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「日常性の『闇』から開放させるオーディオ」


   


     8月 6th, 2011  Posted 12:00 AM

明日は明るいに間違いない。
この意識が、私たちにあります。
明日は今日よりも、
この意識が無ければ生きがいを無くします。
夜明けの前が一番暗い。
夜明け直前の「闇」はそのまま人生のメタファーです。
アナロジーでもレトリックでもありません。
そのメタファーになぞらえることを、
私はオーディオ、そのシステム構成に求めています。
なぜなら、明日が今日よりという理想主義、
その具体的実例のシステム=体系だからです。
ソースがあり、増幅器があり、スピーカーで、
ある空間を音響空間に変貌させることができます。
その時人は何をその空間に自分を身を委ねるのでしょう。
私は音響=闇空間と考えています。
確実に音響となる音楽には空間の質を変える力があります。
心臓を患って入院していた頃、
すでにロックはもう聴けない体になっていました。
どういうわけか癒されたのはクラッシックです。
それもアレグロ系でなければ心臓に負担がありました。
東芝時代に音響生理学をある人に教え込まれました。
私にはオーディオの師匠が数名います。
東芝時代に日参していたオーディオ評論家、
東芝の音響エンジニア、ユーザーであったマニア、
オーディオショップのオーナーです。
様々な音楽を聴きました。
今も私のこの趣味は尽きることなく続いています。
オーディオシステムにどれほど投資しているでしょうか。
それは明らかに「闇」空間に自分を置くためです。
何が見えてくるのだろうかということは、
実は聴こえてくることの中に潜んでいる気がします。
すでに、CDはリッピングをしてデジタル化しています。
しかし、ソースとなる音源はアナログであり、
そのプロセスがデジタル化されているだけです。
しかもシステム構成はケーブルの質だけでも、
「闇」空間をすっかり変えてしまうのです。
つまり情報社会はデジタルプロセスのシステムですが、
結局、身体を包んでいるのはアナログ系です。
私は「闇」空間はそのシステムプロセスがデジタルでも、
結局はアナログ的な反応に人は戻されていると思います。
これが実は最も大事な「闇」との対峙姿勢だと考えます。
私はあらためてデジタル化されたクラッシックでも、
必ず身体はアナログ的な反応をしていること、
このことを確かめてもらいたいと提案します。
なぜなら、「闇」に突き落とされたなら、
人は希望も夢も失います。
私たちは「闇」から生まれ「闇」の彼岸にもどっていきます。
それまでのプロセスはアナログ的な希望、
そしてその明るさが「闇」から解放させてくれるのです。

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