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Posts Tagged ‘文脈性’


『私自身のトーチ・デザイン審査基準は5項目でした。』


   


     3月 23rd, 2019  Posted 12:00 AM

1次審査の結果が入りました。
私が期待した一案もかろうじて入っていました。
それぞれの専門家からなる審査員団の一人として、
「デザインが問題解決である」とは、
一般的には伝わっていないのだとも実感しました。
私は、デザインの5つの基本、
もしくは基準となる構成と構造に着目していました。
 ● 日本らしさというシンボル性の形態への表現性
 ● 先端技術の応用による日本独特性=押し出し成形への確かな知識
 ● 新しい製造手法とトータルな適合性=成形後の光の実装性
 ● モノとコトが「復興」でつながる文脈性=コトづくりに一致
 ● 世界に誇れる機能・性能・効能を具現化する想像力の創造性
もっとも大事な「創造性」は、
問題解決となる解答を必ずや導き実現する力です。
2次審査に必要となるトーチとしての様々な条件検証は、
技術の専門家中心に実証現場での確認そして私はビデオで確証し、
さぞかし大変なチーム努力だったろうと応募チームに敬服しました。
この審査会の専門家はボランティアでした。
これまでの知識と経験から国家的なプロジェクトの一翼を担い、
東京2020の成功を日本の未来につなげたいと承諾されたのだと思います。
私も苦手な午前中から、長時間連日の審査会を乗り切りました。
私はシンボルマークのバッジが欲しかったのです(笑)。
実際、国際的な市場でのモノづくりの現場にいるデザイナーとして、
万一、聞かれたらなら明言できるだけのの自負がありますから、
その実践からの「論理」をもってのぞみました。
結果、英知を結集し議論を尽くした審査が終了しました。
オリンピック・パラリンピック開催の前には
日本中で、20000本のトーチが、走り巡ります。


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『オリンピック・パラリンピックでの「トーチ」審査会』


   


     3月 21st, 2019  Posted 12:00 AM

東京での二度目のオリンピック・パラリンピックです。
しかし、これまでデザインに関わる国立競技場の取りやめから、
シンボルマークとその選出については嫌なスタートとなっていました。
世界基準に立つべきで、大衆選考による迎合的判断は残念です。
単なる経済的あるいは効率的な視点や損得勘定を超えた
審美眼と良識をもって、何よりも災害復興と
日本の未来を見据えた英断が重ねられるべきだと期待し望みました。
かつて、父が東京のオリンピックをTVで見て、
私に向かって「二度と日本では見られないだろう」と言っていました。
幸い、私は東京でのオリンピック、その「トーチ」の審査をしました。
4月に第1次審査、7月に第2次審査と開催され、委員会とも話会いました。
デザイン、燃料機構や環境と細かな点数配分による審査でしたが、
「解答」はすぐに私は見つけていました。
問題解決ができていないことや、文脈性の読み違い、あるいは
マンガで、造形デザインは決して出来ないことを証明し、
人間工学が根本的に間違っている。
さらには、縄文も弥生も無知な発想など
デザイナーの今時の風潮も知りました。
もちろん時間と能力をかけた提案とプレゼンテーションに立合い、
敬意を払い、その一字一句をくみ取ろうとしました。
審査会はデザイナーのみならず、
アスリートや各技術専門家等の構成からなるため、
重点の置き場所は異なりますから、実際やはり白熱の審査会でした。
ただ、デザインに重きをおいた審査委員たちは、必死にその審美眼を信じ、
レガシーとなる世界基準のトーチを選ぼうとその結果を導きました。


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『群青色とフェルメールブルー』


   


     11月 21st, 2018  Posted 12:00 AM

青色は、鉱山の色であり、
光が海洋の色と空の色を決めています。
青色への私の偏愛は、時に暴走する情熱をわきたてるように
身につけるスーツや靴、鞄にpcケース、
文具類に青色を選んでしまうのです。
ラピスラズリの白文・文朱の篆刻印も中国で手に入れました。
鉱山石のラピスラズリは特別の色です。
日本では瑠璃や群青と言われていました。
欧州では、画家のフェメールはたった35点に
この鉱山の青を使っていました。
貴重な鉱石を原材料としている特別な青です。
江戸時代には加賀藩が、成巽閣では群青の間を
「もてなし」の空間にしたのです。
おそらく、青や群青などは当時はとても難しかったのです。
さて、フェルメールの代表作では、
この青色は光との彼の腕前でとても貴重な遺産になっています。
その青色と光の陰影に魅了されます。
計算された構図と表現は、
フェルメールブルーでその印象を決定づけているのです。
それこそ、加賀藩の群青と金箔の印象深いのに北陸新幹線は、
大きな間違いでした。
金箔はラインとして流すのでは無くその文脈性を重んじて、
囲みでの表現、窓の周りの装飾に使われることが相応しいと
私は思っています。
誰も北陸新幹線のこの群青には何も言わなかったでしょうか。
成巽閣のもてなしの間=群青の空間から、
私はFORIS.TVでその青色を本体のメインカラーとして使いました。
それこそ群青色などは売れる訳がないと言われましたが、
加賀藩の決定的な群青はブランドイメージとして伝わり大ヒットしました。
天空の破片と言われる金とも並ぶ価値を持っていたラピスラズリ、
成巽閣の群青、瑠璃色、ウルトラマリン、
そしてフェルメールブルーその圧倒的な青色の存在感、
メッセージ性をまだまだ研究しつくしてはいません。


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