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『芸術・美術とデザインは異なります』


   


     5月 2nd, 2022  Posted 9:50 PM

私のふるさとの福井県立美術館から
「やっと」収蔵が決定したのです。
ふるさとに作品が残るこの手続きは随分かかりました。
が、ワイフが賢明にやってくれました。
これまでのデザイン活動の作品は、
ふるさとでも教育や芸術文化や産業に
活かしていただきたいと考えていました。
最初は、私が17年間デザインを教えていた鯖江市のSSID
「鯖江市インテルジェントデザイン学校」の繋がりからで、
教育としての作品利用の話でした。
ただ作品管理においては教育と、
芸術文化や産業での管轄は異なりました。
そもそも、日本ではデザインは、経済産業省が管轄で、
美術、文化財の管理は文化庁であり、海外より、
デザイン作品を文化資産として管理収蔵する機会がないのです。
福井でも教育と文化は行政の管轄が異なるので、
文化と文明してのデザイン、そのものの価値判断が未定です。
警察官だった父が勝山署長だったころ、彼は美術館が大好きで、
福井での美術館設立に福井県芸術家の作品が
収蔵されていないことに嘆いていました。
福井県の才能を大切に守り、
また県外に誇れるように願っていたことを思い出します。
私がデザイナーになるなどは父は全く知りませんでした。
デザイン作品の知識、価値基準、維持管理から、
教育現場だけの利用ではなく
文化資産としての取り扱いをお願いしました。
最初はこの期待とこの願いは通じませんでした。
一歩前へ動いてくれる人たちが、
熱意を持って果敢に動かしてくれました。
こうして福井にデザイン作品が、
教育、芸術文化、産業に活かしていただけるのだと感慨深いです。
今回の収蔵作品は、
すでにMoMA近代美術館の永久収蔵作品である刃裟美も X&Iも
鉛筆削りスコラとプラスコラもあります。
全置換型人工心臓のデザインモデルは、
モントリオール科学センターに人類の「夢」として
1stモデルが展示されましたが、
全てのモデル1st〜3rdモデルまで収蔵作品となるのは初です。
また和紙作品「すみっこ・すっきっこ・わとじっこ」は
福井の1500年続く越前和紙産地との作品で、
和紙産地が、デザイナーとの取り組みでブランドを
構築する布石となった作品です。
これらは初収蔵作品でユニークです。
未来を切り開くデザインの足跡を、
福井県立美術館に、
少なからずふるさとに残すことができました。

『工業デザインなら、鉛筆デッサンと理科系は必要』
『「述語的な展開」と言われている本が出されている』


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7月8日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     7月 8th, 2021  Posted 12:00 AM

7月8日 先負(丁巳)

『美学としてのデザイン』

つまり、
インダストリアリズムを
基盤としたデザインは、
産業の活性化と
大衆の欲望との合致点を
生活向上に
目標化した制度であった。

artificial heart:川崎和男展


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7月1日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     7月 1st, 2021  Posted 12:00 AM

7月1日 友引(庚戌)

『美学としてのデザイン』

産業、経済、
あるいは企業と
デザインの関係を、
デザインへの投資効果
という視座で詰問すれば、
その一般解は、
利益回収という評価だけで
制度化される。

artificial heart:川崎和男展


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5月20日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 20th, 2021  Posted 12:00 AM

5月20日 赤口(戊辰)

『観念としてのデザイン』

すでに、
産業の営為集団としての
企業という組織には
新しい時代を
呼び込むだけの
知恵は
生まれ得ないだろう。

artificial heart:川崎和男展


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5月19日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     5月 19th, 2021  Posted 12:00 AM

5月19日 大安(丁卯)

『観念としてのデザイン』

それは、
その職能を
解放するデザイナーには
充分な体力があるが、
今だに産業にのみ
因り処を求める
デザイナーには
困難な時代であることは
まちがいない。

artificial heart:川崎和男展


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9月19日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     9月 19th, 2020  Posted 12:00 AM

9月19日 仏滅(乙丑)

『技術としてのデザイン』

さらにこの技術が、
産業として生産 と消費を
構造化してきた経緯もまた
理想社会の構築とは
かけ離れたものになっていることも
明白である。

artificial heart:川崎和男展


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8月22日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     8月 22nd, 2020  Posted 12:00 AM

8月22日 仏滅(丁酉)

『位相としてのデザイン』

なぜなら、
これまでわが国のデザイン発達史は、
産業による国力強化の
大きな支援制度史にもなりうるわけであり、
産業、経済の位相に寄りかかる以外の
手法を見い出すことには
思いもいたって来なかった。

artificial heart:川崎和男展


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『すでに「観光都市」は絶対に代えることです』


   


     4月 4th, 2020  Posted 8:07 PM

私は「観光都市」という呼称やあり方に
懐疑的だとこのブログでも何度も言ってきました。
「観光都市」=Tourist city、Sightseeing cityなどは
全世界で観光を産業とする都市ですが、
これには、厳しく「乞食(こつじき)都市」とまで、
過激なことを言ってきました。
というのも、水物でない観光産業を目指すべきだとして
日本がバブルの頃には、地方への企画書に
「何度も通える場所」その考え方を書いていました。
ともかく、私の企画に対して
「難しい」といった反応の連続でしたが、
海外の特派員が絶賛して取材を受けました。
実際その地方は、国内で観光都市でもなく、
いつでも容れる場所、温泉もない、神社仏閣もなく、
風向明媚でもないけれども、ともかく「通える場所」、
もう一度訪れたい場所であることを企画しました。
それこそ、ユネスコ都市なんぞ目指すこと無い、
守りたい継続したい場所にではなく
ユネスコに分担金、拠出金、登録料を流し込んで、
認めてもらう必要があるのでしょうか。
「何度も通える場所」には、まったく違う呼称が必要です。


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『「Ship of theYear」の審査結果も負けている』


   


     7月 4th, 2019  Posted 12:00 AM

今年2019年の「Ship of the Year 2018」の審査です。
私は70歳ですが、審査委員として最も若いのです。
そして、この審査は、相当に海の知識の専門性を要します。
また各審査委員の専門もバリエーションに富んでいます。
私自身も、浮力や船の重心、船底形状、走行特性など、
この審査に関わり10年で深まりました。
海図が全部頭に入っている船長組合の名誉会長が
プレゼ担当者に投げかける
「それで走行できるのか?」という質問への回答は
それこそ大変だと私は思っています。
今、船舶事業は不況です。
また日本の漁業も衰退しています。
遠洋漁業の日本の法律が、
中国や韓国ですべて壊されています。
成長していない魚を必ず海に戻す日本に対して、
彼らは魚を捕り放題です。
こんなことをしていたら、地球の海に魚はいなくなるでしょう。
そんな中70年ぶりに改正漁業法が成立し2020年施工されます。
日本の漁業生産量の底上げと漁業資源の回復を期待しています。
世界において船舶は1位だったのが6位となり、
船を依頼する日本企業はいなくなることを予測しています。
ますます航海では外国人労働者が圧倒的に増えています。
私は、船舶の技術に、
もっと他の産業を入れるべきだと主張しています。

* 今年の審査結果


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『伝統工芸品は売れないからこそ「裏切り」があるのだ』


   


     5月 26th, 2019  Posted 12:00 AM

伝統的工芸品産業の振興に関する法律1974年が
なぜ創られたか、その時代背景があります。
これは、沖縄返還の産業政策1972年がありました。
そして1973年にオイルショックで高度成長期の終焉を迎えました。
沖縄では産業は、何も無かったという話もあり、
地域ごとに形成されていた産地を伝統的な工芸として
その産業を見直し、保護、育成、管理、振興すべく
それは、日本全国に伝統工芸産地に及びました。
私自身は1980年に福井に戻り、伝産法全文を見つめ直しました。
当時「第四次全国総合開発計画=四全総」が立ち上がりましたが、
その目標と目的を遂行する活性策の基本的な認識に、
地域活性化の3要因が欠落していました。
活性化には温度=情熱さと冷静さ、濃度、そして触媒でした。
触媒となるデザイン・デザイナーを軸とした3要因を入れることで
福井での私の仕事は、今に続く産地ブランドとなったのです。
オリンピック・パラリンピックでは、伝統工芸製品
そして工業製品までが東京2020ライセンス商品、さらにはG20でも、
伝統工芸と工業製品の推薦商品としての「認定?」を要しています。
伝統的工芸品はその技だけでは売れない現実=私にはわかります。
さらには、産業としての後継者不足がありますから
法制度や、こういった施策や先導には大きな影響を受けます。
今、全国には232(インチキがある)伝統工芸品の指定品目があります。
私の産地には後継者も育っていますが、
新素材や新規工程とデザインを発想しています。
常に伝統を「裏切る」発想=革新こそが、産地が継承されるのです。
売れない伝統工芸品、さらには雑貨までが、全く「売れません」。


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