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『資本主義からの逃走』
「 Media Integrationに向かってきた系譜を印刷歴史から・3」


   


     4月 24th, 2010  Posted 12:01 AM

Aldusの存在
情報化時代、あるいはメディアのスタートに戻ってみます。
グーテンベルクにまで遡及してみます。
特に、日本ではメディア、その原点は印刷技術の発明が、
もっともよく語られてきました。
私は、グーテンベルクの存在をやはり大きく認めています。
しかし、グーテンベルクの印刷技術がハードウエアだとすると、
実際的には、
印刷していく形式の要素そのものを変えた人物の存在です。
この存在が忘れられていることです。
その人物とは、アルドゥス・マヌティウス
だと私は思ってきました。

正直、彼を知ったのは、DTPのソフトウエアで、
PageMakerが出てきたときに、初めて知ったのです。
そして、グーテンベルクは
いわばメインフレームのコンピュータを発明したような人物であり、
パソコンのように、モバイルの書籍や、ページや書籍形態から、
書体のバリエーションなど、形式の要素開発を成し遂げた人物だったのです。
パソコンとともに、DTPではPostScriptが登場して、
印刷技術は、レーザープリンターによって、
パーソナルな出版が可能になりました。
メディア・インテグレーションは、
この印刷方式の大変革が大きく作用していたのです。
つまり、アルドゥスになりうる人たちが、
どんどんとパソコン環境を変革してきたことだと思います。
メディア・インテグレーションにとって、「新しい形式」は、
その形式をさらに高密度にしていく要素開発と要素の多様性、
さらに小型化し、携帯できるということです。
こうした意味でも、アルドゥスの存在は、
グーテンベルクとともに語られる必要があったのです。
今、私たちが、メディア・インテグレーションにおいては、
マスメディアに多様性が皆無であり、モバイル性能などの
形式の多要素化とその高密度性が不可欠だということを、
印刷技術の歴史から、
もう一度、確認として学び直しておく必要があると、私は考えています。


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