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Posts Tagged ‘所有欲’


『リムジンはただ乗って使用してるのに所有している』


   


     9月 15th, 2017  Posted 12:00 AM

車は所有欲と使用欲が見事に3通りある製品です。
所有すること=持っていたい車、使用する車=車なら
ともかく移動手段で十分、所有もするし使用もすること。
車遍歴は、所有することが個人史になる対象物です。
そういう意味では、おそらくリムジンを所有する人は僅かだと思います。
名古屋時代、私に九州のある女性オーナーから仕事の依頼がありました。
初対面でいきなり言われたのが
「川崎さん、奥歯は大丈夫ですか?」
「えぇ!」
「すごく懸命に仕事をする人は、大抵、奥歯がやられて抜けるんですよ、
プロの野球選手ほど、そういう人多いですから」
私の奥歯は虫歯もあり、どうしたものか、と考えていたのです。
彼女は、病院、歯科医院、介護施設などの経営者でした。
「私が依頼する仕事と同時に私が経営する歯科医院はとてもいいですから」
とのことで、奥歯のインプラントなどをすることになりました。
そんな会話をしている中で、東京にほとんど車移動がかなり辛いこと、
そうしたら誕生日も聞かれたのです。
ある日、彼女から突然電話があり、
「誕生プレゼントを大阪港まで運んだから、
リムジンを運転できる人を寄越しなさい。
遠出するリムジンはもう使わないし、リムジンはもう一台あるから、
一台誕生日プレゼントするね」、と、
思いもつかないリムジンが私の元に来たのです。
キャデラックのリムジンは、眠れるように、改造もされていたのです。
実際私は運転できません。スタッフの一人が車にも詳しく、
運転もすぐにマスターしてくれました。
丁度、私はGマークの総合審査委員長でしたから、
東京-名古屋は深夜にも眠って往復しました。
それは使用しているのですが、所有もしているわけです。
ともかく、ワイフが嫌がったのは、車が停止すれば、
必ず、その車から誰が出てくるのだろうと見詰められることでした。
私はこの車を使用しているにも関わらず所有感を満たしてくれるのでした。
ただ流石に大阪大学の教官としてでは使わないので手放しました。
しかし、車への自分の欲望をしっかりと見詰め直すことが出来ました。
工業デザインを教える立場として、カーデザイナーをめざす教え子には、
全てを修士課程で学ばせて車メーカーから企業留学を全員させました。

* 『日本で商品展開が不可能だったカーデザイン』
* 『「福祉車両」とは決して言ってはいけない車』
* 『白い歯のためには徹底的なメインテナンスが要る』
* 「U4(UFO)だった、わが研究室」
* 『大学キャンパスで3番目になった私の研究棟看板』


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『今のコンパクトカメラはこの三台』


   


     9月 25th, 2015  Posted 12:00 AM

スマホの普及で本当に写真が多くなりました。
私はこのブログや資料には、カメラを使います。
そのため、どうしてもカメラの新商品には、
心惹かれてしまって、所有欲が出てしまいますから、
とりあえずコンパクトカメラは今のところはこの三台にしています。
無論この三台を撮っているカメラはもっと高性能なモノを使っています。
ブログのためには大急ぎで撮ることが多いために、
失敗だ、と思っても仕方なくブログアップしてしまいます。
さて、この3台にしているのは理由があります。
所詮、これらのカメラ内部回路実装はすべて日本製ですが、
ライカ(パナソニック)とハッセルブラッド(ソニー)では、
レンズ部分や、デザインでの改善を明らかに確認することができます。
こうしたコンパクトカメラは「ブログ」用として、
結局はメモ用です。
それなら、iPhoneやGoProでも十分な時代になっていると思いますが、
これまでの銀塩カメラとの大きな違いはデジタル性の使い心地です。
デジタル性での瞬間的なシャッターチャンスというのは、
光源の使い方で明確に、絞り優先あるいはシャッタースピード優先、
この使い心地はこれまでの銀塩カメラを大きく変えたと思います。
しかし、ブログ用には構えて撮影なんていうのは3~4ヶ月に一度です。
コンパクトカメラで最も確実なことは、
テキスタイルや表面質感の表現が的確になってきたことです。
そして、銀塩カメラでは作品写真撮りのために、
それこそプロのカメラマンの人たちの特に、光源と陰影、テクスチャを
最も学んできたのは、花の写真でした。
そこで、最近は何でもデジタルアッサンブラージュ表現には
もっと、自分自身が鍛えられるべきことがあると思っています。
おそらく、空、波、花、水が基本で、
その次が、テクスチャであって、そこから私の専門分野である、
モノ撮りが大事だと思っています。
私がモノ撮りでは、自分のデザインしたメガネの写真を撮り比べれば、
コンパクトカメラの性能と自分のシャッターチャンスの関係が
明確に解るのではないかとさえ思っています。


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『ウォッチよりも妖怪メダルに意味がある、と思う』


   


     8月 31st, 2014  Posted 12:00 AM

私がマーッケティングに興味をもったことがありました。
大衆に対して少衆・小衆・分衆というターゲットゾーンの設定でした。
それ以後、この論文に勝っているものに出会ったことがなくて、
デザインワークではマーッケティングは、
全く不必要、不要なものだと断定しています。
今も日本の子どもたちに強烈な所有欲を発信しているモノ、
そのモノをまず手に入れないと、全容が自分の物にならないコト。
それは妖怪ウォッチと妖怪メダル群です。
これが話題になったとき、小衆である子ども達は分衆化されて、
少衆であるにも関わらず大衆であるべき大人たちは動かされました。
少衆が趣味という「自分に無いモノコト」に気づいたわけです。
いつの時代にも子どもの流行が時代風潮を社会現象にしています。
私の時代毎にもあり、それ以後もありましたがこれは別次元。
ネットワークと3Dゲームが発端で、メディアミックスは、
漫画につながっており、ウッォチという形態だけを引用して、
肝心なのはメダルでした。妖怪は10もあり、物語りゲーム性には
これとの一体感こそ子どもたちには彼らの欲望装置環境なのです。
これを手に入れる困難さ、それをオークション高額で手に入れる、
それではモノとコトの形式には踏み込めないはずですから、
私は正当に手に入れてみました。
ゲーム・キャラクター・ネットワーク・3D表現・物語り・趣味性、
それこそ、あのビルゲーツが、ネットでゲームはありえない発言は、
大間違いであり、その感覚ではPCは時代性零は当然です。
やがて、時代の必ず置き忘れにいたるメダルと、
あまりにも単純な働きしかないウォッチ形式形態を、
私はどれだけのデザイナー・クリエーターたちはじめ、
しいては経営者にはおそらく理解不明でしょう。
感性の大問題があるのですから。
「ソウジャナイヨ〜」とメダル設定を間違うとウォッチは絶叫です。
妖怪は10人?、少年探偵団は私の世代にもありましたが、
今ではネットワークにあって、大衆は小衆の子どもたちの
この所有欲をしっかりと読み取るべきと書き残しておきます。
ワイフの親友から、「うちの子とお揃い」とか、
孫と同じモノを持ってとか私は言われますが、
この奥の深さこそ重大だと言っておきます。

「ブライスというたかが人形に、されどの本質」
「人形・ワイフのコレクションにみる『ブランド価値』」
「キティちゃんにて確認できる『安全と安心』」


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「資本主義からの逃走」
  「企業の同一性は商材の差別化にあらず」


   


     2月 21st, 2011  Posted 12:00 AM

商材の差別化という常套性
企業の商材である商品には特徴と特長が必要。
その商品とはモノ=物質等やコト=サービス等です。
そして、その商材を経営対象としている企業は、
当然、商材の特徴と特長を「差別化」すると言います。
この言い方・表現はすでに常識的な企業内会話です。
そして、この「差別化」のためにデザインが利用されています。
しかし、商品特徴や商品特長を「差別化」することは、デザインの本質ではありません。
むしろ、商品の差別化というのは、購買者を差別化することになっています。
人間の暴力性は「無知」と「差別」であり商品の差別化とは暴力性だということも可能です。
その購買者向けへの特質=(特徴と特長)、
そのものの差異性や差異性をモノ・コトに語らせようということにはつながっていません。
おそらく、購買という欲望は、マルクス的には所有欲と使用欲に他なりませんが、
現代、この構図はまったく変貌しています。
欲望の刺激装置
労働対価内での購買行動からは外れているということです。
それは、本来なら労働対価による可処分所得内での「買う」という構図が変質したことです。
それは、労働対価を信託化=クレジット化できる金融構造があり、
人々の購買欲望が操作されているということです。
しかも、この操作は広告や広報というこれにもデザインは見事に荷担している情報操作であり、
この欲望の刺激装置化に「差別化」が仕込まれているということです。
しかし、デザインは「差別化」を創出する機構ではありません。
デザインが企業・商材・商品に装置化するのは「同一性」です。
企業存在を具現化している商材とその商材環境の同一性を、
すべからく確認を購買者に訴求することということで、同一性と差別性はまったく異次元であり、
ことばの体系下においても論理性を欠いていることを記しておきます。


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