kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘Layout’


『「実装設計」=筐体デザイン+回路デザイン=問題解決』


   


     6月 24th, 2014  Posted 12:00 AM

デザインとデコレーションには大きな差異があると思っています。
その実例の一つを紹介しておきます。
実装設計。
これを私は海外ではConfigurationとLayoutだと言ってきました。
Layoutとは回路設計であり、筐体への部品配置をConfigurationだと
言い続けてきました。
それは日本語の「実装」という言葉の明快さであり、モノづくり、
つまり、日本には素晴らしい複合的な意味の記号性そのものです。
これは随分以前の商品であり、プロには的確な提案でした。
動画や音楽の編集機器ゆえに、筐体と回路をまさに実装によって、
回路性能性と筐体構造による存在性に機能性と効能性を、
デザイン、つまり問題解決を成し遂げた商品設計デザインです。
このアッセンブリーモデルは、私が自分の講義で使っていました。
製品本体の大きさは、CDジャケットサイズに回路基板と、
筐体への部品配置によって、機能性を決定づけることができます。
デザイナーにとって、技術表現はそのまま回路と筐体に表れ、
営業表現は、技術での性能と機能が、社会的な存在性=効能です。
したがって、技術も営業も納得を求めるのは、
実装設計よりも実装デザイン、性能・効能・機能の問題解決そのもの
私は実装デザインによって、技術と営業のバランス設定が重要です。
設計では、問題解決による本来のバランスを求めるのは困難ですから
ずばり、問題解決の実務として「実装デザイン」統合性が必要だと、
私はいつも技術と営業、このバランス配置を求めています。
日本人だから「実装」を、単なる構造と配置を統合化できるのです。
今、理解を求めてきた企業では、Configuration Layout、
この言葉が浸透を始めています。
やがて、「Zissou」と呼ばれることを目指しています。

『技術革新以前の問題解決=デザインがある!』
「コンピュータを強く認識したときの人物と試作デザイン」
「最近の実装設計に問題あり」
「SZ-1000・私のオーディオ最終作だから」
「知財権・意匠権改変の対象となった商品開発」


目次を見る

「最近の実装設計に問題あり」


   


     1月 19th, 2013  Posted 12:00 AM

ここ数年、回路設計と機構設計に関与しながら、
私は日本の工学設計での大きな失望感を禁じ得ません。
回路と機構を私は「実装」と呼んでいると同時に、
日本の工学技術から生まれた素晴らしい表現だと
日本人として誇ってきました。
かつてApple本社で仕事をしていたときも、
ConfigurationチームとLayoutチーム毎のミーティングを
同時にする提案をして、
それをConfiguration Layoutと名付けました。
ところが、
最近ではこの「実装設計力」が相当に低下していると判断しています。
理由は三つあります。
まず、

・本社設計機能を下請けに発注すること。
・パソコン設計に委ねていて、3Dソフトに頼っているために、
    その大きさや重量配分などの実体験が欠落していること。
・自分でハンダ付けやメカ製作を「手」でやる経験を
    教育システム自体徹底させていない風潮が蔓延していること。

これは、
わが国の「モノづくり」力を具体的に失ってきているということで、
私は大変に危険な傾向だと指摘しておきます。
図面で、29.351なんて寸法表示を見ると、
それこそ、気分まで悪くなります。
30.0かもしくは、29.0なら、
なんとしても25.0にすべき設計でなければなりません。
そして、
企業の設計部隊の中間管理職=課長や部長も見逃していることです。
これでは、
デザインによる外観=スタイリングは甚だ最適なデザインは不可能です。
私はオーディオからスタートしているので、
実装がそのまま音質にも多大な影響がある、
そのことを熟知しています。
だからこそ、今、わが国の工学設計においては、
実物部品、回路設計を手づくりすることを
教育カリキュラムに入れることを再検討すべきでしょう。
私は、常に回路図や機構図にも手を入れます。
そして、そのテクニックを若いスタッフや学生にも、
しつこく語り継ぐことに徹しています。
回路図には必ずセンターラインがあり、
電子部品の配置では重量バランスなどを、
徹底的に身体で覚え込むテクニックが必要です。
若いエンジニアには、engineeringの意味は、
「合理性で無駄を排除すること」これが定義であることを、
しつこく語っています。


目次を見る

「『きれい』にすることが『美しい』こと」


   


     5月 13th, 2011  Posted 12:00 AM

美しいかたちのデザイン。
私の職能デザイナーの大命題です。
かたち=形式・形体・形態です。
このところ製品開発から商品化まで、
やっとたどり着いた商品のかたちは、
美しくあってほしいと願いを込めてきました。
もう40年も「かたち」にこだわってきました。
そして美しいということは本当に難しいことだと悩んできました。
そこで、私の方法論は、まず、「きれい」かどうかです。
サングラスは、顔の表情をさらに綺麗にしてくれるモノだろうか。
キーボードは、打鍵している指先やユーザーにとって、
本当に、大げさに言えば「働きがい」から「生きがい」、
その周辺に存在しているかたちになっているかどうかです。
いつも説明してきたのは、「きれい」と「美しい」には
ある隔たり・近さの概念が明確に横たわっているのです。
「きれい」は形容動詞ですが、
「美しい」は形容詞です。
これを距離感覚、近さという概念で検証し直してみることです。
まず、「きれい」にしないと「美しく」はなりません。
だからまず「きれい」なサングラスを創ります。
最近は「かわいい」という形容動詞が氾濫していますが、
私はあくまでも「きれい」なサングラスです。
具体的には、いくつかの目標を立てて、
目的である顔の表情はもちろん愛用してもらえるかたちです。
キーボードは素材開発が叶った時に、
素材の鏡面がすでに綺麗でした。
問題はここから実装です。
実装という日本語そのものが美しいことばです。
米国で私はConfiguration Layoutと言っていました。
筐体や機構設計では、Configurationになり、
回路設計や回路配置では、Layoutでしたから、
Configuration Layoutがデザインの主目標と説得していました。
さらに綺麗であることの基本は清潔であることです。
キーボードはそのまま、衛生的な清潔性を実現できました。
「きれい」の基本は掃除をすることです。
それこそ、女性が綺麗になるためにお肌の手入れということです。
ところで、「かたち」ということばから、
私は「いのち」・「きもち」・「ここち」の「ち」、
この語源から、さらに拡大することばに注視し集めてきました。
「まち」=町・街や「とち」=土地などがあります。
ともかく、今回の被災地は片付けや掃除や除染をして、
「きれい」にすることから始めなければなりません。
新しい「まち」を「きれい」にしてから、
それが必ず「美しいまちづくり」になるはずです。

目次を見る

『資本主義からの逃走』
 「製品要因は、実装技術というエンジニアリングの神髄」


   


     3月 2nd, 2010  Posted 12:00 AM

実装という設計
Apple社でコンサルタントだった当時、
もっともプレッシャーは英語・それも会議での英会話。
デザインは常にまずfeasibilityの検討から入ります。
二つの領域の技術検討です。
電子回路関係と筐体構造や機構設計関係でした。
そこで多用された言葉がありました。
回路関係ではLayoutであり、
機構構造ではConfigurationでした。
しかし、日本では、この両方の意味を兼ね備えた言葉、
「実装」という用語があります。
なぜなら、回路でも構造が出てくるとLayoutでは、
何か不足性が残るのです。
同様に、機構といってもその配置となれば、
Configurationでは、言いきれません。
Configuration Layout
私は「実装」をConfiguration Layoutと提案しました。
以後、私は国内でも、
実装=「コンフィギュレーションレイアウト」と言って
使っています。
つまり、回路と機構、その内部配置が外観を決定します。
だから、デザインの決定要因なのです。
要因というのは、要素という静的部品ではなくて、
動的要素を要因と呼んでいます。
素材という要素をどう「実装」という要因でまとめるか、
ということをエンジニアとの議論で高めていって、
それこそ発明へ向かわせるというのがデザインにとって、
最も重大で重要というのが、
私の基本的・基礎的なデザインへの態度です。
エンジニアには、回路の話にも割り込み、
筐体や機構設計にも割り込んでいく姿勢が必要です。
まさしく、デザインと技術、
デザイナーとエンジニアの関係が一体化したとき、
私はほとんど発明であり、
それが革新への道程だと考えます。
Technologist
そして、その「実装」と「造形」ができてしまう人間が、
これからの「テクノロジスト」であって、
こうした才能の育成が、技術・実装とデザイン・造形を
統合化できる教育こそ、これからのモノづくり教育、
ということです。
製品要因=実装は、技術から造形、造形から技術を
補完的に成し遂げるテクノロジカルアートだと思います。


目次を見る

『資本主義からの逃走』
  *「新素材開発と実装設計ができない、
   若手デザイナーが増えている」*


   


     2月 3rd, 2010  Posted 1:00 AM

YELL for Young Designer

若手デザイナーへというのはもう老齢だからです。
そして、若手デザイナーへの批判というのは、
余計なお節介でもあります。私も経験が多いです。
が、学べる教示は受け入れた方が幸運です。
つまり、日本のデザインが「取り残されつつある」、
ということになれば、これは提案であり、
若いデザイナーへのエールです。
私は、造形デザインの基本に、
無論、コンセプトとか、サーヴェイとか、
色々ありますが、ともかく新素材開発をめざします。

新素材開発

これは、多大な労力と説得が必要です。
素材開発では、刃物・めがね・TVなどが代表作です。
当然ながら、クライアントのエンジニアの中には、
「エーッ!そこから・・・」という顔もされます。
素材メーカーに行けば、必ず、「無理」となります。
「無理」だから、存在していない素材性能を創るから、
新たな「機能性」を仕込むことができるのです。
日本の素材メーカーはやはり相当な力があります。
海外を見ても数社しかありません。
だから、海外で新素材のニュースが入ると、
自分を呪います。
「なぜだ?、なぜ自分は思いつかなかったのか!?」
ということです。悲しい自分に出会います。

実装設計

そして、次に「実装設計」です。
これは筐体設計・基盤設計・機構設計・配置設計です。
私が最近の若手作品を評価しないのは、
これが出来ないために、
エンジニアに「形態の中」を押さえつけられてしまっているために、
それが「形態」の外観にも出てしまいます。
なんとか、それを視覚的に誤魔化して、
これがデザインということで、
雑誌に掲載されるから、あたかも「デザインっぽい」だけに終わります。
実装設計は日本語としてはとても明快ですが、
英会話では、LayoutとかConfigurationとかです。
私は、Configuration-layoutと言って説明すると、
以後、feasibilityは実装性の可否が議論になります。
エンジニア自身にも、特に、筐体設計と機構設計、
両方できる人がやはり若手が激減していますから、
なおさらデザイナーが牽引し指示する必然があります。

Configuration-Layout


目次を見る