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「30-Channel Programmable Stereo Systemは伝統工芸」


   


     4月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

フリーランスになったとき、
これまで周囲の親しい人たちが急に冷たくなりました。
東芝関係で親交のあった人たちは、
私が東芝社員だったからやさしかった、
このことを思い知らされました。
しかし、本当に心ある人たちは私を支援してくれました。
その支援で、やりたかったことに投資というか浪費をしました。
シンセサイザー・4chデッキ・ミキサー などを買い込み、
現代音楽のようなものを作曲し、
その再生システムを本格的に造りました。
まだマイコンがようやく4bitの時代でしたから、
リレー回路でプログラマブルコントローラーと
30個のフルレンジでトーンゾイレタイプの
壁面スピーカーシステムを造りあげました。
これは2chに音楽をステレオ録音し、
2chで左右にどのスピーカーを鳴らすかという制御システムでした。
プログラマブルコントローラーは4800カ所ハンダ付けが必要でした。
それはまさに日本人のエンジニアが出来る「技」でした。
だから「伝統工芸」だと考えて、
当時、京都で行われた伝統工芸展に出品しました。
当然コンペ事務局から受け取れない旨の通知がありました。
それは想定していたことです。
やがて、このエピソードを残しておけば、
必ず「君の作品だったのか」ということになると想像していました。
それは意外と早く訪れました。
日本デザインコミッティで
「デザインフォーラム銀賞」をいただいたとき、
コミッティのある先生が京都でのコンペ審査委員でもあったので、
その話をしたとき、
「あれは君の作品だったのか」ということになりました。
さらに、このシステムを当時「ビデオアート」が騒がれ初めていたので、
ギリシアの現代音楽とビデオアートコンペにも出品しましたが、
見事に落選しました。それでも一向に構わない、
いづれ私はそのアーティストにもなれるはずだとうぬぼれていました。
シェーンベルクやクセナキスに憧れがありました。
だからシンセサイザーで作曲し録音し、
さらに30個のスピーカーで自動演奏させるシステムづくりに、
デザインで得たデザイン対価はすべて注ぎ込んでいました。
今や、当時のシンセサイザーはiPadのアプリになっています。

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「KAIST:韓国科学技術院へ」


   


     11月 13th, 2011  Posted 12:00 AM

1971年に新設された韓国科学省の大学。
韓国では入学が最も困難といわれています。
KAISTは
Korea Advanced Institute Science and Technology
博士課程の学生は兵役免除される唯一の国立大学です。
したがって、この大学出身者、
特に、インダストリアルデザイン出身者は、
ソウルの副市長であったり、
韓国主要産業の理事職についているゆえに、
韓国での「デザイン」は制度設計から商品開発まで、
とても勢いがついてきたのだと私は判断しています。
阪大とは特にインダストリアルデザイン学科系と提携。
私の学生が短期留学したりしている関係にあります。
学科長とは、名古屋市立大学当時から親交があり、
彼自身は阪大で博士号を取得ということもあって、
大学間提携をしました。
明日から、「Progressive Inclusive Design」の
実務例、特に、PKD=Peace-Keeping Designでの
「経鼻吸引ワクチンの検査から吸引器具開発」を
紹介してきます。
したがって、
「Progressive Inclusive」についてと、
医工連携へのデザインや、3.11についても
語ってくるつもりでいます。
写真は昨日も紹介した「私の研究室からのおみやげ」です。

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