kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘白文’


『群青色とフェルメールブルー』


   


     11月 21st, 2018  Posted 12:00 AM

青色は、鉱山の色であり、
光が海洋の色と空の色を決めています。
青色への私の偏愛は、時に暴走する情熱をわきたてるように
身につけるスーツや靴、鞄にpcケース、
文具類に青色を選んでしまうのです。
ラピスラズリの白文・文朱の篆刻印も中国で手に入れました。
鉱山石のラピスラズリは特別の色です。
日本では瑠璃や群青と言われていました。
欧州では、画家のフェメールはたった35点に
この鉱山の青を使っていました。
貴重な鉱石を原材料としている特別な青です。
江戸時代には加賀藩が、成巽閣では群青の間を
「もてなし」の空間にしたのです。
おそらく、青や群青などは当時はとても難しかったのです。
さて、フェルメールの代表作では、
この青色は光との彼の腕前でとても貴重な遺産になっています。
その青色と光の陰影に魅了されます。
計算された構図と表現は、
フェルメールブルーでその印象を決定づけているのです。
それこそ、加賀藩の群青と金箔の印象深いのに北陸新幹線は、
大きな間違いでした。
金箔はラインとして流すのでは無くその文脈性を重んじて、
囲みでの表現、窓の周りの装飾に使われることが相応しいと
私は思っています。
誰も北陸新幹線のこの群青には何も言わなかったでしょうか。
成巽閣のもてなしの間=群青の空間から、
私はFORIS.TVでその青色を本体のメインカラーとして使いました。
それこそ群青色などは売れる訳がないと言われましたが、
加賀藩の決定的な群青はブランドイメージとして伝わり大ヒットしました。
天空の破片と言われる金とも並ぶ価値を持っていたラピスラズリ、
成巽閣の群青、瑠璃色、ウルトラマリン、
そしてフェルメールブルーその圧倒的な青色の存在感、
メッセージ性をまだまだ研究しつくしてはいません。


目次を見る

「北京だから夢中になれたこと」


   


     6月 28th, 2011  Posted 1:00 AM

中国といえば当然ながら、
「文房四宝」。
硯・筆・墨・紙という古典的な知的道具。
これまで中国からのお土産は、
私が好きだからということで、
この文房四宝から、筆と墨はしばしばいただいていました。
紙は、ふるさとには越前和紙がありますから、
その製法は無論知り尽くしているつもりです。
ちょっと舐めてみれば和紙素材を的中できます。
もう見て触れてみたかったのは、「澄心堂紙」です。
北京の観光地にもなっていますが、
ほとんど観光客無し。
文房四宝の街筋に出かけてみました。
硯を見て回りました。
端渓の硯には見事なモノをいっぱい見ました。
外車が買えるほど高価なモノにはびっくりです。
私なりに小ぶりのモノを二つ、かなり値切って手にいれました。
端渓の硯はどこを確認するかを教えてもらいました。
ふと見ると、「青金石」=ラピスラズリの印材を見つけました。
私にとって、このラピスラズリは大好きな青色。
加賀藩・成噀閣の「群青の間」です。
EIZOのFORIS.TVに適用した「青色・ラピスラズリ」です。
今回招聘していただいた同伴の方々の値切り、
そして朱文と白文の篆刻を発注し、作成方法を観察しました。
実は、篆刻をやりたくてその道具類は集めましたが、
相当のトレーニングをしなければならないことや方法が不明でした。
じっくりと観察しました。
弟子入りして20年はかかる技術だそうです。
じっくりとその作業を見守り、エッと思える技を知りました。
そうだったのか・・・・納得、納得の連続でした。
これから「紙墨相発」にこの篆刻、
北京での大収穫でした。
もっともっと毛筆に自分を溶解したい気持ちでいぱいになりました。
ラピスラズリはアフガニスタン産だそうでした。
この溶け込むような群青色は本当に美しい。
これからこの篆刻と端渓硯が私の文房四宝では主役になるでしょう。

目次を見る