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「石畳の街、その文明と文化」


   


     4月 12th, 2013  Posted 12:00 AM

欧米、特に欧州は石づくりの街がいっぱいあります。
特に石畳の道路は、紀元前ローマ帝国時代に、
なぜそのような道路のたたずまいが文明として必要だったことは、
いつか記述すべきでしょう。
それは「道」と「道具」を見極めるため不可欠だと思っています。
さて1968年にはこの道路の石がデモ隊の武器にもなりましたから、
私はパリやミラノでこの道を見ると、そのことを思い出します。
しかも1968年は世界変動が20世紀に国際的に起こった時期でした。
しかもパリ革命を実体験した経済界・文化芸術界には、
リーダーが輩出しました。
けれどもこの経験をしたリーダーたちが、
以後の国際関係を台無しにしたと私は思っています。
それは石畳文明を破壊して文化まで破滅させたのかも知れません。
そして、この道路が車椅子の身にとっては過酷極まりありません。
今後、バリアフリーが当然となれば、
この道路はすべてやり直すべきでしょう。
わが国では寺院仏閣には石畳の文化があります。
それよりも、飛び石と言われる石づたいの道筋も美しいけれど、
これもバリアフリーからはとても過酷なモノです。
この飛び石を見事に使ったデザイン展示で思い出すのは、
1980年代中盤にインテックス大阪で、
フロッグデザインが「水」というテーマで、
作品写真と飛び石的な通路を組み合わせた展示は秀逸でした。
また、高校時代に山岳部だった私たちのテーマは、
加越国境に、
大長山という1500m級の山(=山頂の花畑と紋白蝶や赤トンボ)は、
弘法大師がその山への参詣路を石畳だったということで、
その参詣路を随分と探した経験があり、
多分と思える道筋を谷間に発見をしたことがあります。
私は、「石」を特別な感慨で見てきました。
それは、よく「植物」は人の話を聞いているという説があります。
と同時に、石や岩には、
「沈黙されているが時代を見ている」という説にある種の確信があります。
なぜ、欧州の石づくりの建設が今なお残っています。
しかし、「エコロジー」と「サスティナブル」も、
英語なのに欧州産でこれらは元来は地球環境の破壊と強く関連しています。
それは、酸性雨が石造建築や石畳道路を破壊し始めたからに他なりません。
私は、いくつかの自分が選んだ「石」を持っていますし、
どこでも気に入る石がないだろうかと見渡すことがあります。
つまり、「石」あるいは岩と人間は、
どこかで文明と文化が繫がっているのです。


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