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「『はぶたえ=羽二重』の目立たなかった布の美しさ」


   


     9月 13th, 2013  Posted 12:00 AM

絹織物で着物の裏地として優雅な存在が羽二重です。
今では、この呼び方は布・織物よりも羽二重餅として知られ、
お土産お餅の名称扱いですが、
私のふるさと福井が織物産地として、
かつては人絹取引所までありました。
絹織物で着物の裏地は、人絹=人工的に絹のような繊維、
人工絹糸であり発明者の名前の略号としてスフとも呼ばれました。
最初は、レーヨンから出発した人工繊維モノでした。
そこから、今日の人工繊維は大変に工夫をしながら、
産業の基盤になっていったモノですが、
産業の高度化は織物そのものが時代遅れです。
人絹に対して正絹という自然の絹糸・蚕の糸は、
蚕の糸吐きの観察から、7回に1回、蚕身体の震えから、
人工撚糸されたこれを見破ったスフはイタリアであり、
日本製スカーフが輸出品から敗退した時期もあったほどです。
絹撚糸の経糸を二重にして、緯糸一本は、
今見直されていますが、現状では緯糸を機織り機械で、
シャトルと呼ばれるモノがありましたが、
これは木工技術の製造技術でした。
30年前に、タケフナイフビレッジ=越前打刃物の再興に取り組み、
その時には、シャトル製造工場で刃物のパッケージを製造して、
その精度は、パッケージの端面がまさにナイフで、
そのパッケージの角で指先を切るほどの精度を求めたものでした。
しかし、今ではシャトル自体の製造工場が無くなり、
シャトルで正絹を織る企業は、作り置きをしていると言います。
また、福井に残っているシャトルは、
すべて収集してほしいと伝えています。
福井の裏地人絹産業と正絹産業を共に復活させられると思います。
私は、ともかく「羽二重」=はぶたえを国際化を目指します。
たとえば、晒をデパートで発見する売り場はほとんどありません。
しかし、人絹の進化、正絹での蚕の遺伝子操作自体まで、
私はデザイン対象化ができそうです。
そのとき、「布」の膚触り、手触りは尺度スタンダードが可能。
この可能性をビジュアル化とオーディオ化ができるでしょう。


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