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「『MAKERS』・・・この書籍に誤魔化されてはいけない」


   


     6月 23rd, 2013  Posted 12:00 AM

6月19日にStratasysとMakerbotが企業合併。
この合併を聞いて、この意味が分かる人は何人いるでしょうか?
合併と同時に、わが国の大手企業が「金型可能」という発表。
すっかり騙されてしまったわが国の産業界を私は指摘します。
私自身も、3D Printerと3D Printingを区別していませんでした。
造形機器の専門家の人たちから教えていただきすっきりです。
私は、2D-CADで図面作成手法がデザインに入ってくると、
すぐにこの解説書・MAC版を出版しました。日本初だと思います。
さらに3D-CADと光造形を知って、大学人を選びました。
だから、「MAKERS」を読んだとき、すぐに疑ってしまったのです。
それから翻訳されてからは、原書との些細な翻訳ミスで、
わが国産業界や中小企業が、とんでもなく誤ると直感しました。
4つ伝えておきます。
● 必ず3D-Printing技術は進化し、家庭に入るでしょう。
● 3D-Printerは必ずしもインクジェットに限りません。
● 廉価家庭用機器と工業用高級機では別物と考えましょう。
● 工業機器Stratasysと家庭用廉価機器Makerbot合併の意味。
したがって、あたかも夢物語りになっている未来は、
この「MAKERS」で語られている世界ではありません。
だから、「金型設計」もやがて可能ですが、
現在はまだその素材開発から、生産システム開発までは無理です。
マスコミの夢の語り方に踊らされてはいけません。
確実にこれからのモノの存在方法は、生産方式が一新します。
しかし、問題は山積しているのです。
安易にこれからのベンチャー企業方針には「分別力」が必要です。
「素材開発とソフト開発」が決め手になるでしょう。
その一旦が、工業機器Stratasysが存分にしてきたソフト技術と、
廉価版家庭用を中国生産していたハード機器生産が統合されれば、
高額機器と廉価機器に大きな革新がくるでしょう。
ただし、大きな心配があります。
廉価版である中国製はすでに製品の横流しをしているかも、です。
となれば、この進化を正当にできるのは、
わが国のMade in Japan機器とその生産流通方式だと思います。

*電子ブックで読むことと書籍の読み方を変えるべきです。


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