潜み在るということです。


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