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『論理性と感性の対称性の破れ=パリティ崩壊』


   


     12月 11th, 2015  Posted 12:00 AM

一般的には、「論理性」と「感性」の対比あるいは対称性が、
人間の能力を分化していると考えられています。
つまり、論理性がある人間能力と、
感性能力のある人間を対称的にとらえることは長い間、
対称性よりも対照的に議論と考察されてきました。
たとえば論理性と感性とはお互いに人間の知性そのものを分断する、
このように考えられてきたときに、明快な解答を与えたのは
カントでした。
もっと簡単に言うと、論理性があればあるほど、
感性力の低下が起こります。
これは同様に感性があればあるほど論理性が欠如することも同次元です。
そこで、デザイン思考なる考え方があたかもこの対照性を破壊する手法、
このブームを生み出しました。
これはブームにすぎません。
だから私は、論理性のある人間も、感性のある人間も、
論理性があればあるほど、感性に近づき、
感性があればあるほど、論理性に近づくという手法が大事という、
これこそ「コンシリエンスデザイン」手法ということを
主張しています。
端的に言えば、感性と論理性の間にある完全円形は、
感性と論理性の対称性に対して、破れの現象を起こすと言ってきました。
もっと難しい表現をすると「パリティ崩壊」を起こさせる
感性軸と論理性軸が向かい合っているからこそ、
感性を論理性との対称軸に、論理性を感性の対称軸に置くことで、
感性が磨かれれば、磨かれるほど、論理性を失わせないこと。
論理性があればあるほど、感性を失わせないこと。
この両面、この対称性に決して「破れ」や「崩壊」を起こさせない、
この両対称性の軸からのパリティ性をより高度にしていくことが大事という
この教育こそ創造性での論理性と感性をより高度にしていく、
すなわち「コンシリエンス」な統合性の問題としてきました。
だからこそ、「コンシリエンス」を確約させれば、
「レジリエンス」=ストレスや敗北感以上に、
状況には決して負けない自己認識力の拡充さを創りあげると
主張してきたのです。
これこそ、論理的な思考に対して、感性、もっと端的には
直感が重要であると看破したカントの哲学的な提唱でした。
「直感なき概念は空虚であり、概念なき直感は盲目である」。
私は、この考え方こそ、
デザイン思考ではなくて「コンシリエンスデザイン」と呼んでいるのです。


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