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「中国の方が厳罰ある自由主義かもしれない」


   


     6月 29th, 2011  Posted 12:00 AM

毛沢東、文化大革命、天安門事件、
そして鳥の巣オリンピックと物真似上海万博。
すべてが独裁ゆえの常識外れの勝っ手主義。
私には確実に偏見がありました。
だからこれまで招聘されても、
体調とかを理由に断ってきました。
今回は国際交流基金から突然の話でした。
国難となっている日本を、
それなら中国から見直そうとの気持ちで引き受けました。
空港も、建築的な仕上げに繊細さはありませんが、
ここまで発展していたんだという思いにかられました。
デザイナーとしては、
「VERTU」という英国ブランドのケータイを初対面。
「VERTU」がスタートしたとき金型は日本でしたから、
そのコンセプトやスタイリングデザインは知っていました。
その高級感(高級感の読み間違い)英国市場無しというより、
ひたすら高額なケータイゆえ「生活、井然之美」という広告で、
買い求める中国人、その購買層が居る現実に驚きがあります。
北京市内には数店舗あるらしくじっくりとそのモノを見ました。
これはほとんど成金的デザインにやや呆れながら、
商品としてはほとんどありえないモノが売れていることこそ、
中国13億人は、未だ19世紀・20世紀・今、そして未来を見ます。
「設計、改変社会的力量」という私へのテーマ。
そのまま「デザインが世界を変える」ということですが、
中国は、すでに「市場経済主義」の中での産業的デザインから、
離脱しようとしているのです。
ほぼ1時間の講演後、会場からの質問は圧倒的に多く、
一人が、二つ以上の疑問を問いかける真剣さに、
私の偏見は逆転したのです。
つまり、「一党独裁と事情経済主義、その格差)」を
さらに豊かにしていく独裁的方法にこそ実は新自由主義が生まれ、
独裁制だからこそ認可厳罰主義と放任だから自己責任への転嫁が、
見事ゆえに、隣国の人口力が襲いかかるかも知れない危惧感です。
今、ホテルの冷房は寒いほどです。
北京市内ある一画は電力使い放題の街路灯から装飾ライトアップ。
震災津波時の日本人の礼節さに敬意がありました。
ところが現在はまだ復旧すら見えない日本に呆れているそうです。
リーダー無きわが国こそ、無知蒙昧な独裁制が明確化され、
日本には自由主義も津波とともに流されてしまったのでしょう。
おそらく中国と呼ばれるこの国には性悪主義ゆえに、
「自己責任の背負い方には特権行使の厳重処罰」という恐怖政治。
政党政治は規制をかけつつ責任放棄し放題、
救済の制度設計すら不可能になっている日本。
この両者を対照化すれば、見えてしまいます。
日本の自由主義は自己リニア主義という幻影だったのです。

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