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Posts Tagged ‘石目’


『もはや採掘されない笏谷石が土産品になっていた』


   


     3月 13th, 2017  Posted 12:00 AM

福井市街地には足羽山が見えます。
この山の麓に足羽小学校があり、小山谷町の官舎住まいだった、
私の幼稚園から小学校5年までは、この足羽山の隅々まで熟知していました。
そして、笏谷石の石切場が自宅のすぐ側にありました。
この笏谷石は長い間は泥岩だと思っていましたが、
この石を題材にした小物が「フクイブルー」とかで土産品になっていて、
今ではこの石は採掘されていないことも知りました。
母の墓石を父はこの石がいいということで墓石にしましたが、
経年変化が激しくて?御影石に変更したのです。
なぜ父が選んだかというと母はこの笏谷石を独自に頼んで、
漬け物の重石にしていたのです。
その石は調べてみると、極めて長い歴史をもち、
北前船で全国にも配送されていたとか。
この石での湯船は最高と聞かされていました。
確かにこの石で出来た杯に水あるいはお酒を注ぐと、
とても美しい青色になります。
そして今では笏谷石を知る人はいないでしょう。
しかし、お土産となっている市価が高額でびっくりしました。
全てを購入しようかと考えましたが辞めました。
そして心配なことはもう採掘されていない笏谷石を素材にするならと
デザイナーとしてはその思いが重なりました。
笏谷石が火山礫凝灰岩だと始めて知りました。
岩石としてはやわらかいので、
古墳から出てくる棺桶の蓋に使われていたようです。
万一北陸新幹線が金沢から福井から小浜そして京都・新大阪となったとき、
(私は大阪から奈良までが希望ですが)、私はあの世です。
こうした土産品がさらに高額になるとするなら、
もっとデザインは考えられるべきでしょう。
今では墓石はスェーデン花崗岩(?御影石)になりましたが、
この石の特長を最も表現される風呂石にはならないのでしょう。
最近はあたかもダマスカス鋼風(これその物が鋼板)が、
「売れる刃物」になってしまったように、
こういう石目も新たなテラコッタ風が登場するのでしょう。
私はデザイナーの知識と見識は終焉してしまったことが残念です。

* 『経年変化無し素材開発と道具使用を次世代に』
* 『陶磁器の二つの歴史・創れないモノまた創れるモノ』
* 『刃物の地肌、その偽物氾濫が流行している』
* 『『新大阪駅もまだ改装しているが、なんとも工夫欠落だ』
* 『応量器のモノからコトへがデザインの完成形』


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『デジタルサイネージとデジタル照明の自宅実験』


   


     8月 19th, 2015  Posted 12:00 AM

ペットボトル素材を2000層平板にすると新素材ができました。
この素材は素材メーカーの新発明であり最初は鏡面素材になりました。
私はこれでCOOL LEAF*というキーボードを完成させることができ、
これはアジアデザイン賞(香港)で受賞しましたが、
ここからの展開は叶っていません。
それは企業姿勢とその企業方針との問題がありました。
しかしこの素材は鏡面どころか木目から石目まで様々なパターンまで、
壁面素材を大きく革新する要素を持っています。
そこで地道にこの展開は新たな映像の新素材として展開をしています。
すでにある企業のショールームは完成しており、
デジタルサイネージは実現出来ていますからそこを母体に、
私自身、自宅にこのデジタルサイネージとデジタルLCD照明の展開を
実験的に試みています。
私は企業だけではなくて、近い将来、私的な空間でのデジタル表現が
これで大きな変化がくることを予想しています。
まず、液晶TVはデジタルサイネージによって大きく変化するでしょう。
これはPCがTVと合体化する以上の変化だと考えます。
当然、ホームオートメーションの視覚確認と制御装置になるでしょう。
ところが、ここまで気づいている企業はまだ皆無だと思っています。
ましてLED照明とセンサーや人工知能も次第にここから始まります。
すでにこれまでの音楽というジャンルが終焉して、
センサーとシンセサイザーが音楽流通市場に大変革を与えているように、
TV放映やTVキー局配信は終わっていくことは間違いありません。
少なからず、私はこの素材をデジタルサイネージにしたときには、
パッシブ制御とアクティブ制御はスマホとセンサーによる革新の方式で
全く新たな視覚と照明装置の空間ができてくるはずです。
残念なことに、この工業デザインと建築の一体化までには、
ともかく、私自身の自宅空間での実験次第になってきていると
私は認識しています。
そして、現状の企業組織では時代との技術とデザイン対応が
ほとんど不可能だということも理解しています。

*「知財権・意匠権改変の対象となった商品開発」


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