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『資本主義からの逃走』
 「*貿易国策の一つがGマーク賞制度、その審査委員資格*」


   


     2月 21st, 2010  Posted 1:00 AM


Gマーク賞選定審査委員資格

私はGマーク賞のベテラン審査委員になっていました。
それから審査委員長を3年努めて選定委員を卒業しました。
17年間審査委員でした。
審査委員のベテランになったときに、
「そろそろ自分らの世代に任せてくれませんか」と、
言われたことがありました。
だから、委員長を務めて彼らに譲りました。
はっきり言いましょう。
それからのGマーク選定の「質」は、
見事に低下し続けてきました。
インハウスデザイナー=企業内デザイン現場からは、
「あいつの能力で審査なんて、応募する気もない」とか、
「素材や成型や、基本も知らない素人もいるじゃないか」
「窓際のGマーク担当は、ミラノに海外出張できるのか」
などなど、私に聞こえてくるようになりました。
「Gマーク選定の質」、
その低下は「日本のデザイン」を直喩象徴しています。
私は、60年になろうとするGマーク賞制度は、
やはり、
「プロ中のプロ」が審査すべきだと主張しておきます。
「デザインを実現したことも無い審査委員は要りません」。
「審査委員会を途中で、自分のが選ばれないから辞任」。
「デザイン評論家めいた自称・デザインコンサルタント」。
こうした連中は、「日本の貿易国策」より、
私欲優先者は関わらせるべきではない!と裁決します。
名刺に「Gマーク審査委員」と表記する者は論外です。

美しいモノとともに生きれば、
美しく死んでいくことができる。
                        岡倉天心の言葉です。

おそらく、デザイナーすべてが「日本のデザイン」は、
すでに、韓国や中国、アジア圏内で能力を失いつつある、
ということを感じていない者はいないと推測します。

もう、これまでのデザイン対象などは、
追随してくる新興国家に任せればいいのです。
「デザイン領域の拡大」を成し遂げるべきなのです。
すでに、次・次世代は「感じ取っています」。
したがって、
私は、かつて私の次世代に、
Gマーク賞制度を手渡したことを激しく後悔しています。
つまり、Gマーク賞制度の審査委員資格は、
「プロであり、デザイン対象を拡大できる才能」です。
「才能無き」審査委員を選外すべきです。


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