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『ユニバーサルデザインの原意』


   


     8月 4th, 2014  Posted 12:00 AM

Universal Designはデザインの本質を捉えた大きなテーマでした。
これはテーマであり、具体的なモノのデザインに適用させるには、
その原意から明確な歴史性の確認を整理しておく必要があります。
日本では、ユニバーサルデザインといえば、
直ぐにロン・メイスンが筆頭に語られますが、実際は、
NASAのデザイナーであったマイケル・カリルが提唱していました。
しかも、彼が1989年名古屋での世界デザイン博覧会・会議で、
彼のユニバーサルデザインを講演しています。
当時以前に私は彼と親友であり、彼が米国の各地の大学で、
この講義をしていましたから、元来は彼の提唱です。
ロンメイスンは、1970年に1980年から始まる「国際障害者年」での
前段階として求められていた準備論文で「バリアフリーを求めて」を
書いたことで、後に、ユニバーサルデザインの定義は変化しました。
しかし、今や二人とも夭逝してしまっていますから、
このことは、私が両者の考え方を綿密に書き残しておきます。
マイケルカリルがとらえたユニバーサルデザインは、
地球での南北問題の経済的な格差へのデザイン展開であり、
ロンメイスンは七つの定義を先進国から後進国へのデザインでした。
私はこの両者を考える時、七つの定義を次のようにまとめて、
その反証を必ず再熟考することを追加しました。
「公・自・単・情・安・省・空」として、暗記して、
それぞれの反対事項を含めることを提案してきました。
わが国にユニバーサルデザイン教育システムは、私が大学で展開し、
最初の「国際ユニバーサルデザイン学会」に参加して発表しましたが
その直後に、ロンメイスンは亡くなりました。
マイケルカリルはそれ以前に亡くなっていました。
日本ではGマーク・ユニバーサルデザイン賞に一時しましたが、
商業主義によって、本来の意義が拡散されたことになり、
結局、「SD」(優れた建築雑誌)の最終号にて、
この考え方は、HCD=Human Centered Designへと昇華させました。


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