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Posts Tagged ‘C.I.ブーム’


「資本主義からの逃走」
   「企業C.I.ロゴタイプは、まさしくシンボル」


   


     2月 13th, 2011  Posted 12:00 AM

象徴としての企業ロゴタイプ
企業ロゴタイプは企業C.I.のシンボルです。
40年間の私の経験値で、
企業ロゴタイプのデザインは、まさしく象徴です。
企業を象徴しているというのは、
イメージから成長度、利益度、組織力程度までを表現しているということです
最近は、感心するようなロゴデザインだったのに、企業都合で突然変更された時には、
その企業の発展事情、その危険度を直感することがあります。
まずい変更デザインは必ず企業危機に陥ります。
まったくデザインとして完成度の無いロゴタイプになると、必ずその企業は没落していくものです。
企業理念の継承と革新=ロゴタイプデザイン
企業成長には、30年説、100年説があります。
日本には実際、300年以上の企業体が605社(帝国データバンク2010)もあります。
そのほとんどが「オーナー企業=同族経営」です。同族経営は理念を失ったときに崩壊します。
だから、連綿とした企業理念があり、その伝統継承と、常に創造的、革新的な経営が必要です。
そうした企業理念の共通事項には、
すべからく、「企業の社会貢献優先・社会への利益還元主義」が貫かれた企業は永続性があります。
無論、企業シンボルのマークやロゴタイプ・商標は変わっていません。
ロゴタイプの視覚的ルール
80年代にはC.I.ブームがありました。まるで、広告手法や宣伝方式でしかありませんでした。
当時、ふるさと福井でフリーだった私には、デザイン依頼や相談が持ち込まれました。
私が最も心がけたのは、「新規デザインをするか、しないか」を決めることでした。
創立時のマークやロゴを、イメージを変えずに視覚修正したものが多くあります。
新規デザインをする場合、特に欧文ロゴタイプについては、
徹底的に伝統的なレタリングルール・法則にこだわりました。
最近は、レタリングルールを「創作」という言い訳にしてしまって、
まったくルールや法則性が狂ったデザイン氾濫があります。
そうして、そのようなロゴタイプ・シンボルに変更した企業は、
必ず企業存続・企業存在が無くなっていくものです。
ある意味では、「姓名判断」的な「ロゴタイプ判断」が可能ではないかとすら思うことがあります。
企業C.I.のロゴタイプやマークは、企業の象徴性=シンボルが明示されているものです。


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「資本主義からの逃走」
 「企業イメージはブランド戦略かC.I.戦略か」


   


     2月 9th, 2011  Posted 12:00 AM

存在イメージ戦略
世界的な不況感の中に囚われている企業。
その企業の存在性のイメージが浮動しています。
この浮動原因を見極めておくべきでしょう。その一つをメモします。
バブル時代には、C.I.ブームがありました。
企業が、存在イメージをC.I.デザインに求めました。
どれだけ多くの企業が、マークやロゴのデザイン変更をしたことでしょうか。
C.I.デザインというのは「コーポレートアイデンティフィケーション」ということで、
特にビジュアルデザインの統一性が競われました。不成功企業がいっぱいありました。
それは社長交代でマークやロゴが変更するということも一因でした。
JALなどもどれだけデザイン投資したのでしょうか。
どれも「失敗要因・拒否記号」というのが私の評価です。
最近は、かっての「鶴マーク」にもどされました。これもさらにブラシュアップが必要でしょう。
私はこれがC.I.なのかブランド戦略なのかが不明であることをプロとして観察しています。
最近、地方行政では「デザイン戦略というよりブランド戦略」という話を聞いて、
「なぜ?」って問い返すと、「ブランドというキーワードだと補助金がもらえるんです」とのこと。
大間違いです。
要は、C.I.戦略なのかブランド戦略なのかが不理解なまま、
そのような曖昧なデザイン高度化事業になっていることです。
書店では、「ブランド戦略本」ばかり見かけます。
立ち読みすると、デザインまったくわからずの著者が声高な文章で煽っています。
ブランド戦略
「ブランド戦略を」という依頼を受けることがあります。
私は、その前にビジュアルC.I.があまりに不整備なところには、
C.I.の解説から始めますが、理解できない担当者・経営者に唖然とするのです。
「ブランドって何ですか」と尋ね返します。
ほとんど正解は返ってきません。無論、すでに企業C.I.デザインなどは忘れられています。
企業というのは「社会的な存在性」が認知されてこそ経営ができるわけです。
だから、まず、アイデンティティを完備しなければ、ブランド構築などはありえないのです。
ブランドの原意
「ブランド」と飼育牛に「焼き印」を押すことが原意です。
この牛は、私が管理し育成しているという目印です。
だから、企業あるいは商品に「焼き印」目印がブランドのことであり、
それはC.I.というアイデンティフィケーションが不可欠です。
まず、ビジュアルデザインで整っていなければ「ブランド」構築には入れないわけです。
今、わが国のアイデンティが不明になっています。
したがって、「日本ブランド」の構築は不能だということを知るべきでしょう。
「日本ブランド」は「Made in Japan」で語り直せます。
ただし、「Made in Japan」のアイデンフィケーションをリスタラクチャリングが必要です。


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『資本主義からの逃走』
「 Media IntegrationはIdentificationと連動すべきです・8」


   


     4月 30th, 2010  Posted 12:01 AM

Identification
バブル時期に、C.I.ブームが起こりました。
C.I.=Corporate Identificationの流行でした。
当時、私はふるさと福井で活動をしていました。
そのブームは、「企業イメージアップ」ということで、
企業名の変更や企業マーク・ロゴのデザイン変更や刷新を図り、
名刺や社屋までの視覚的デザイン印象を一新するという流行でした。
北陸の企業にもそのC.I.ブームが来ていました。
毎月、売り込みが10件以上あるという銀行から相談を受けました。
その売り込みはほとんどが広告代理店が中心の、いわば、
企業広告手法だったのです。それは大きな誤解でした。
無論、私はその導入以前の問題点を指摘しました。
そして、改めて「Identity」・「Identification」をまとめ直しました。

エリクソン
基本に選んだのは、E.H.エリクソンでした。
彼の「自己同一性」が自分のC.I.デザインをやる上での
基本的な思考を支えてくるました。
特に、福井のTV放送局は、福井放送FBCと福井テレビftvでした。
ftvは開局時、大学1年の時に、ロゴタイプで私のデザインが選ばれていました。
今は変更されています。
福井放送は福井時代にロゴタイプをやり直して、今も使われています。
そして、当時は福井放送に関わりました。
TVとラジオの放送をじっくりと見直す経験ができました。

マクルーハン
H.M.マクルーハンがラジオについて語っている一説は今も当てはまります。
「ラジオはホットメディア」という指摘です。
つまり、マスメディアでもラジオ放送は、
一方的ながら聴取者からのはがきでの双方向性を
DJスタイルで確立してきたわけです。
それは、ラジオのIdentificationはTVとはまるで異なっていたということです。
私はMedia Integrationの基盤にIdentificationとの連動性は不可欠です。
だから、メディアとしてのラジオ番組のコンテンツは音のコンテキストなのです。
コンテキストはタイムラインで聴取するということが、
基本=Identification要因なのでしょう。
今、Ustreamの面白さは、タイムラインでのつぶやきという双方向性があるからです。
デジタルTVのリモコンには、カラーボタン(青・赤・緑・黄)があります。
自分もデザインしていますが、
この機能を運用したTVは、決して「ホットメディア」どころか、
死んでいると言っていいでしょう。
このリモコンのカラーボタンを使用するTV番組など皆無です。
IntegrationとIdentificationが、
密接に連動していることに気づいていないTVメディア、
そのメディア企業価値観に「多様性はやはり皆無」なのです。
IntegrationとIdentificationは連動しています。


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